【新入荷】2018年11月 その3(Trinchero、Alberto Anguissola、Pacina)
ワイン会などの機会で僕が良くお話するネタの中に、“皆さんがオータにしてくる3大質問!”というものがあります。そのうちの1つが、「このワインの飲み頃っていつ頃?」だったりするのですが、当然のことながら素直に答えることなく、「吉永小百合さんは、いつが一番綺麗だったのでしょうか?」と逆質問するようにしています。彼女が過去も今現在も美しくあり続けているという事に異論を挟む人はそういないと思いますし、彼女の場合、知性や人間性などに裏打ちされた“徳”とでも呼ぶべき、内側に備わっている美しささえも外に滲み出している気がするのは僕だけではないはず。
彼女に限ったことではなくヒト全般に言える事ですし、ワインも一緒だと思うのですが、ありとあらゆる時期時代に、その瞬間にしかない表現力があるはずで、若い時分には奔放でエネルギーに満ち満ちているでしょうし、“角の取れた”とか“円熟の”といった味わいは“若さ”という峠をある程度乗り越えた際に出てくるものなのかと。逆に言うのなら、若さなくして熟成もないわけです。
いきなり話が変わります。去年の12月にわが心の師匠、上原ひろみちゃんのコンサートにパーチナ一家と鏡健二郎氏と行った際、気の利くオータ、ひろみちゃんにプレゼントすべく彼らのワインを用意していたのですが、バックステージで直接渡せることになりました(一同大興奮!)。僕たちが最後の訪問客だったという事もあり、比較的長い時間話す事ができたのですが、ある時突然彼女がパーチナの人たちにも分かるように英語で「I wanna be like wine!(私はワインのようになりたいんです!)」と言うではありませんか!このシンプルな言葉の中に込められた真意を理解するのに、オータは0.1秒もかかりませんでした(笑)。
彼女が言いたかったことは、美(味)しいワインが、その時期、タイミング、状況でしか表現しえない唯一無二、一期一会的な味わい(美(味)しさ)を持ち合わせているように、彼女もその時代、年齢、キャリア、経験、技術等がしっかり映り込んだ、その瞬間にしか存在し得ない味わいある演奏をし続けられる存在でありたい…という事なのかと。裏には、「キャリアのどの時代においても、当然のごとく“上手く”なければいけない。」という彼女のプロとしての強い矜持もあると思います。
つまり…オータとひろみちゃんは一緒のことを言っているんです!!
本質的な意味で美味しいものは、いつでもその時なりの美味しさがあるはず。若かろうが、熟成の極みにあろうが、枯淡の味わいであれ、各々が各々でしか持ち得ない美(味)しさを備えており、これらに良し悪しや優劣の差は存在しない。ワイン自体の熟成状態以外にも、月の満ち欠けや気圧など外的要因もワインの味の開き方に影響を与えると言われていますが、それがなんだって言うのでしょうか?仮にビオディナミカレンダーで根っこの日であったとしても、大事な友人が僕を訪ねに来たのならば、もう2度と訪れることのないその日、その瞬間のために容赦なくえげつないワインを開けるに決まってるじゃないですか!ワインにちゃんと力が備わっているのならば、どんなコンディションであっても、その時なりの美しさを表現すると思うのです。もちろんコルクや保存状態などに問題があった不幸なボトルは例外となりますが…。
飲み頃の話をする前に、老いも若いもずーっと見ていたい、もっと正確に言うのなら一緒に歳を重ねていきたいと思えるような(自分にとっての)吉永小百合的ワインに出逢えているのかどうかの方が遥かに大切な気がするのです。そういった意味では、すでに一生付き合っていきたいと思えるワインと音楽(と奥さん!(笑))を見つけられている時点でオータは最高に幸福なやつなのかと…。
3大質問の残り2つについてはまた後日…。
では、新入荷案内で~す!
<11月の新入荷その3>
【トリンケーロ】
猛者揃いな弊社のラインナップの中にあって、まだその凄み、ある種のコスパや唯一無二さ加減という点で正当な評価を受けられていない気がする造り手の筆頭格、トリンケーロから新しいワインが続々と入荷です!
まずは皆さんお待ちかね、アユート ビアンコ2016!素晴らしい出来栄えだったこともあり、シャルドネとマルヴァジーアの一部を単体でボトリングすることにして、残りをアルネイスにブレンドしたのが今回のアユート ビアンコになります。ですので、例年よりはアルネイスの比率が少し高いと予想されます。ザックザクです!2700本入荷ですが、瞬殺必至かと。
ソーニョ ディ バッコ2016(マルヴァジーア)とパルメ2016(シャルドネ)はそれぞれ420本入荷です。近年リリースされるトリンケーロのワインのフィネスたるや、本当に凄いものがありますが、この2ワインはその真骨頂と言えるかと。是非!
