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2021-12-24

【新入荷】2021年11月その1(Stefano Legnani,La Castellada,La Visciola,Natalino del Prete,Folicello)

前回のメルマガで、ヴィナイオータのワインを載せたコンテナーが長らくイタリアから出港していないと書きましたが、結局10月に6本(!)が日本へと旅立つことに…。造り手への支払いもさることながら、通関を切るための費用(酒税、消費税等)をちゃんと捻出できるのか、ちょっと心配になってきたオータです。とはいえ、内容的にも非常に強烈なラインナップだったりしますので、数々の杞憂からくる悶々よりも、今やワクワクやドキドキが勝ってきたような…。

「悶々」…、2020年と2021年という特殊なヴィンテージ(笑)を象徴する言葉な気がしますが、同じ時間を過ごすのなら、悶々よりもワクワクしていたいと思うのはオータだけではないはず。「終わり良ければ総て良し!」と言えるよう、悶々を振り払いつつ年末まで駆け抜けていきましょう!

それでは11月の新入荷案内です!今回もひじょおおおおに濃ゆい内容となっております!

長らく欠品していました、ステーファノ レニャーニが買いブドウで造るワイン、バンブーロードの最新ヴィンテージ2020年が届きました!生産量の半分強に当たる3000本が入荷していますが、近年の売れ行きを鑑みると、2~3か月でなくなるとオータは踏んでおります。お気を付けください!

後にも先にもこれ以上高い代償を払うことになる年は今後訪れることはないと断言しても良いくらいことが、ステーファノの2020年ヴィンテージに起こってしまいました…。ステーファノの自宅に隣接する畑で獲れるヴェルメンティーノで造るワイン、ポンテ ディ トイの2020年ヴィンテージですが、ステーファノの不注意から全生産量の5000リットルを廃棄処分することに…。

酸化防止剤を添加すべく、酸化防止剤を溶かしたモストの入ったバケツを持って梯子を上り、ステンレスタンクの最上部にまで到達、タンクのフタをずらし、いざ添加しようとした矢先に1本の電話が。梯子を下り、電話に出るステーファノ、よほどシリアスな内容だったのか、思いもかけない長電話となり、(バケツに入ったモストを)タンクに投入し、フタを閉めた気になってしまい、梯子を外してセラーを後に…。結局、フタが開いた&酸化防止剤無添加の完全ノーガード状態で醗酵したポンテ ディ トイ2020年は、バクテリアの影響を受け、例年よりも揮発酸の高いものに…。

揮発酸耐性の高い(笑)オータだったら全く気にならない程度のものだったのかもしれませんが、友人である造り手のセラーを間借りして醸造している身のステーファノとしては、友人のワインをバクテリア汚染させる可能性があるものをそのまま放置するわけにはいかず、全量廃棄を決意します。廃棄後も、後悔、自分への怒り、恵みをもたらしてくれたブドウ樹や楽しみにしてくれていたお客さんに対する申し訳なさなどが相まって、人と全く話せない時期があったそう。仮に収穫量がゼロだったとしても、雹や悪天候などのヒトの力ではどうにもできないことに起因したものだったのならば、諦観の念をもって受け入れることができるのかもしれませんが、些細なヒューマンエラーが原因でワインを失ってしまうというのは、本当にキツいことなのだと思います。

ただ、そんな愚かしい側面も含めての“人間らしさ(人間くささ)”なのでしょうし、どんなに技術革新が進んだ未来になったとしても、AIが造る“完璧な”ワインではなく、造り手の迷いや逡巡などが液体の中に“揺らぎ”として表現されているワインをオータは好んで飲んでいるのだろうなぁと想像してみたり…。

還元という名のトンネルを概ね抜けた感のあるポンテ ディ トイ2016年とソーヴィニョンを彷彿とさせる爽やかアロマを備えた、端正な味わいのル ガルー2015年もかなりステキです!そして買いブドウのマルヴァジーアロッサで造るペルジーノ2013年も程よく熟成感が出てきており、残糖をうまく下支えする感じになってきました!ジビエとかとも面白いかも?こちらもよろしくお願いします!!

おかげさまで、ラ カステッラーダの2013年ヴィンテージの白の動きが活発です!!いくつかのワインが売り切れになってしまいましたし、残っているものも在庫が僅少となってきましたので、2014年ヴィンテージをリリースすることにしました。

天候に恵まれた2013年とは打って変わり、2014年は1年を通して太陽に恵まれないヴィンテージでした。そんなわけで、リボッラ以外のワインに関しては2013年よりも1~1.5%ほどアルコール度数も低くなっています。ボディに欠ける分香りは華やかですし、味わい的にも軽やかではありますが、リリース当初は内向的なことが多いカステッラーダのワインとは思えないほどに開いています。では、ただただ軽いだけのワインなのかと言ったら、さにあらず。そこはカステッラーダ、ザクザクな中にも緻密さや精緻さの備わった本当に素晴らしいワインたちです。現段階でオータのいち推しはシャルドネです!逆にリボッラはもう少々待っていただきたいかも…です!

