ヴィナイオータ かわら版 ~三浦編 その弐~
三浦の“飲んでもらいたい”ワイン紹介!
タウラージ ポリフェーモ2011(ルイージ テッチェ)
つくば本社の三浦です。
かわら版もおかげさまで2周目を迎えております。前回はラ ビアンカーラのソ サン2010を紹介させて頂きました。リピートを頂いた方々、嬉しいコメントをくださった方々、本当にありがとうございます!今回は夏に訪れたイタリア南部出張の訪問記も兼ねて、造り手、ワインを紹介いたします。
皆さま「生きる」という映画をご存知でしょうか。1952年公開の黒澤明監督の映画です。その造り手を訪ねた際、様々な話で盛り上がる中、DVDを持ってきて「これ見たことあるか?見てないのか。絶対に見た方が良い!」と猛プッシュされた映画です。
ある市役所の課長である主人公が、胃がんで余命幾ばくも無い事を知ることから始まるストーリー。序盤、余命を知る前の、何の目的もなく、無難にただただ書類に判を押す主人公に投げかけるナレーターのセリフが強烈です。
「彼は時間をつぶしているだけだ。彼には生きた時間がない。つまり彼は生きているとはいえないからである。」
この言葉から自身の暮らしを見つめ直すと同時に、この映画を勧めてくれた造り手の生き方、ワイン造りへの覚悟を改めて感じました。
培養酵母の使用 NO
酵素の使用 NO
乳酸菌の使用 NO
タンニンの追加 NO
除酸 NO
清澄 NO
濾過 NO
アラビアガムの使用 NO
裏ラベルに記載されているこれらの言葉。
アラビアガム(安定剤)を除いて、表示義務のないこれらの工程に対し、はっきりNOと記載している彼のワイン。言うまでもなくYESのワインへのアンチテーゼであるとともに、自身のワイン造りへの強い想いが溢れて出しているようにも感じます。
場所はカンパーニア州、エリアはタウラージ。イタリア南部、州自体は海に面していながら、タウラージのエリアは内陸部の丘陵地帯。1997年に他界した父の畑を譲り受ける事で始まった彼のワイン造りですが、当初は何も栽培、醸造について知らなかったそう。1997年から2002年までは友人のためだけに瓶詰めし、販売は2003年から開始。このポリフェーモはルイージの父が生まれるよりも更に前に植えられた樹齢80年近くのアリアーニコから造られています。どの品種よりも晩熟のアリアーニコというぶどうの特色か、トップの香りから、飲み込んだ後の余韻まで総じて厚みを感じつつ、古木であるからか表層的な分厚さではなく、ゆっくりと深みが感じられます。
先日催されたヴィナイオータ2018年大忘年会。飲むワインはブラインドで社員1本持ちよりだったのですが、私が持ち込んだのがこのポリフェーモ。赤ということで、盛り上がりも真っ只中での登場だったのですが、注ぐ度に「何だこれは」「美味しい」と、周りの喧騒を差し置いて、ワインに惹きこまれていくスタッフの姿がこのワインの魅力を語っているようでした。某イタリアワイン界の偉大な造り手の名前もあがるなど、、、ただ代表オータは一発でズバリと。流石でした。。。
訪問時には、飼育が困難で放牧でないとストレスで死んでしまうポドリカ牛のチーズ。サラミも北部より湿気がなく、温度が高いことから熟成が早いため、2,3年ラードに漬けて(ラードの中で)ゆっくりと熟成させたものであったりと。謙虚であり、誠実であり、ブレの全くない一貫性が、ワイン、食べ物、言葉からひしひしと伝わってきました。
ところでちょっと不気味なエチケットのイラスト。これはポリフェーモの由来でもある、ギリシャ神話に登場する一つ目の人喰い巨人ポリュペーモス(ポリュフェモス)。ワインを飲んで酔いつぶれて寝込んだところを、オデュッセウス(ギリシャ神話の英雄)に眼を潰されるというエピソードがあります。飲み過ぎて失敗したことがある方、必飲です。(笑)
ヴィナイオータに入社してワインの感想として聞くようになった言葉「偉大」「グランデ」。マッサヴェッキア、ラディコン、カーゼコリーニなど「偉大」と称するにふさわしい幾つものワイン。それらと肩を並べるポテンシャルを秘めながらも受注、出荷業務の中で手に取る機会が多くはないこのポリフェーモ 2011。年末年始、たくさんの飲み会もひと段落し、ちょっと疲れたかなぁという際に、ゆっくり1本と向き合うのはいかがでしょうか。一口一口、一晩一晩を経るごとにまた違った魅力を感じるワインです。
どうぞよろしくお願いいたします!
<<三浦の飲んでもらいたいワイン紹介>>
銘柄:Taurasi Poliphemo 2011 / タウラージ ポリフェーモ2011
造り手:Luigi Tecce / ルイージ テッチェ
地域:伊カンパーニア州
ブドウ:アリアーニコ
希望小売価格:6,500円(税抜)
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