元バルベーラ ダスティ スーペリオーレ(白ラベル)な、テッラ デル ノーチェを久しぶりに買いました!と言っても、穴埋め用に240本だけですが…(汗)。今回届いたのは2013年ヴィンテージです。一番下のレンジのワインなのに、5年後にリリースされるだなんて…。ヴィーニャ デル ノーチェ(以下VDN)やバルスリーナなどを持ち出さずとも、このワインで他の造り手のバルベーラのトップキュベと十分に比肩できちゃう気がします…。早い者勝ちです!
そして今回の目玉ワインはこれ、アユーキ2014です!!!!
2014年は太陽に恵まれなかった年という事もあり、繊細なブドウであるバルベーラにとっては非常に難しい年でした。そこにトリンケーロのワイナリー&家族的な事情も相まって、バルベーラはVDNのブドウのみを収穫&醸造することに。2014年はオータ家第3子ユーキの生まれ年だったという事もあり、全量(5000リットルの大樽2樽)分けてもらい、VDNではなくアユーキ!という名前でリリースすることにしましたぁ!!今回入荷したのは1樽目をボトリングしたものになります。
アユート ロッソ2005は揮発酸も高く、なかなかにファンキーな雰囲気を醸し出していましたし、アユヅキ2009は太陽に恵まれ過ぎちゃったせいか、あからさまなまでに肉感的な佇まいでしたが(ようやく調和が取れてきました!)、アユーキ2014はアルコール度数的にも13.5%と重過ぎず軽すぎず、端正でバルベーラという品種の魅力が最大限に表現されているワインです。トリンケーロの見立て的にも、アユート05<アユヅキ09<アユーキ14という力関係があるということで、価格的にもVDNを少しおまけされた程度で弊社が買ったものとなりますが、弊社的努力で極限まで価格を抑えました!皆さんの清き一本が、ヴィナイオータと円滑な次回入庫を救います!
ヴィナイオータ的グルグルワインのヴィナージュ(全然薄くないですがゴクゴクです)、トリンケーロの自己ベストが世界記録に他ならないと言っても全然言い過ぎだと思えない世界最強グリニョリーノ(グリニョ)13とフレイザ(ルンケット)12、いよいよ本領発揮なネッビオーロ(ノビウス)10、今現在のトリンケーロの感性に則っているという点においては最も現トリンケーロ的な飲み心地を備えたバルスリーナ11、混ぜられている直近のヴィンテージでさえ10年以上前のものという恐ろしいコスパのロッソ デル ノーチェ2(03,04,06のブレンド)、尊大さと親しみやすさを兼ね備えたVDNの08&10と唯我独尊的雰囲気を持つ孤高のVDN07もよろしくお願いしますうううううう。
【アルベルト アングイッソラ】
僕と同世代の方なら、グレンダイザーはご存知でしょうか?マジンガーシリーズアニメの第3作で、フランス、イタリア、イラクでは爆発的な人気(平均視聴率75%とか80%とか…)を誇ったらしいです。去年のヴィナイオッティマーナの後、一部の造り手は大阪、岡山、広島、福岡と食い倒れ旅行も楽しんだのですが、宮島観光の際カンティーナ ジャルディーノのダニエラが、「アルベルト(アングイッソラ)、そこで止まって!ちょっと写真撮るから。」と言って撮った写真を少々加工したものが、アルベルトのFBでのプロフィール写真に使われています。(https://www.facebook.com/alberto.anguissola.9)
厳島神社の大鳥居がアルベルトの角のようにも見える写真の上にグレンダイザーとその主人公デュークが…確かに似ている(笑)。そんなデューク似のアルベルト アングイッソラからは、伝統品種であるマルヴァジーア、モスカート、オルトゥルーゴ、マルサンヌを混醸したカゼビアンコの2016年が1200本ほど、セラー奥で発見されたカゼロッソ2011が270本届いております。
現在はカルカロットと名乗るワイン、もともとはカゼロッソという名前でした。自身の植えた畑には、伝統品種でも何でもないピノネーロしか植わっておらず、当然のことながら樹齢も若い…。そんな時、耕作放棄されかけていた高樹齢のバルベーラとボナルダ、そして上記カゼビアンコに使われているブドウが植えられている区画をアルベルトは借りることにします。今回再入荷のカゼロッソはまさにファーストヴィンテージのワインにあたります。美味しいですよぉ!
この価格帯の白ワインが慢性的に品薄な弊社ですので、今回入荷のカゼビアンコも長くは持たないかと…お気を付けくださいませ!
カゼロッソの弟分のカルカロット&ベルベック2014、澱々スパークリング ハルサメ2014、ピノ ネーロのベーシック版カゼ2014とアルベルトにとってのトップキュベであるリーヴァ デル チリエージョの2012&2013もよろしくお願いしまっす!!
【パーチナ(オイル)】
パーチナの絶品オリーブオイルも2016年が終わったので、2017年物をリリースさせていただきます!美味しいオリーブオイルはもはや調味料です!こちらも是非!
文:太田久人
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