造り手紹介2017 31 ピエールパオロ ペコラーリ

次はペコラーリです!
今回もアレッサンドロが来ます!!
ここのところ精神的に参るようなことが続いているようなので、元気づけであったり、新たなモチベーションを彼のプレゼントできるような旅になればいいなぁと思っております。

畑では除草剤も一切使わないですし、農薬もボルドー液以外には一切使用していませんので、いわゆる“有機農業”は実践しているわけですが、じゃあ彼らのワインは僕が考える“ナチュラルワイン”なのかと聞かれれば、違うと言わざるを得ないというのが正直なところです。
敬愛する竹鶴酒造の石川杜氏に、「太田さん、作という字の“つくる”と造の“つくる”、どのように使い分けるかご存知ですか?」と聞かれたことがあるのですが、皆さんはご存知でしょうか?
石川さん曰く「料理、文章など、ヒトが自身のコントロール下に置きながら最初から最後までつくりあげるものに作という字を使うのに対して、酒、船や家などには造という字を使いますよね?それらが万全の形で完成するためには、“神がかった力が働く”ないし“神頼みをする”ことなしには実現しなかったものなんです。海は、自然の情け容赦のない一面が表出したような存在で、沈没せずに荒波を乗り切ったり、激しい嵐などに遭わずに安全に航海するためには、もはや人智を超えた何かの力を借りないわけにはいかなかったのです。船の舳先に女神像を飾ることも、海の神の怒りを鎮めるためですよね?家も、雨風や寒さなどをしのぐために、あらゆる自然の猛威も耐え抜いてもらいたいと願いつつ建てるわけです。そして酒の場合、日本酒であれワインであれ、酵母の存在、役割が明らかになる遥か昔から造られてきたわけですよね?当時の人たちにすれば、ブドウがワインに変わること、お米が酒になるとことは奇跡以外の何物でもなかったのではないでしょうか…。」
科学が醗酵のカラクリを解明した今日も、ワインや日本酒を“つくる”のは、あくまでもヒトではなく酵母なんです。ヒトは、酵母を始めとする微生物たちが気持ちよく仕事できるようにフォローを行うアシスタントのような存在であるべきなのかと。
僕的には、原材料がオーガニックか否か以上に、醸造の場面に“作”の精神で臨むのか、それとも“造”で臨むのかのほうが、ナチュラルワインの本質にとっては遥かに重要だと考えています。
そもそも、有機農法でも使用が認められているボルドー液も銅という重金属由来の農薬であることには変わりがないわけですから…。
と全然ペコラーリの話をしていません(笑)が、せっかく畑では自然環境にリスペクトを払った誠実な仕事をしているのだから、セラーでも“造”の精神を持ち込んだら良いのに…などと余計なお世話的な事を考えるようになって早15年くらい…。
そんなことに気付く機会にヴィナイオッティマーナがなってくれるのならば、僕としては最高にハッピーなのですが…。

頑張れアレッサンドロ!

(詳しくはこちらもご覧ください!!)

造り手からのオッティマーナ感想文 その2 ペコラーリ

造り手紹介 ペコラーリ その2(2014.11筆)

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