【新入荷】2020年7月その2(De Bartoli、Monte Maletto、Cascina Roccalini)
だだ商店だだ食堂がオープンして、はや一ヶ月…。僕自身、これといった役割を担っているわけではないのですが、なんだかんだと時間もエネルギーも持っていかれておりまして、いつも眠いです(笑)。オータ的には、一家を巻き込んだ壮大なプロジェクトということもあり、生活面でのペースも全くつかめていませんし、当初予定していたコトやモノを全て用意するところにさえ至っていませんが、ひとつひとつ形にして、皆さんにもご紹介していきたいです!そんなこんなで、ワインの起源の最終章(予定)を書き進める時間が全く見つけられません!ですので、挨拶もそこそこにして、新入荷案内行きます!
ワイナリーそのものがもはやワイン博物館とでも呼べそうな、シチリアのデ バルトリからは、偉大なワインにして偉大すぎる調味料ヴェッキオ サンペーリを含む、欠品していたワインと、新商品が2つ届いております。 欠品していた商品の詳細(再入荷ものなのか、新ヴィンテージなのか)はリスト部分をご参照いただくとして、ここでは新商品のご紹介を。
マルサーラ オーロ スーペリオーレ リゼルヴァ2004:故マルコ デ バルトリは、伝統、そしてワインというカテゴリーからでさえ大きく逸脱してしまったマルサーラというお酒の置かれる状況に義憤を感じて1970年代後半に自らワイナリーを興したわけですが、創業当初は酒精強化ワイン(=マルサーラ)を造るつもりがありませんでした。彼が安定した地位や富を辞してまで実現したかったのは、イギリス人が酒精強化という技法を持ち込む以前にマルサーラで広く採用されてきた、(酒精強化を行わずに)長期間に渡る酸化的な熟成を行う、この地域でストラヴェッキオと呼ばれていたワインで、マルサーラ中の農家や廃業したワイナリーを周り、優良なストラヴェッキオを買い集め、それらに自らが醸した若いワインを少量ずつ補てんするという、ある種の“修復”を施したワインをヴェッキオサンペーリ(以下VS)と名付け、1980年に初めてリリースします。その後数年間はヴェッキオサンペーリだけを造っていたのですが、「他との差や違いを見せつけるためにも、マルサーラという土俵に上がるのもありなのでは?」という友人たちの勧めもあり、マルサーラを造り始めることに。若いVSにミステッラ(ブランデーとグリッロのモストを混ぜたもの)をブレンドしたものを、酒精強化してからの熟成年数に応じてスーペリオーレ(最低でも2年の熟成)、スーペリオーレ リゼルヴァ(4年)、ヴェルジネリゼルヴァ(10年)といったカテゴリーでリリースし、そして今現在までに3回(1986,1987,1988)だけ、酒精強化した年を明記したスペシャルなリゼルヴァを造ってきました(マルサーラにヴィンテージ表記がある場合ですが、それはブドウの収穫年ではなく、酒精強化をした年を指しています)。このように初期の彼らのマルサーラは、VSを少々アレンジする形で造られていたのですが、1990年代後半に醸造学を学んだマルコの長男レナートがワイナリー経営に参画し始めた頃からレシピを大きく変え、アルコール醗酵の途中でミステッラではなくアルコールのみを添加することに。 レナート曰く、「若いVSを使うとはいえ、熟成させたワインにミステッラを添加するよりも、醗酵途中のワインにアルコール添加をする方が、プロダクトにフレッシュさをもたらすことができるしね。熟成感に関しては、その後の熟成でいくらでも持たせることはできるわけだし。」 これでようやくイントロダクションが終わりました(笑)。 つまり今回入荷したマルサーラ2004は、2004年産のブドウを使って、2004年に酒精強化を行った、正真正銘の2004年のワインなのです! 弊社的にまだ在庫のあるマルサーラ10anni(10年もの)は、今後リリースされることはなくなり、その代わりとなるのが今回入荷のヴィンテージ入りのスーペリオーレ リゼルヴァとなりまして、最もカジュアルなラインのマルサーラ、ヴィーニャ ラ ミッチャも次回リリース分からヴィンテージ入りとなります。 オールドスタイルで造られた1987や1988とニュースタイルで造られた2004を飲み比べるのも一興かもしれませんね。是非!!
