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2020-12-20

ヴィナイオータ かわら版 ~佐藤編 その五~

スキオッペッティーノ 2011年 (Bressan)

いつもお世話になっております。つくば本社の佐藤です。

数か月前より受注業務を離れ、現在は本社から徒歩3分ほどの場所に借りた別事務所を拠点に、輸入関連や経理などの内部業務と、本社営業担当としてのお客様対応などをメインで行っております。今後は、みなさまの元へお伺いできる時間を作って行きたいと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

今回私がかわら版でご紹介するのは、『フリウリの怒れる熊』こと、フルヴィオ ブレッサン率いるブレッサンの【スキオッペッティーノ2011年】です!

私の入社と時期を同じくして、2014年1月からヴィナイオータでの取り扱いが始まったブレッサン。

太田の書いた紹介文を読み、「なんだか相当激しそうな人だなぁ…」とびびりつつも、彼のワインを飲んでその端正な味わいにびっくりしたのを覚えています。

緻密で繊細で端正でエレガント…「怒れる熊」という荒々しいイメージとは真逆のワイン。白ワインが注目されがちなフリウリにあって、彼のワイン、特に赤には、「これがブレッサンファミリーの歴史だ!」とでも言っているかのような独特の雰囲気があり、その個性に惹きつけられました。

2015年2月のヴィナイオッティマーナ赤にも参加してくれたので、その厳つい風貌と歯に衣着せぬ物言い、それでいて非常に知的で優しい瞳のフルヴィオを覚えてくれた方も多いのでは?と思います。

ブレッサンは、1700年代から代々続くブドウ栽培醸造一家で、フルヴィオで9代目。強い信念と覚悟のもと、一切の妥協を良しとせず、その出来に満足のできなかったブドウは醸造どころか収穫さえしないというプロ意識の高さ。

家業を継ぐ前には、小児癌末期の子供たちのセラピストとして働いていたフルヴィオ。500人以上の10歳にも満たない子供たちを看取ってきたという彼が、悪天候を嘆く奥様に対して言った、

「雨は多かれ少なかれ、人にもブドウにも必要なものだろ? それが、自分にとって都合が悪い時に起こったら悪者扱いかい? 恵みの雨なんていう時もあるって言うのに…。それに引き換え、あの年齢で命を落としていく子供たちの病への無力さと、彼らに残された時間の重さを考えたら、多少の土砂降りなんざぁ素晴らしい1日だぜ!!くらいに思わなきゃいけないと思うんだ。」

という言葉、胸に突き刺さりました。出かける時に大雨が降っていると、いつもこの言葉を思い出します。

見た目のイメージからは想像できないほど、心優しく知的で繊細な感性の持ち主であるフルヴィオ。そして彼を支える聡明で気立ての良い奥様のイエレーナ。彼らの造るワインは、繊細なのに力強く、緻密なのに包容力があり、正に唯一無二の個性を持っているのです。

スキオッペッティーノ(リボッラ ネーラ)は、ウーディネとゴリツィアの中間辺りが原産地と考えられているフリウリの土着品種で、栽培が非常に難しいとされています。ブレッサンのスキオッペッティーノの畑は、赤ワインに理想的と言われる鉄分を多く含む赤土で、実際に見るとサビみたいな色をしていました。この様な地質は有機物や養分を含有しないので、ブドウの生育は極めてゆっくりで、熟すまでにすごく時間がかかるとのことでしたが、それによってブドウ=ワインに複雑味が生まれるのです。

成熟度合いを見極め、この品種特有の高い酸度を得る為やや過熟の状態まで持っていったブドウを手作業で丁寧に収穫。除梗と、軽い圧搾後、井戸水で温度を調節しつつ長時間のマセレーションと発酵。澱引き後、引き続き35日間の発酵を行い、ステンレスタンクで休ませた後、2000リットルの樫の大樽にて少なくとも2年間熟成。瓶詰め後に倉庫で仕上げ熟成を経てリリース。

紫がかった深みのある赤、嗅いだだけでブドウの完熟感を感じられる、ブレッサン特有のスパイシーで香木の様な香り。バランスの取れた酸味と滑らかなタンニンに果実味もあり、どんどん杯が進むワインです。抜栓後日を経ても、落ちるどころか素敵な表情を見せてくれるので、ゆっくり時間をかけて飲むのもオススメ!

2世紀以上にわたって守り抜いてきたブレッサン一家の伝統と誇りを、ボトルから感じて頂けたら嬉しいです。

※ブレッサンのウェブサイトには日本語版もありますので、是非覗いてみてください。彼らの想いが詰まっています。

https://bressanwines.com/ja/

≪佐藤の飲んでもらいたいワイン紹介≫
銘柄:Schioppettino / スキオッペッティーノ 2011年
造り手:Bressan / ブレッサン
地域:伊 フリウリ ヴェネツィア ジューリア州
ブドウ:スキオッペッティーノ
希望小売価格(税抜) : 6,000円

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