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2019-02-14

【新入荷】2019年2月 その2(Massa Vecchia、Camillo Donati、Luigi Tecce、Daniele Portinari、La Calabretta)

とある本をきっかけに、脳内禅問答が止まらなくなったオータです。その本のおかげで、数年来考え続けてきたいくつかのコトやモノのルーツを辿る旅の終着点が見えてきたような気がしています。いつかこの場で披歴させていただくことになると思うのですが、書き上げるためには膨大な時間が必要になりそうです…。少しずつ書きためて、年内中にまとめられたらいいなと考えております。一部はオータが考えに考えた末に辿り着いた仮説でしかないのですが、この仮説から世界を見渡すと腑に落ちることが結構ありまして…。腑に落ちる前と後では、その世界の見え方そのものも変わってしまう事にも気が付いていただけると思います。楽しみにしていてください!

禅問答に頭を占有され過ぎて、気の利いた小ネタを1つも思いつかないので、早速新入荷案内に行かせていただきます!

まずはみんな大好きマッサ ヴェッキア!今回入ったワインは以下の通りとなります。

●アリエント2016:ヴェルメンティーノ主体のワイン。2015年ほどのアロマティックさはありませんが、2015同様に気難しさがなく、味わいもそこそこに開いています。とはいえ、しばらくその存在を忘れることを強くお勧めします…。

●ヴィータ2016:屋外に設置したセメントタンクで全房醗酵させたマルヴァジーア。先代ファブリーツィオは、「このワインは、フランチェスカが今までに造ったワインの中でも最高傑作だと思う。」と目をウルウルさせながら言っていました。強く、優しく、しなやか。約2000本の生産量があったのですが、2019年にリリースできるワインがとても少ないという事もあり、今回は半量だけリリースすることにしたそうです。

●クエルチョーラ2015:サンジョヴェーゼ&アリカンテ。酷暑の影響か(=やたらと凝縮したブドウと活力(ないし密度)に欠ける酵母たち…)、醗酵がなかなか終わらず、バクテリアにも活躍のチャンスが生まれてしまい、結果として揮発酸が少々高いワインに…。オータ的には何の問題もないレベルと判断したのですが、フランチェスカと夫ステーファノは、特にイタリアで問題が起きることを危惧し、単体でボトリングすべきかどうかを迷っていたのですが、とある日メールが…。

「ステーファノともよく話し合ったのだけど、クエルチョーラ2015は、全量をヒサトにオファーしてみようってことになったのだけど…どうかしら?」

「ひゃっほ~い!もちろん全部いただきま~す!」と即レス、本当に久しぶりにまとまった本数が入荷です!もう全然美味しいですが、しばらく置いておいた方が絶対良いワインです。

●レジリエンテ (ノンヴィンテージ):どう活用したものか困っていた前述のクエルチョーラ2015(全体の30%)を、ベラーチェ2016(サンジョヴェーゼ&マルヴァジーア ネーラ)(70%)にブレンドしたワイン。全量マグナムにボトリングし、2012ヴィンテージに続いてレジリエンテを名乗ることに(2012はメルロー100%)。今更ながら、レジリエンテという言葉の意味を調べてみたのですが、“変化への対処能力のある”(反対語が“脆弱な”)だそう。

従来なら、共同オーナーであるスイス人の意向を汲んだ“万人受けしそうな”果実味豊かだけどサクサク飲めるワインを造るためのブドウ(メルロー)が、マッサ ヴェッキア(ないしマレンマ地方)の2012ヴィンテージを象徴するような尊大なワインになったのがレジリエンテ2012。に対して、ブレンドをすることで、クエルチョーラ2015にとっては高い揮発酸の抑制と軽い飲み心地を、ベラーチェ2016にとっては酒躯と鋭さを付与することに成功したNewレジリエンテ…。やはり、“ピンチはチャンス!”なのかと!!

