造り手紹介 ラ カステッラーダ その2(2014.11筆)

※ <造り手紹介 ラ カステッラーダ その1(2011.11筆)>はこちら!

ラ カステッラーダの白ワイン、2011年の11月時点では2004ヴィンテージを販売していまして、3年後の2014年の11月に07ヴィンテージが入荷してきていますので、傍目には何も変わっていないように見えるかもしれません。が実際には、この3年の間に彼らのワインの日本での飲まれ方には劇的な変化がありました。どういう事かと言いますと、11年のオッティマーナ以降は、それ以前の2~3倍の本数を仕入れているのにもかかわらず、きっちり売り切れている(つまりちゃんと飲まれている)んです!!!
もちろん、彼らのワインの力と、ヴィナイオータがかけてきた時間(取引開始から13年が経ちました!!)で結実したものなのかもしれませんが、僕的には、05と06の白が決定打となったのでは?と考えています。

2005年は、雨がちな年だったということもあり、厳しい選果を余儀なくされ、その結果、生産量もごく僅かとなりました。通常は4-5種類の白を造るカステッラーダですが、この年はピノ グリージョ、リボッラ ジャッラと残りの全てのブドウ(シャルドネ、ソーヴィニョン、フリウラーノ)を混醸したビアンコ デッラ カステッラーダの3種類のみを生産します。
05というヴィンテージは、必要以上に“悪いヴィンテージ”と認識されてしまったのと、折からの不景気も相まって、常連のお客からのキャンセルも相次いだそうです。もちろん、普段ほどのブドウ由来の濃度、熱量こそありませんが、素晴らしく美味しかったですし、ツンデレから始まることの多いカステッラーダのワイン(笑)にあって、リリース当初から親しみやすい味わいでしたので、ワイナリーには結構な本数が残っていたのですが、全部買う事にします。その代わりという訳でないのですが、カステッラーダ側も少し安くワインを出してくれ、加えてその当時円に有利な為替レートも味方につけ、価格を大幅に下げての販売となり、(価格面の)ハードルが下がったことで気軽に開けてもらえ、そのコストパフォーマンスに驚愕してもらえたから、数千本がまさに飛ぶような勢いで売れていった(飲まれた)のかと。
この05のワインも、“偉大な造り手に悪いワインはない(どんなに天候的に難しい年であっても、ちゃんと美味しいワインを造る)”という、ヴィナイオータが唱え続けてきた説に多くの人が腑に落ちてくれるきっかけを作ってくれたのではないでしょうか。
そしてその後のヴィンテージである、素晴らしい天候に恵まれた06のワインが、ブドウ自身の力&表現力とカステッラーダの造り手としての成長進化ぶりが相まって、恐ろしいテンションを備えることになり、“なるほど、(天候的に)良い年には、こんなすげえワイン造るんだ!05は05で美味しかったけど、これは全然違う!!”と思って頂けたおかげで、通常の価格に戻っても、ちゃんと売れ飲まれ続けたのかと。

ただ、“偉大な造り手に悪いワインはない”という自説は、僕たちの目の触れないところで繰り広げられている、造り手としてのプライドを賭けた、クオリティを維持するための数々の努力の上に成り立っています。
カステッラーダの場合はと言いますと…

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サンタ マリーアのワイナリーでの写真。フォークリフトに持ち上げられているのは約50リットル入りのダミジャーナ(大瓶)。場所を移動させるためというよりは、サイフォンの原理を利用してボトリングするための前段階なのでしょう。これ自体、ワイナリーの見かける分にはごくごく日常的な光景ですが、良く見てみると…

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げげげげぇぇぇぇぇっ!こんなところで、こんな形でお会いするとは!!な、LaCastelladaの名前が目に入って来るではありませんか!!!
モンタルチーノに住んでいるけど無類の(美味しい)白ワイン好きな奥さんルイーザ、マリーノが白ワインを造り始めたのも全てはルイーザのためだったのですが、
「マリーノ、うちらの2013の白、あたしの口には合わないかも。」という恐ろしい発言とともに、1人フリウリにまで出かけていって、買ってきたのがこのワインだそう!!!

確かに言われてみれば、”VinoBianco(白ワイン)”としか書かれていない札のかかったステンレスタンクがいくつかあったかも…だし、一回飲ませてもらったこともあったっけ…別に美味しくないってことはなかったような気も…。その時は、ニーコの弟ジョルジョの経営する居酒屋用のワインだって言ってたような…。
先日、ニーコから電話があったので、聞いてみると、
ニーコ「ああ、あれね。確かに、とあるシニョーラが買いに来たかも。ヒサトにも飲ませたことあると思うけど。」
太田「やっぱ、あれでしょ??なに、あれっててっきりジョルジョの店専用だと思ってたけど、ああやって売るの??だったらボトリングして、分けてよ!!!デイリーな価格帯のワインが切れちゃって困ってるんだよ!!」
ニーコ「ありゃダメだよ。xx年(失念しましたが、90年代です!)のワインがメインで入っているんだけど、貴腐の付いたブドウが多すぎたのか、必要以上に進んだ印象になっちゃっるから。安定感のないワインだから、輸送に耐えれるかどうかも分からないしね。」
約20年前の白がまだタンクにたっぷりあるんですよ!!!!
当たり前ですが、僕たちが目にするものは、ボトリング、つまり製品化されたものだけなわけです。それが難しい年のブドウで造られたものであっても、ブドウを選びに選び、仕込にも細心の注意を払われたワインで、最終的に造り手的にも納得のいくものだけが僕たちのもとに届くのです。
それは、陶芸家が焼き上がった全てのお皿を売り物にはせずに、納得いかないものは割ってしまう事とも似ているかもしれません。
こういった造る側の、プライドや矜持、良心の塊として出てくるプロダクトであるワイン、またしても、”ワインはヒト”という結論になるのかと…。

今回のイベントでお出しする07の白ですが、06以上に暑い年だったという事もあり、よりあっけら美味しいワインとなっています。皆さんの反応が目に浮かぶぅぅぅ!(笑)

実は………96年以降造られることのなかった、ビアンコ リセルヴァを07で造っちゃったんです!!!!!!!!!!
96を知る人達が飲んだら、ビックリしてもらえるんだろうなぁ・・・・。
ですが、ヴィナイオータとしましては、
「ニーコ、ごめん。ほら、うちって05&06をいっぱい買っちゃったから、そのせいで他の人達よりも引き取りの時期が1~2ヴィンテージ分遅れちゃってるじゃない?今年ようやく07のノーマル買う事になったわけだけど、ノーマルとリゼルヴァが一緒に入って来るのって変じゃん??だから、リゼルヴァ引き取るの1~2年後にさせてよ!!あ、量もちゃんとガッツリ取っといてね!!分かった??」
「1~2年後か…その時のほうが確実に今よりもワインは開いているだろうしな…。それまで、俺に取って置けと…。ヒサト、お前やっぱ賢いな。(笑)」
「こういうのを企業努力って言うんだよ、ニーコ!!ハッハッ!!ワインと飲み手のこと考えたら、やるべきじゃない?」

07もたっくさん買って、05に引き続き風評被害(笑)が予想される08も、僕のキープ分以上に残っていれば全てかっさらい、08の最後の引き取りか09を引き取り始める辺りで07もリゼルヴァも…こちらも楽しみにしていてくださいね!早く飲みたい!!という方は、たくさんカステッラーダのワインを飲んでください、そうすれば入荷時期が早まります!!(爆)

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