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2017-02-28

【新入荷】2017年2月 その4

昨夏家族でイタリアを訪れた際、謎の発疹がオータ家全員に蔓延、中でも愛娘ユヅキは顔中にできてしまい、とても可哀そうな風体となってしまったのですが、外見も発言もイカついけど実は心優しきフルヴィオ ブレッサン、オータ家到着後ユヅキの発疹を見るなり、

「う~ん、この手の発疹…気に入らねえな。」と一言。その直後に誰かに電話をかけ始め、電話の相手が1-2時間後に到着、

「イザート、こいつは俺のマブダチなんだけど、モンファルコーネにあるこのあたりの総合病院としては最高レベルの病院の外科のトップなんだよ。」とフルヴィオ。あの…そんな偉い方を別に呼びつけなくても、うちらが彼のところに診察してもらいに行っても良かったのでは??と思いつつも、ありがたく診断を受け処方箋を書いてもらい、フルヴィオの奥さんが薬局に出向き薬を買ってきてくれました。見ようによっては非常にマフィアチック(笑)なエピソードのようですが、きっとフルヴィオ自身が友の頼みとあらばどこまでも!を実践しているからこそ、彼の若干無茶目なお願いにも友人は応えてくれるのかと。オータもかくありたいと思います…とここまで書いたところで、そういえば僕もフルヴィオからも一つ頼まれ事をされていたことを思い出しました!とある日電話がかかってきて、

「イザート、お前に質問…いや頼みがあって電話してるんだけどよ…。実はとある畑が売りに出てさ…これがまた素晴らしいんだ。知っての通り、セラーへの設備投資とかそんなもんにはもう一切興味ないが、素晴らしい環境、条件の整った畑となると話は別だろ。まあまあな広さがあるから、ブレッサン家としてはかなりの負担を強いられる投資となるわけだ。イザートがうちのワインを扱い始めてまだ2年くらいしか経っていないし、お前が日本で俺たちのために素晴らしい仕事をしてくれていることも分かっちゃいるんだが、俺自身あの畑を買うことに踏ん切りつけるためにもお前に後押ししてもらいたくて…。別に具体的な本数とか金額とかがあるわけじゃないんだが、今後もっともっとブレッサンのワインが日本で飲まれるよう最善を尽くすよ、っていうお前の言葉が欲しいんだ。」とフルヴィオ。

もちろん!!と彼には答えたわけですが、この電話での会話のことなど今の今まですっかり忘れておりました…。ですが!!!!今回入荷分は、前回購入時のきっちり2倍の仕入れになっていました(笑)!!!!!!今回新たにご紹介するワインは7種類になりまして、内容的には…

Carat 2012(カラット):この地域の伝統的なセパージュであるフリウラーノ、マルヴァジーア、リボッラ ジャッラで造られるワイン。皮ごとの醗酵、樽熟成、ノンフィルターでボトリング。2011に比べるとシュッ!としたワインです。

Pinot Grigio 2012(ピノ グリージョ):2011は生産されなかったピノ グリージョですが、2012年は皮ごと醸さずに所謂白ワイン的な造りをしたタイプを1000リットル、そして皮ごと約半年間醸したタイプ(グリージョ イン グリージョという名前になります)を1000リットル生産しまして、今回入荷したのは醸していないノーマルタイプのピノ グリージョです。もう既に美味しいです!!前回入荷したグリージョ イン グリージョは06ヴィンテージだったのですが、リリース当初はその香りのファンキーさに輸入したオータ自身もおののきました…。ですが、今現在のこのワインの凄みといったらもう…最高です。皆さんも2012のリリースを楽しみにしていてください!

Schioppettino(スキオッペッティーノ)の08マグナムと09の750mlボトル:彼らはスキオッペッティーノの畑を5ha所有しているのですが、08,09,10と3ヴィンテージ連続で生産本数が3000本足らず…1haあたり600本(450リットル)だなんてゼロに等しい数字ですよね…。スキオッペッティーノは非常に繊細なブドウで、開花-受粉の時期の雨に弱く結実不良を起こしやすいそうです。前述の3ヴィンテージとも開花時期の雨のせいで、通常でしたらブドウ一株当たり900g程度のブドウの収穫を見込んでいるところ200g/一株という低収量となり、そのせいで恐ろしく凝縮感のあるブドウになったそうで…。ブレッサンのワインの中でも最も引き合いがあるのがこのスキオペッティーノで、08の750mlを買い逃してしまいました…。というわけで、08に関してはブレッサン家の分以外のマグナム残り全ていただいてきました。なんとか滑り込みでゲットできた09(750ml)も300本のみの入荷となっておりますので、そう長くは持たないと思われます。09が終わり次第、一緒に入荷してきました2010をリリースします!08は非常に落ち着きがあり、09はまだやんちゃですが早々に大人じみてくるかと。

Ego 2010(エゴ):エゴはカベルネ フランとスキオッペッティーノを混醸したワイン。“エゴイズム”という言葉の語源であるエゴはもともと“自我”という意味。外来種(異文化)と土着品種(伝統)を混醸するという選択、行為によって、ワインにフルヴィオ自身(エゴ)も投影するのでは…といったことなのかと。ボトル1本1本手書きでサインが書かれています(ペンで書かれておりますので、かすれやサインが若干消えかかっているものもありますが、大目に見てください)。