●パッシート2016:天日干しのアレアーティコで造るワイン。2015ヴィンテージは、天日干しの具合を若干強めにしたらどうなるのか?という試みを行い、結果アルコール度数10%未満のワインが…。2016年は天日干しをしていた時期の湿度が高かったために、干し上がりにもやたら時間がかかった上に、(干し上がりの)タイミングがまちまちだったという事情と、より長いマセレーションを施してみたいというフランチェスカの希望もあり、干しブドウの取り込みを3回に分け、3段仕込み的に仕込むことに。(=1回目に取り込んだブドウを潰し、醗酵を促し、その醗酵中のモストに2回目に取り込んだブドウを足しさらに醗酵させ、そこに3回目に取り込んだブドウを加え…。こうすることで、1&2回目に取り込んだブドウに関しては通常よりも長いマセレーションをしたことに…。)

●イル カント デル フオーコ2010(炎の調べ):2年前に入荷しましたこのワイン、セラーに残っていた60本全量をもらってきました!2010年は、フォルナーチェのサンジョヴェーゼが質的にも量的にも豊作だった年で、全量をベラーチェとして仕込まず、一部のブドウを翌年3月まで陰干しし、サイズ的にも材質的にも伝統的なスタイルで造られたヴィンサント用の樽で5年間醗酵&熟成させることに。ノンフィルター&酸化防止剤完全無添加でボトリング。

Mr.微発泡と呼びたいところですが、うまく発泡しなかったワインも頻繁に世に出してしまっている(笑)、カミッロ ドナーティからは2017ヴィンテージの白(750ml入り)の最終在庫が届いています。今回は、若干お買得になりましたマグナムボトルも同時にリリースします!

実は、これまで入荷してきましたカミッロのマグナムボトル、ヴィナイオータにとっては非常に“頭の痛い”商品でした。なぜかと言いますと…、弊社の仕入れ価格がフルボトルの3倍以上(つまり量単価的には1.5倍以上…)していたのです…。だからといって、弊社がフルボトルに対してマグナムボトルを3倍の価格にするというのもいかがなものかと考え、2倍強の設定をしていました(=利益ほぼゼロ…)。ガス圧にも耐えられるような重量のあるマグナムボトルの価格は、カミッロが使用している750mlビンの4-5倍くらいはすると思いますので、仕方がないなぁと思っていました。

ですが、2017ヴィンテージのマルヴァジーアとソーヴィニョンを大量にマグナムにボトリングし、「ヒサト、マグナムがXXX本くらいあるんだけど、何本くらい要る??もちろん、全部持っていってくれてもいいんだよ!」と思いやりがあるようでいて、ヴィナイオータにとっては非情な(笑)オファーをカミッロがしてきたので、

「マグナムだけど、引き取れてYYY本くらいかなぁ…。これは前から言おうと思っていたことなんだけど、カミッロの場合フルボトルとマグナムの価格差があり過ぎるよ。カミッロが、マグナムだからって尊大な値段を設定しているとは思っていないし、むしろ物凄く高いマグナムボトルの価格を“馬鹿正直に”反映させただけの値段なんだって思っているよ。でも、ヴィナイオータ的に量換算で1.5倍の値段は付けるわけにはいかないから、マグナムには利益をほとんど乗っけてなかったんだよね。そんなわけで、(マグナムを)買えば買うほどヴィナイオータは疲弊していくという…。俺がカミッロなら、ほんの少しフルボトルの値段を上げて、マグナムをフルボトルの2倍ないし2倍強にとどめる感じに設定するかな…。」と書いたところ、

「マグナムの件、すっごい考えてみたんだけど…、たくさんマグナムを生産するってことに関しては僕の間違いだったって結論に達したよ!(熟成のポテンシャルもあるから、)僕自身マグナムは好きなんだけど、ボトリングに手間もかかる上に、商売的にも楽なわけでもない…。3年前まではホントに少しだけマグナムに詰めていて、その大半は自家消費用だったりしたんだけど、リベッレ2016の素晴らしい出来※に気をよくして、全生産量をマグナムにボトリングすることにしたんだよね。そして、(心情的な勢いがまだ続いていたからなのか、)2017年のマルヴァジーアとソーヴィニョンもバカみたいにマグナムに詰めちゃって…。今となっては全て間違いだったと思っているよ。だって、普通にフルボトルに詰めていたら、とっくにすべて売り切れていたろうから…。ま、大事なのは間違いから何を学ぶかってことなわけで…。そんなこんなで、今ここに売れ残っているマグナムなんだけど、ヒサトにだけ純粋にフルボトルの倍の値段で出すことにしたんだ。もちろん君に興味あったらの話なんだけどね。」

