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2014-03-28

【新入荷】2014年3月その2(Camillo Donati,Daniele Portinali,Pedroni)


ペドローニのイタロ

2月3月は造り手来日やイベントなども多い上に、入庫も鬼のようにあり、そしてありがたいことにご注文もキャパオーバーなほど頂き、まさにてんてこ舞いなヴィナイオータでした。造り手とのツアー中、弊社関西支部長岸本が、「(岸本)学2(マナブ ドゥーエと読んでください)が欲しいです…」とこぼしていたのが笑えつつも、僕もヒサト ドゥーエが欲しい今日この頃…。いや、僕の話し言葉を、僕的ニュアンスを残しつつも的確な文章に起こしてくれるゴーストライターでもいいです(笑)。
今更な感じですが、スタッフ萩野は3/30まで家族でイタリア旅行、僕は僕で3/28から4/24までイタリア出張です!(ジュネーヴで上原ひろみちゃんのコンサートにミロワールと鏡氏と行くという噂も…笑)不在の間は他のスタッフで対応させていただきますが、対応が後手に回る可能性がございます。そのあたりを寛大な心でお許しいただけますと幸いです。今回のイタリア出張ですが、3年ぶりに各地のサロンに参戦してきます!3日間、気合いを入れてたっくさん試飲して、アップデートを図りつつ、現在の潮流(トレンド?)というよりもうねりの質、強さみたいなものを感じてこれたらなと思っております。
本当に3週連続の入庫があったのに、ご案内が間に合っていません!!この後にもすぐまた新しいコンテナーが控えているというのに…(汗)。では行きます!!
お待たせいたしました、欠品中でしたカミッロ ドナーティのワインも一通り入荷です!!マルヴァジーア フリッザンテの甘口(ドルチェ)の12年も届いています!!季節的にもピッタリなイメージのワインではないでしょうか?日本でのみ絶賛好評発売中の泡のないランブルスコ09もおかげさまで残り1500本ほどとなっております。熟成させても絶対面白いはず!価格も価格なので、スペース問題を除いて在庫のリスクが極めて低い商品かと。10年後くらいに、恐ろしくこなれた泡のないランブルスコを、「いやー、こんな美味いワインが泡がないだけで、なんであんなに安かったんだろうねぇ。」と言っていること請け合いです!
ヴィナイオータのラインナップの中にあって、まあまあ地味な存在(笑)なのですが、しれーっと売れて、しれーっとなくなってしまう、ダニエーレ ポルティナーリの新ヴィンテージ、メルロー&カベルネのナンニ12年とピノ ビアンコ&タイ イタリコ(フリウラーノ)のピエトロ ビアンコ12年、タイ ロッソ10年が届いています。12年は、11年に続いて夏場の酷暑&水不足がたたり、収量が激減してしまったのですが、近隣のワイナリーにはブドウを一切売らずに、全て自家醸造することを決めたので、日本にもまとまった量が入荷しています。今回ばかりは簡単にしれーっとは売り切れないと思われますので、ガンガン使って頂けると助かります(笑)。どのワインも、ブドウの熟度、強さ、ワイン自体の余韻という点において、この価格帯のものとは思えないほどのクオリティがあると思います!そろそろ大ブレイクするかもしれませんよ!!

売れなくてもちゃんと買い続けることを決意した(笑)、ペドローニ家のアチェート バルサミコ トラディツィオナーレ ディ モデナのシリーズが一通り入荷しました!!僕自身の伝える努力が全然足りなかったから売れなかったという事は、重々理解していたので何か準備せねばと思っていたところ、今回の荷物に2012年のペドローニ社創立150年の時に作った、彼らの歴史を綴った冊子(新聞のような)が入っていたのですが、これが面白い!(100部ほどありますので、ご希望の方は是非とも声を掛けてください。イタリア語と英語で書かれています)
これを機会に改めてバルサミコというお酢に関して少々勉強してみました。

