【造り手セミナー】 Period2 DAY1 ②アルベルト アングイッソラ

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①セミナー動画 (質問コーナー|03:20~)

ヴィナイオッティマーナ2022 P2 DAY1に行われたセミナーの様子です。今回来日したのはエミリア ロマーニャ州のトラーヴォという町にワイナリーを構えるアルベルト・アングイッソラの当主アルベルトです。代々ワイナリーという訳ではなく、元々は会社勤めをしていた彼ですが、ラ ストッパのジューリオ・アルマーニと親交があり、最初は遊び感覚でブドウ栽培や自家用ワインの醸造を行っていました。その中で、もっと本格的にワインを造りたいという想いから、勤めていた会社を辞めてワイン生産者への転身を遂げた造り手です。

②造り手紹介 (00:30~)

アルベルト アングイッソラの造り手紹介、詳しくはこちらから。

③造り手への質問と回答

Q1. 白ワインのキュヴェには、マルヴァジーア、モスカート、オルトゥルーゴ、マルサンヌが入っていますが、マルサンヌのみフランス品種なので気になりました。どういった経緯があるのでしょうか?(03:20~)

A1. マルサンヌは既に1800年代にはトラーヴォに存在していたことは記録に残っています。マルサンヌというブドウだと判明したのは随分と最近になってからです。近所のお年寄りは、そのブドウをシャンパニーノ(小さなシャンパン)と呼んでいて、そこからもフランスから来ていること、つまり逆輸入しているということが分かります。

考えられる説は2つあります。

古代ローマ人がより北へ領土を拡大して行った際に、ブドウを植え栽培やワイン醸造の文化も一緒に持っていった訳です。そして、最終的にはドイツやフランスのシャンパーニュまで到達すると、同時に栽培環境の緯度も上がります。

その頃イタリアでは100年ほど寒い時期があり、ほとんどのブドウが死滅してしまいます。そのため、フランスから株分けして持ってきたものの中にマルサンヌもあったのではないかと考えられます。奇しくもマルサンヌにとって故郷と言われる、アヴィニヨンと僕らの地域は海抜や環境がとても似ています。

もう1つの説としては、ナポレオンが持ってきて植えたのではないかとも言われています。

Q2. もとはワインとは関わりのない仕事をしていたわけですが、ブドウ栽培と醸造をやろうと思ったきっかけはなんですか?2011年までは会社に勤めながらワイン生産を行っていたとのことですが、どのように両立していたのでしょうか?(17:25~)

A2. 自分のテリトリーを表現したい、皆さんに伝えたいという想いから始めました。元々ピアチェンツァのメイン産業はワイン産業でしたが、丘陵地ゆえに農業が大変ということで、工業化が進んでいった時にそれらに関連した仕事が町に流入し、農業離れが進んでいく現状があり、そのような状況を私は放っておけませんでした。また、放ってしまった結果、二束三文で畑を手に入れて、そこで僕に言わせるとソフトドリンクみたいなワインを造る人々が多くなってしまっているという現状もあり、それらのワインはこの土地を体現するものとは私には思えず、そのことに腹ただしい思いがありました。最初は遊び感覚で造り始めたけど、ラ ストッパなど割と小さな規模からスタートしているワイナリーもあり、彼らと持ち寄ったワインに対してああでもない、こうでもないと色々言いながらやっていました。ほぼ同じフィロソフィーでブドウ栽培、醸造を行っていて、近所にもかかわらず、彼らのワインと自分のワインは、当たり前ですが全く異なることに気が付きました。その違いというのが、ワインの美しさであり、ワインのあるべき姿を体現し、それを体験できたことで確証を得ながらここまでやってきたと思います。地域の共同組合のワインは最新技術を駆使して造るワインで、そういったワインを美味しいと思えなかったこと。また、土地の個性をマスキングしてしまうということにも気が付き、今のワインの造り方を選ぶキッカケになりました。

どうやって両立していたかというと・・・当時は若かったのでできた!って感じです(笑)。なので僕には、土日や祝日というものはなく、その時間を全て畑仕事に費やしていました。もちろん、奥さんはワインを造ることに対しては、あまり良く思っていなかったようですが(笑)。

そうやってがむしゃらに駆け抜けていた時には気が付かなかったけど、会社を辞めて自然な環境に身を置いて、色々なことを経て経験値も上がっているのももちろんあるけど、今の環境に長くいることで多角的に物事を見られるようになったと思います。今皆さんが飲んでいる僕のワインにも、僕の考えや経験が反映された、熟したワインを飲んでいただけているのではないかと思っています。ここまで仕上げるのには、時間もかかったけどね(笑)

④まとめ

アルベルトがワインを造り始めたキッカケについては、私は今回のセミナーでお話を聞くまでは自身のワイン好きが高じて遊び感覚で始めたという経緯しか知らず、ラ ストッパが近所であることは知りませんでした。セミナーでは彼のワイン造りや地域に対する想いを聞くことができ、またワインでその土地を体現していくという覚悟があることを皆さんにも感じていただけたセミナーになったのではないかと思います。(担当:中林)

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