toggle
2019-10-08

【新入荷】2019年10月 その1(Daniele Piccinin、L’Acino)

イタリア出張から帰ってきて早2週間…オータにとって造り手と過ごす時間は、気付き、確信、覚悟をいただける場でして、体力的には全くもって楽ではない旅なのですが、高品質&高濃度の精神的充電が図れるという意味で、本当にかけがえのないものだったりします。とはいえ、3週間も留守にしますと溜まっている仕事のボリュームもなかなかでして、帰国後の楽しみのひとつだった心の師匠のニューアルバムをほとんど聴くことなく現在に至っております…(涙)。そしてなんと3週間後には再びイタリアに!その前にやるべきことが山積み!!というわけですので、今回も起源話はナシで新入荷案内に入らせていただきま~す!(これまでの”起源話”はこちら

ダニエーレ ピッチニンからは、ビアンコ ムーニ&モンテマーグロの2017ヴィンテージが新入荷、欠品していたアリオーネ2015と絶賛販売中のピノ ネーロの2016の最終在庫600本が再入荷、そして久々なオリーヴ オイルも届いております。

2015年、2016年に引き続き、2017年も濃密なのに飲み心地は軽い!価格を遥かに凌駕するクオリティ&テンションを持ち合わせたワインです。ビアンコは3000本、モンテマーグロは1800本が入荷していますが、1~2ヶ月でなくなることが予想されます…。どちらも大量再入荷の予定もありますので、ガンガンお飲みいただければ、ひじょおおおに助かります!

スパークリングワインと呼べるだけのガス圧を得るために、過剰な補糖や酵母添加をするくらい(そしてドサージュ…これがいちばん問題かも…)なら、仮にガス圧が低くてもフリッザンテで大いに結構!!と思っているオータですので、スプマンテに心奪われることは稀なわけですが、このアリオーネとデ バルトリのキュベVSは別格中の別格です!

ピノ ネーロ2016も、もうすでに十分美味しいとは思うのですが、1年後くらいには大化けそうな気が…。こちらも是非!!

今回のイタリア出張中の食のハイライトはどこだったかといえば、それは間違いなくカラーブリアです!チンクエ カミーニの故オッターヴィオの親友ジャン ルイージが経営するレストラン、イル カルパッチョでは、“満山羊全席”なおもてなしを受けました。前菜からメインまで6皿全てに山羊肉が使われていて、その他に供されたのはサラダとフルーツのサボテンの実のみという潔さ。どれも素晴らしく美味しくて、前半に飛ばし過ぎたことが裏目に出まして、メインの最後、仔山羊の頭のオーブン焼きに全く口を付けられなかったことは悔やんでも悔やみきれません…。

一生忘れられない味がもうひとつ!ジェラテリア パッサレッリのジェラート!!それぞれのフレーバー(味?)は、段ボールの裏側にマジックで手書き。“キュウリ味”、“ジャガイモ、トマト、バジリコ味”などファンキーなフレーバーもあるにはあるのですが、食べてみたらそれほどぶっ飛んでいるわけでもなく普通に美味しい…。そして何よりも軽い!あそこまで甘さを抑えた、食べ心地の軽い、喉の渇かないジェラートをオータは他に知りません!!ちなみにオータは2日連続で訪問、計5個(10フレーバー)をいただいたのですが、2日とも激しい昼食後(ランチが終わるのが17時とかなんです…)、ディナータイム(20~21時)がひたひたと迫る時間帯に行ったのですが、あのジェラートを食べていなかったら、夜は全くフォークが進まなかったと思っています。某杜氏が言うところの“腹が減る酒”は何度も体験したことがありましたが、“腹が減るジェラート”は初めての体験でした。パッサレッリさん、引退も視野に入れているようなので、ご興味を持たれた方はお急ぎください!

この2軒に食べに行って、ラーチノのディーノを訪ねるだけでも、カラーブリアの虜になること請け合いです!と話は脱線気味に始まりましたが、ラーチノから定番の新ヴィンテージと新しいワイン2種が届きましたぁ!

ディーノ達が自ら植えた畑のブドウをメインにしたコーラ ビアンコ2018年ヴィンテージが入荷です。酷暑だった2017年は、樹齢が若いこともありブドウ樹が乾燥に苦しみ収量も限られたため、日本への入荷本数も600本程度でしたが、2018年は2400本届いております!気難しいところのないステキなワインです!

新登場の2ワイン、どちらも変わった名前となっておりまして、説明が若干長くなってしまうかと…。

まずはスカルペッタ2017!
スカルペッタは“小さなスカルパ(靴)”という意味なのですが、イタリア語で“スカルペッタをする”というと、パンでお皿に残ったソースを拭う行為を指します(ちぎったパンが“小さな靴”に見立てられている…)。オータ家では、僕が常々スカルペッタ、スカルペッタと言っているから、うちの子供たちも自然にその言葉の意味を理解し、自らその言葉を使うに至っているんだという話をしたところ、感心を通り越してほとんど感動してしまったディーノ(笑)。曰く、お皿をパンで拭うという行為は、今日あまりお上品な食べ方とは認識されていないけど、余すことなく食べるという意味では非常に大切な食のジェスチャーであり、そしてその料理を作った人に対する賛辞の表明方法でもある…。そんな意味深い(イタリア語の)単語を、イタリアから遠く離れた国の子供たちが使っているだなんて…ディーノ、胸熱…という事らしいです(笑)。ですので、この名前はうちの子供たちに捧げた名前とも言えるのかもしれません…。使用されているブドウは、カラーブリアではカラブレーゼ(“カラーブリアの”の意)と呼ばれる品種なのですが、僕達が知るところのネーロ ダーヴォラだそう(笑)。穏やかで柔らかなワインです。

そしてもう1つがルネ マグリットの油彩画“イメージの裏切り”に書かれている言葉“Ceci n’est pas une pipe(これはパイプではない)”ならぬ、“Ceci n’est pas un Magliocco” (スシ ネ パ アン マリオッコ、フランス語で“これはマリオッコではない”)という名前のワインになります…。
使われている品種はマリオッコ カニーノ。ネットなどで調べると、マリオッコの亜種の1つかのように書かれているのですが、ディーノ曰くマリオッコとは何のゆかりもない品種だそう!!DOC制定前には、“カニーノ”と呼ばれていたそうで、制定のどさくさに紛れてコトを単純にするためか、前に“マリオッコ”を付けることにしたそうです…。カラブレーゼといい、凄い話ですよね。マリオッコ以上に荒々しいタンニンを持ち合わせている一方で、他の要素はマリオッコよりも典雅…というのが試飲したオータの印象でしょうか。

スカルペッタもスシ ネ パ アン マリオッコも生産量の大半が日本に来ておりますので、写真をジャンジャンアップして世界中のインスタグラマーを悔しがらせてあげてください(笑)。

尽きることのない好奇心の持ち主のディーノ、今年も聞いたことないようなブドウを2種類試験醸造しているそうです(それぞれ150リットル!)。今後もラーチノからは目が離せません!!

還元の雰囲気もどこへやら、今や価格と内容に良い意味で釣合の取れていないコーラ ロッソ2016を始めとした他のワインもよろしくお願いします!!

*ブログ掲載時には完売している場合もございます。ご了承ください。

文:太田久人
231 236 237 nuovo19.10.08

関連記事