(※酷暑だった2016年、種や各種フェノールの熟成を待ってから収穫したとしたら、糖度の上がりやすいバルベーラは容易に15%以上の潜在アルコール度数となり、酵母がビン内2次醗酵を起こしづらくなる…と考えたカミッロ、完熟を待たずにバルベーラを収穫、マセレーション期間も最小限に留め、ロゼワインを造ることに。それがリベッレ2016になります!)

白750mlは瞬殺必至です。マルヴァジーア&ソーヴィニョンのマグナムは、今回は240本のみの入荷なのですが、今後もがっつり入ってきますので、ガンガン飲んでいただけると助かります!

[ランブルスコ2017 価格改定のお知らせ]
結局しっかり発泡することのなかったランブルスコ2017ですが、またしてもカミッロが安く出してくれることになりました!!!(2017年2月出荷分より希望小売価格2,200円に変更いたします。) エレガントがお好みなら2016、むっちりめがお好みでしたら2017をおすすめします!!

セラーや家の恐ろしいレベルの片づけ具合、チーズやハムの切り方や盛り方などを見れば、仕事面でもマニアックなまでにディテールを追求していることが容易に想像できる、孤高のタウラージの造り手、ルイージ テッチェのセカンドライン アリアーニコ、サティリコン2015が届いております!もうめっちゃ美味しいです!!

弊社スタッフ三浦のステキな文章で、皆さんにも少し振り向いてもらえた感のあるワイン、タウラージ ポリフェーモ2011、本当に凄いワインだと思いますので、こちらも是非!弊社的には3ヴィンテージを在庫する事態となり困ってます(涙)ので、清き1本よろしくおねがいします!!

地味だけど滋味深いワインを造る、ダニエーレ ポルティナーリタイ ロッソ2013が売切れましたので、2014をリリースします!
1年を通して全くと言って良いほどに太陽に恵まれることのなかった2014年、2015年春にステンレスタンクから試飲したタイ ロッソの味わいの淡かったことといったら…。例年でしたら、収穫年の翌春にステンレスから樽へと移し換えボトリングまで熟成させるのですが、「2014は、ステンレスだけで熟成させて、そのままボトリングしようかと考えているんだ。」とダニエーレ。ブドウに力のない2014年を木樽で熟成させることで、必要以上に酸化させてしまうのではないかと考えたのだと思うのですが、オータの直観は多少なりとも木樽で熟成させた方が良い結果が出るような気がすると言っている…。例えるなら、痩せ細った身体(ワインの酒躯)に、体型のラインが強調されるような服(熟成)を着させるよりも、ふわっとした服の方が似合うのでは?と考えたのかと…。ダニエーレはそんな僕の意見を採用することにし、従来通り木樽で熟成させボトリングしたのが今回のタイ ロッソとなります。我ながらいい仕事したなぁと自負しております(笑)。是非とも皆さんのご意見もお聞かせください!

赤ワインと思うから薄いけど、ロゼワインと思えば全然薄くないし、味わいも濃い部類に入るのでは??的なナンニ2014年(どんな開き直り方なのでしょうか?)もよろしくお願いしますうううう!!!!

シチリアはエトナのラ カラブレッタピノ ネーロ2014が終売しましたので、2016をリリースします!
2014年は、高いテンションのヴィンテージ君とテロワール君がせめぎ合いのセッションしているかのような曲(ワイン)でしたが、2016は品種とヴィンテージが主役を張っている曲な気がします。他のワイン共々よろしくお願いしま~す!

文:太田久人
174 204 214 218 nuovo19.02.14

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