リボッラ2014年と言えば、面白いエピソードがひとつ。初めて樽からこのワインを試飲した時の印象は、ある意味強烈で「うわ~、めっちゃ薄い…。」でした(笑)。2005年や2008年といった雨がちな年のワインでも、ここまで薄くなかったような気が…。ニーコも同様の意見だったようで、まだリボッラとしてリリースするかどうか決めかねているとその時は言っていました。(ニーコがどうにも納得のいかないワインができてしまった際は、弟ジョルジョが経営するオステリアのテーブルワインに回されています…)

ですが、その次の機会に彼らを訪ねた際に前回と同じ樽に入っていたリボッラ2014年を飲んでビックリ、「ニーコ、めっちゃ美味しくなってるじゃん!味わいが開いたってことなのかな?なんか濃度さえも増している気がするよ。」とオータが言うと、爆笑しながら「そりゃそうだ。だって2015年のリボッラをちょっと入れたからね。」とニーコ。まさにオータが言ったことを狙って、約150リットルの2014年と2015年のリボッラをトレードしたそう(法律的にも、全体の15%までは他のヴィンテージのワインをブレンドしても問題ありません!)。2014年ヴィンテージにとって、150リットルのワインは生産量の約1割に当たり、濃密な2015年が全体の酒躯を上げるのに寄与してくれるのに対して、生産量が例年通り(2014の2~3倍)あった2015年からしてみたら、150リットル程度の“シャバいワイン”が混ざったところで大局には全く影響がなく…。ある意味フェアトレードってことですね(笑)。というわけで、生産量が極端に少なかったリボッラは、240本のみの入荷となりまして、瞬殺必至です!

ビアンコ、シャルドネ、ソーヴィニョン、フリウラーノに関しては、十分な本数が入荷していますし、再入荷の予定もありますので、ガンガンお使いいただけると助かります!
尊大なのに親しみやすい、高樹齢のシャルドネ&ソーヴィニョンで造るヴルフ2009年も是非!そして隠れたグランヴァン、ロッソ2009年も残り140本ほどとなっております!

マイナーであっても、素晴らしいポテンシャルを秘めた土着品種が至る所にあるイタリア。そんな隠れた偉大な土着品種の一つであるチェサネーゼは、ラツィオ州のピーリオ近郊でのみ栽培されている、強さとエレガンスを備えた品種。そんなチェサネーゼの最良の造り手の1人といっても過言ではないラ ヴィーショラの2016年ヴィンテージのチェサネーゼが終売しましたので、2017年ヴィンテージ5種類と、パッセリーナで造る微発泡性白ビアンコ クペッラ2019年、そして“土着の”という名の赤の土着品種、ノストラーノで造るノストラーノ2019年もリリースします!

2017年ヴィンテージのチェサネーゼですが、暑い夏だったことが容易に想像できる濃密な味わいがありつつも、それに相反するかのような軽い飲み心地があるワインとなっています。

信用のおける農家から買い付けたブドウで造るヴィチナーレだけ枠外とすると、

ヴィニャーリ<ユ クアルト<ユ ラッターロ<モッツァッタ

の順でパワフルさやテンションが増すとオータは考えております(=ヴィニャーリが最もエレガントでタンニンも滑らかなのに対し、モッツァッタはすべての要素が強い…)。

どのワインもひじょおおおおに少ない入荷本数となっております!

先日ヴィニャーリの2009年を飲んだのですが、そりゃもうびっくりするほど別嬪さんになっていました…。

プーリアのナタリーノ デル プレーテからは、遅摘みしたマルヴァジーア ネーラで造る甘口ワイン、ジョリーの2020年ヴィンテージと、2020年物のオリーヴ オイルが届いています!

2018、2019年と、ブドウを遅摘みすることなどとても考えられないほどに厳しい天候に見舞われたため、今回入荷のジョリー2020年は、2017以来ということに…。ナタリーノの愛娘ミーナ曰く、素晴らしい天候に恵まれた2020年のワインは、どれもファンタスティック!との事。オータも久しぶりのリリースが嬉しかったのか、甘口ワインらしからぬ本数を仕入れてしまいました(笑)!

オイルですが、以前から自家消費用の余剰分を販売していたのですが、新たに優に100年超えの樹齢の樹が植わる区画を購入、本格的にオイルを作ることに。

プーリアは、オリーヴの栽培面積としてはイタリア最大を誇る州で、樹齢数百年の樹もざらにあるようなところ。(puglia(プーリア)、ulivi(ウリーヴィ、オリーヴの樹のこと)と入力し、画像検索をすれば、とんでもない樹の写真がいろいろ出てくるはずです。時間があるときに是非見てみてください!)