アクト:2013年夏に家族でデ バルトリを訪れた際、料理上手なレナートが何回か作ってくれた料理にインサラータ パンテスカ(パンテッレリーア風サラダ)というものがありました。トマト、タマネギ、茹でたジャガイモとパンテッレリーア名産のケイパーを使ったサラダなのですが、そこに使われていたヴィネガーのあまりの美味しさに僕も妻もビックリ。レナートに聞くと、「あ、親父が造ったやつだよ。あれっ?ヒサトに見せたことなかったっけ?」と言い、僕たちをマルコの趣味の部屋とも呼べる、数々のクラシックカーが並ぶガレージの一角にある樽の前へと連れて行ってくれます。曰く、故マルコは、タンクの底のほうの澱がらみのワインや、酵母以上にバクテリアが活躍してしまい、ワインとは別な世界へと旅立ってしまった元ワインをガレージへと運んでお酢にしていたそう。辛口のワインだけでなく、ブックラムになれなかったワインなども使われているため、バルサミコ的な甘さもあるのですが、あくまでもワインヴィネガーですから、後味は非常に軽やか…。レナートにおねだりして2リットルのペットボトルに詰めてもらってお土産に持ち帰ってきたのに味を占め、行く度に樽から詰めてもらっていたのですが、何をやるにも豪気豪快だったマルコでしたので、デ バルトリ家での自家消費とオータにプレゼントするくらいではとても消費しきれないくらいの量が…。ワイナリーが許可なくお酢を造り、販売することはご法度という事情もあり、次男セバスティアーノが数年に渡るリサーチの後に解決方法を見出します。まずは知り合いのお酢メーカーにマルコのお酢を持ち込み、それに少量の濃縮モストを添加し、再醗酵を促したものを瓶詰めし、イタリアの法律的には“お酢風調味料”としてリリースすることに…。イタリア語で酢は“Aceto(アチェート)”と呼ぶのですが、そこからeを取ってActo(笑)。 ノーマルVSは、平均熟成年数で10~15年と言われていますが、このアクトの平均熟成年数はノーマルVSのそれを軽く凌駕するとオータは踏んでおります。とはいえ、真実は天国のマルコのみぞ知ることでして…。サラダの格が2段くらい上がりますよ!
あと、VSと40年物のVS、クアランテンナーレのマグナムも届きましたぁ!クアランテンナーレのマグナムだなんて…そんなに売れないんだろうなぁ…。動かなかったら、オータヒサトさんに引き取ってもらおっと(笑)。
物静かではありますが、カレーマ愛満ち満ちた男、ジャンマルコ ヴィアーノのモンテマレットからは、エルバルーチェで造るヴェッキエ トノー2018が入荷です。2017年まではエルバルーチェ ディ カルーソDOCを名乗っていたのですが、出る杭は打たれるというやつなのか、官能検査で落とされたようです(笑)。「DOCないと、日本では販売に影響ある?」と聞いてくるので、「エルバルーチェ ディ カルーソDOCにどれくらいのブランド力があると思ってるわけ?」と逆質問しておきました(笑)。2017年はエルバルーチェらしからぬほどに濃密でしたが、2018年エレガントで、もう既にステキに開いております。カレーマのネッビオーロで造る、バッティト デル マレット2015もよろしくお願いします!
バルバレスコのカシーナ ロッカリーニからは、ランゲ ネッビオーロの2017年と2018年が各840本ずつ入荷しております。その飲み心地同様に、スムーズな売れ行きを誇るワインだったりしますので、早期完売が予想されます。 某国に拉致されたおかげ(?)で、当初予定した1.5倍の本数が買えたバルバレスコ2014も、おかげさまで順調に動いておりまして、1~2月以内には終売することが予想されます。2014年が終わり次第、今回のネッビオーロと一緒に届いております、真逆のキャラクターを備えた2015年をリリースします!
*ブログ掲載時には完売しているアイテムがございます。予めご了承ください。
文:太田久人
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【新入荷】オータのアツアツ新入荷・2024年9月その1(Camillo Donati,Il Moralizzatore,Gravner,Stefano Berti,Cascina Roccalini,Trinchero,Pierpaolo Pecorari,Cristiano Guttarolo,Natalino del Prete) 【新入荷】2024年6月その1(Ezio Cerruti,Cascina Roccarini,Bressan,Il Colle,Natalino del Prete) 【2024義捐ワインプロジェクト 第二弾】 【新入荷】2023年5月その2(Camillo Donati,Lucie Colombain,Trinchero,Cascina Roccalini,Daniele Piccinin,Pierpaolo Pecorari) 【新入荷】2022年8月その2(Radikon,Gravner,Pierpaolo Pecorari,Mlecnik,Cascina Roccalini)