アチェート バルサミコ ディ モデナ(以下ABM)
アチェート バルサミコ トラディツィオナーレ ディ モデナ(以下ABTM)の主だった違い:
ABTMの原材料は煮詰めたモスト(以下モスト コット)のみなのに対して、ABMには煮詰めたモストが20~90%、ワインヴィネガーが80~10%、そしてキャラメルも2%までの使用が認められている。
ABTMを名乗るためには最低でも12年、さらにExtravecchio(エクストラ ヴェッキオ、超古?)は最低でも25年の木樽熟 成が必要なのに対して、ABMは最低3か月、Invecchiato(インヴェッキアート、熟成したの意)は最低3年の木樽熟成が必要。
つまりABMの場合、ワインヴィネガーにモストとキャラメルで甘味を付けて3か月熟成させた“バルサミコ風”ヴィネガーから、極めてバルサミコ的に製造しつつも12年は熟成させられないので熟成期間を数年にとどめ、その分ヴィネガーで酸を補ったものが同じ名前を名乗れるという事になり…。それに対してABTMには何の妥協の余地もありません!
ABTMはなぜにもこんなに高いのか?:
モストを2/3~半分くらいまで、通常の気圧下で直火式の鍋で加熱して煮詰める(この時点でワインよりも手間賃を含めたら倍以上のコストがかかっていることになりますよね)。それを木樽で熟成させるわけですが、水分の蒸散率は大きめの樽で年間8~15%、小さな樽ですとなんと12~25%!!仮にモスト100を2/3まで煮詰め、年間10%の蒸散率の環境下で12年置いておいたとすると、出来上がりはたった18!!そこから小さな樽に移し、エクストラヴェッキオ(年15%の蒸散率と仮定)にしちゃったらば、なんと2.25!そりゃ高価になりますよね…。
ペドローニ新聞(?)から面白い部分を抜粋しますと、
モデナ郊外のとある農園で牛飼いとして働いていたジュゼッペ ペドローニは、とある日モデナ市街に住むオーナー宅に冬季暖房用の薪を牛車で運ぶ仕事を仰せつかる。屋敷に着くと、薪を下し終えるまでの間に牛が動いて荷車からはみ出している薪が壁に当たり漆喰を剥がしたりしないようにちゃんと見ているように言われたが、案の定起こってしまう。その漆喰の剥がれたところに書かれていた3つの数字が妙に記憶に残ったジュゼッペ、ロトにその数字を書いてみたところ大当たり!、当選賞金で家付きの農場2つと元ベネディクト派修道院の別館だった1400年代の建物を購入、そこで馬屋を併設した旅籠兼食堂を始めると、フェッラーラなどに川砂利を運ぶ御者達の拠り所となる。酒販免許の関係で蒸留酒は扱えず、当初はマルサーラとビールを提供していたが、2つの農場で獲れるブドウでワインの生産も開始、自家生産ワインの提供も始める。大量に出る、マルサーラを運搬するために使われていた10-15リットルの栗製の木樽とドイツからビールを運ぶための20-180リットルのオーク製の樽をそのまま捨ててしまうのはもったいないと考え、1862年からバルサミコの生産を開始。ジュゼッペの息子、クラウディオは当時流行した病で父より先に夭逝、ジュゼッペの死後、バルサミコ生産は当時18歳だった孫のチェーザレに受け継がれる。モデナ周辺は、第一次世界大戦の戦禍を免れたため、オステリア、バルサミコ生産共に順調に進み、オステリアではパンの製造販売、食材とたばこなども扱う店へと変貌を遂げる。チェーザレの息子、ジュゼッペ2世も父の手伝いをしていたが、第2次世界大戦が勃発、1944年に帰らぬ人となり、父チェーザレも戦後すぐに息子の後を追った。その時、チェーザレの孫、イタロは若干10歳、祖母と叔母の助力を得て家業を継ぐことに。戦後の混乱の中、多くの困難に遭遇しつつも、1963年にフランカ プランポリーニと結婚するまでは樽の数を増やすことなくバルサミコ生産を続け、63年以降、初代ジュゼッペから受け継いだ100年以上使い込んできた樽の修復や、薫り高く、非常に甘いブドウを生らすが、歩留まりが悪いために他の造り手からは見向きもされなくなった土着品種、トレッビアーノ ディ スパーニャとルッジネの栽培面積を増やした。それらのブドウは、初代ジュゼッペが遺した樽とその中で熟成しているバルサミコに年々注ぎ足されている。1997年より、6代目に当たるジュゼッペ3世へと伝統は脈々と受け継がれている…。

ABM “VECCHIO”(ヴェッキオ):キャラメルは使わず、ワインヴィネガーと土着品種のモスト コットのみを使用。木樽での長期熟成(6~8年?)。リッチなサラダやチーズ、肉料理のソースなどに

ABTM“ITALO”(イタロ):ペドローニ家が造る最も若いタイプのABTM。栗&オーク樽で12年熟成。リゾットや野菜料理、フリッタータ、ローストした肉、そしてヴァニラアイスやイチゴなどに

ABTM“UMBERTO”(ウンベルト):オークとネズの樽で12年以上に渡る熟成。ネズ樽由来の生き生きとした香りとスパイシーさが特徴。その強い個性が薪で焼いた肉やロースト肉の味わいを引き立てる。ローストないし揚げたポテトとも好相性。ボッリートやジビエとも

ABTM“GIUSEPPEⅡ”(ジュゼッペ):栗&オーク樽での25年以上に渡る熟成。高いレベルで調和がとれているので合わせられる料理も、シンプルなリゾットからハム&サラミの盛り合わせ、エビ料理やサーモンカルパッチョ、そして王道とも言えるパルミジャーノ レッジャーノと多岐にわたる。

ABTM“CLAUDIO”(クラウディオ):2代目クラウディオが導入した、栗と桜の木樽での25年以上の熟成。フルーツを思わせるような酸と滑らかな甘みは、桜の木樽ならでは。このバルサミコとヴァニラのジェラート、イチゴのマチェドニアとの組み合わせは夏の暑い日にぴったりの一品。

ABTM“CESARE”(チェーザレ):ペドローニ家の家宝と言っても過言ではない、150年に渡って使用している、栗(シチリアからマルサーラを運搬するために使っていた)とオーク(ドイツから届いたビール樽)の樽を使用。熟成期間は25年を遥かに超える。他のものと混同のしようのない味わいと香りを持ち合わせる。偉大なワイン同様に人生における最良の瞬間や、経験からあらゆる美徳を知る人、自身の味覚細胞に楽園の一角を提供したい人に。

文:太田 久人
101 102 nuovo14.03.28

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