フルヴィオは、カベルネ系のブドウはフリウリ(ないし更に限定された区域で、彼の畑があるイソンツォ地区)という土地には本質的に向いていないという持論を持っています。彼の理想とする完熟までブドウを導くためには暑い夏であることが必須とのこと。確かに、酷暑の夏だった2003年には4種類のボルドー系の品種を使用したワイン(エゴ、No.3、クラウン ドメイン、メルロー)がリリースされました。で、今回入荷したのが2010ということは…そうなんです、04-09ヴィンテージのボルドー系のブドウは収穫さえされていないのです!!!!恐るべしフルヴィオ。

ブレッサンの赤ワイン全般に通じてある独特な香りに関して、彼らも色々な人から聞かれるようで、フェイスブック上(Nereo Bressanで探してみてください、綺麗な写真もいろいろ見れますよ)で奥さんイエレーナがこのような文章をアップしていました。

良く私たちのお客さんから、このスパイシーで完熟感に溢れるかぐわしい香りはどこから来るのかと聞かれることがあるのだけれど、私たちはいつもこう答えることにしているの。

「それを知るためには、収穫の時期にワイナリーに来てみて。そして樹に生った状態のブドウを見て、味見して、畑の空気を吸い、流れる風を顔で感じ、畑にある石に触れてみてほしいの。その風が雨で濡れたブドウも乾かしてくれ、(畑の)石が太陽光を反射しブドウを更に熟させることを想像しながら…。でも来るなら9月15日以降でないとダメよ。なぜならちょうどこの時期に暑く乾燥した夏の後の初雨が降り、気温が下がり、するとそれにつられるようにブドウ樹も慌ただしく活動するようになり…、(1日のあいだの)寒暖差はブドウの皮の中にある香味成分の熟成という恩恵をもたらし、種は茶色くそして硬くなり…そう、次世代の子孫を残すために…。このナチュラルなサイクルを全うさせることこそが、私たちの考えるブドウの成熟、完熟には不可欠なの。剪定からボトリングまでの全ての過程が大事なのだけれど、ブドウの完熟を待ってから収穫をすることなくして、ブレッサンのワインにある様々な香りや凝縮感はありえないの。ワインは決して魔法なのではなく、自然そのもの、(ヒトの)自然への敬意、勇気、献身が結実したものなのよ。」

Pinot Nero 2009(ピノ ネーロ):1年前に入荷していたのですが、08が先日ようやく終売しましたのでこちらをリリースします。ブレッサンの赤ワインの入門編は間違いなくこのピノです!

Pinot Nero Riserva 2006(ピノ ネーロ リゼルヴァ):3-4年前にリリースされたピノ ネーロ06(木樽での熟成期間5-6年)と、もともとは同じワインだったのですが、2000リットルの大樽に入ったピノを更に熟成させることに。9年間の樽熟成を経てボトリングされたのが今回ワインです。フルヴィオをして「なぜこんなに美味いのか、俺自身良く分かんねえんだよ。」というワイン(笑)。それこそリリース当初のグリージョ イン グリージョ06を髣髴とさせる香りもありますが、短期間でその向こう側の表情が出てくるのでは?と踏んでおります。※IGP格付けのため、ラベルにリゼルヴァ表記はございません。

上記ワインに加え、

Verduzzo 2011(ヴェルドゥッツォ):今現在は甘口のワインに使われることが多くなったヴェルドゥッツォという品種を伝統に則って辛口に仕上げたワイン。モスカートやマルヴァジーアとは一線を画した独特のアロマのあるワインです。

Rosantico 2012(ローザンティーコ):ピンク色のマスカットを意味するモスカート ローザで造られる、ロゼワイン的色調の赤ワイン…とどのつまりロゼワイン(笑)。硬い印象のあった2012ですが、そろそろほぐれてきたのではないでしょうか。2013年は生産されていないため、次回は来年リリースされる2014年ヴィンテージという事に…。

No.3 2003(ヌーメロ トレ):ブレッサンのワインで、僕が最近一番気になっているのはこのワインかもしれません。カベルネ ソーヴィニョン、ピノ ネーロ、スキオペッティーノを混醸。このワインに使われているスキオペッティーノは樹齢120年を超える区画のもので、フルヴィオはこの区画に関してはボルドー液さえも散布しないで完全放置しているそう。

Cabernet Crown Domains 2003(カベルネ クラウン ドメインズ):カベルネ ソーヴィニョン&フランのワイン。土地に適した品種ではないという事で徐々に抜いていくことを検討しているようです…。もしかしたらこの2003が最後のヴィンテージかも???

Pignol 2001(ピニョール):ピニョーロ100%。フルヴィオもラディコンもグラヴナーも、フリウリの赤の土着品種の中では唯一ネッビオーロやサンジョヴェーゼなどの品種に対抗できるだけのテンションを持ち合わせていると考える品種になります。ただ膨大な量のタンニンを持ち合わせているため、超長期間の樽熟成が必須で、栽培されることが少なくなっています。価格のせいもあるのか、ブレッサンのワインで最も動きが鈍いのがこのワイン(苦笑)。でも良く考えてください、樽熟成に10年以上かけてリリースされるワインがこの価格なんですよ???考えようによっては安いような…。今回03が入荷してきているのですが、01が終売してからリリースします!

余談ですが、今年長らく取っておいた1997年ヴィンテージをボトリングするという噂もありまして…20年間の樽熟成ってフルヴィオ…ほんと凄い男です!ブレッサンのワイン、もっともっと飲まれていい気がします。是非!!!!!!!!!!!!

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