ですが、2013年あたりからオリーヴ樹を枯らしてしまうピアス病菌という細菌が蔓延し、ナタリーノの住むレッチェ県は、最もその被害を被った地域となってしまいます。(2015年時点で県全体の10%にあたる100万本が感染していた事が確認されたとか…)

ナタリーノたちは、あくまでもナチュラルな手法でケアしながら、いつ絶えるかもわからない土着品種(チェッリーナ、ノチェッラーラ、レッチーナ)を守っていきたいと考え、新たに畑を買うことにしたようです。商品名もズバリ“オーリオ ディ ナタリーノ(ナタリーノのオイル)”(笑)。平和と豊穣の象徴であるオリーブの枝とそれを持つナタリーノの手が描かれたラベルとなっています。

絶賛販売中の7ワインもよろしくお願いします!改めて一通り試飲してみたので、一言(?)コメントを。

イル プローディゴ2019年:ネグロアマーロで造るザクザク系ロゼワイン。香りの奥底には厳しい年だった痕跡が見え隠れする気もしますが、結論としてはちゃんと美味しいです(笑)。ただ、抜栓後に長期間置いておくのは少々危険な気がします。少々冷やし気味で楽しんでいただくのも良いでしょうし、オータが今回試して非常に面白かったのが、後述のディ ソルソ アンティーコ2017をごく少量(3%も入れれば十分です!)入れたカクテル(?)。お味的には、素朴なマッサ ヴェッキアのロザートといったところでしょうか(笑)。ほんの少し入れてあげるだけで、ボリュームアップし、骨格、輪郭ともに鮮明なワインになりますので、騙されたと思って一度お試しください!今回入荷のジョリーを代用するのも楽しいはずです!

イル クオティディアーノ2019年:プローディゴ以上にヴィンテージの難しさを感じるワインではありますが、クオティディアーノ(毎日、日常の意)という名の通り、肩ひじ張らずにコップ酒的にがぶがぶ飲むワインとしては、十分すぎるほどに美味しいワインかと!

アン2018年:高樹齢のネグロアマーロで造るワイン。2018年も本当に厳しい年でした…。収穫時期に訪問したのですが、畑の中がお酢っぽい香りで満ち満ちているんです…。ネグロアマーロ&マルヴァジーア ネーラで造るイル ピオニエーレ2018年は、収穫&醸造はしてみたものの、揮発酸が恐ろしくあるワインとなってしまい、結局お酢屋さんに売却してしまったそう。

そんな2018年のワインで、日の目を見たのはこのアンと後述のナタリのみ。この2ワインの味わいの質が、実に好対照!

今回アン2018年を試飲していたら、なぜだかフランクの初期のコンタディーノ(3とか4あたり?)のことが頭をよぎりました。素朴で儚い感じもありながら、高樹齢のブドウが深みを付与しているかのような雰囲気はかなり似ている気がします。

ナタリ2018年:プリミティーヴォ100%。2018&2019年のナタリーノのワインの中では、最も作柄の厳しさを匂わせないワイン。もちろん、太陽に恵まれた2017年ほどのボリュームや濃密さは備えていませんが、プリミティーヴォらしい果実味はしっかりありますし、何よりもサクサク飲めちゃう!

トッレノーヴァ2016年:樹齢が比較的若い区画のネグロアマーロとマルヴァジーア ネーラを使用したワイン。ヴィナイオータとナタリーノは、2016年ヴィンテージから取引を開始しました。このワインが届き、初リリースしたのが2018年10月。再入荷分と合わせて3600本が入荷してきたわけですが、まだ在庫が2000本あるってどういうこと???3年で1600本しか売れてないっ(涙)!今滅茶苦茶美味しいんですよ!入荷当初は後述のイル ピオニエーレと共に、少々ヤンチャな側面も持ち合わせていた気がしますが、今や立派に成長しております!(アン2016年は、インポーター孝行なワインでした…)

こちらも是非いちど騙されたと思ってお試しください。この価格帯のワインでは、なかなか見ることのない風景が広がっているはずです!

イル ピオニエーレ2016年:トータル2400本入荷で現在庫が1300本って、もっと売れてないし…(号泣)。これも本当に美しい変貌を遂げたワインだと思います。トッレノーヴァは果実味に軸足があるワインで、元気さや溌剌さなど、若さを彷彿とさせる美があるのに対して、ピオニエーレは香り的にも味わい的にも妖艶な美が…。
再三にはなりますが、是非騙されてみてください!

ディ ソルソ アンティーコ2017年:遅摘みしたアレアーティコで造る甘口(薄甘口?なんにせよ、甘みは穏やかです!)。2019年に300本が入荷したこのワインも、ようやく残り在庫30本にまで減りました!甘口のワインとしては破格な気がするのですが、なんでこんなに売れないのでしょうか???普通に凄く美味しいのですが…。

エミーリア ロマーニャの造り手フォリチェッロの、“たくさんのブドウ”を意味するモントゥーニで造る酸化防止剤完全無添加微発泡ワイン、ボンベン2018年ヴィンテージ(L.0919)もリリースします!ワインがまさしく水代わりに飲まれていた時代には、モントゥーニのような、糖度はそれほど上がらないかもしれないけど、多収量が見込めるブドウは本当に重宝されていたのだと思います。そんな古き良き味わいをお楽しみいただければっ!

*ブログ掲載時には完売しているワイン、商品がございます。予めご了承ください。

文:太田久人

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