造り手からのオッティマーナ感想文 ブレッサン

 ジャンジャン訳していきます!!
 東京のオッティマーナでは、通訳していた僕を完全に混乱に陥らせるほど長く、難しい話をしてくれた(笑)、いかついけど心優しいフルヴィオ ブレッサンからの感想文です!!
 これまた難しかったです…。
 では行きます!!

 日本滞在から少し時間が経ってしまったけど、おかげで旅の最中に数限りなくあった、印象的な場面のことを考え、熟考し、検証し、瞑想にふけては、再び思い返したりすることができた。恐らく、畑での孤独やセラーの静寂も一役買ってくれたんだと思う。

 俺の頭の中では、本当に沢山の東洋系の面立ち、表情がフラッシュバックしているんだ。
 
 知りたくてたまらないというキラキラした目をしつつも、俺、妻、両親、そしてブレッサン一家が9世代に渡って守ってきた仕事の結晶であるワインを飲むために、グラス片手に辛抱強く待つ、列の後ろの人に対する注意や敬意を怠らないたくさんの人。
 
 そして、木製のお守りをくれた男性。彼の事は、一生忘れないだろう。
「これを持っていれば、あなたに仕事上でのご加護をもたらしますよ。」
と、俺の目を見ながら話す彼…こんなに感動したのは、ここ最近では全く記憶にない。
 なにせ、この俺がウルッときたくらいだからな…。

 そして、愛情のこもった、それでいて慎み深い注意を常に俺たちに向けてくれていた素晴らしい女性、マキ ミギワ。
 こっちが訊くよりも先に問題を解決してくれたね。

 そして、カオリ。疲れや眠気でボロボロなのにも関わらず、いつも笑顔でいてくれた。

 そして、マナブ キシモト。毎晩俺たちがメシ食っている間も、端っこの方に座って、まるで気が触れたような感じで次の日のための最終段階の準備していて…。
 その働きぶりを見て、目立たないパートではあったが、家族に調和をもたらすためにはとても重要な役割を担っていた、祖母の事を思い出したよ。

 そして、お前。そう、まさしくお前なんだよ、ヒサト オータ…。
 ちっこいけど、ちょっと寝ただけで元気だし、5mmたりとも後退する事がない…6000m級の山にも自身の体重の倍はある荷物を背負って運ぶチベットのシェルパのことを、お前を見ていて思い出したよ。
 お前は、俺の事を、家族の一員のように、お前の家に迎え入れてくれた…。
 あの家にあった、お前の家族が醸しだす香りには、俺の鼻を、頭を、そして魂にまで訴えかける何かがあった。そう、お前の子供たちが駆け遊ぶ場所で、そこは俺の“ボトルに入った子供たち”にとっても天国のような場所でもあり…ボトルに封じ込められた、俺の人生の一部分の証人的役割も果たしている子供たち(ワイン!)も、存分にお前の家で遊び楽しんでいる…幸せそうにしている子供以上に愛おしいものはあるのだろうか?
 それは、俺の魂にとって、そして俺のワインにとっても、最も価値のあるものだ。

 友よ、君たちが呼ぶのなら、俺はそこにいるだろう。
 
 君たちが叫んでいるのを聞いたら、俺は全てをなげうって、そこに駆けつけよう。
 
 興味本位から言っているのではなく、君たちが俺にプレゼントしてくれた数々のエモーションを考えれば、それが当然のことだと考えている。それは、自分が大事にしている人に対して、極々当然のようにすることだから。

 日本人の心を持つフリウリの男、フルヴィオ ブレッサンより

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