【新入荷】2016年1月その1
とうとう今年最後のメルマガとなってしまいました!本年も皆さんには大変お世話になりました。時の流れるスピードも、その濃密さも増す一方なヴィナイオータですが、今年もなかなかに激しかったです…。2月のヴィナイオッティマーナが、ものすごい昔の事のように思えます(笑)。2016年も、ワインの持つ熱の部分を冷めさせることなく、みなさんに数々のエモーションを提供できるようスタッフ一同頑張っていきたいと思います。
それでは、2016年1月の新入荷ワインのご案内です!!
トスカーナのレ ボンチエからは、対照的なヴィンテージのワインが3つ届いています。
2013年は、気象条件的にも寛大、収量的にも恵まれ、ブドウの品質的にもバランスが取れた年でした。そのことは、今回の5(チンクエ)の2013を飲んでいただければお分かりいただけるかと。均整の取れた、リラックスした佇まいのワインです。こういった年は、チンクエの生産量が減り、レ トラーメの生産量が増えるということで、チンクエの割り当て増量をお願いしたのですが…現状維持でした。
対する2012年は、夏場に3ヶ月全く雨が降らないかと思ったら、収穫期に雨がたくさん…ヒトにとってもブドウ樹にとっても非常に難しい年で、その痕跡は今回入荷のレ トラーメ2012に表現されているように思います。なんと言いますか、端正なのですが非常にナーバス。でも、飲み心地がないわけではないので、ツンデレなワインということにしておきます(笑)。
そして恐らく最初にして最後のワイン、トンダーレ2011も入ってきました!!酷暑だった2011年の収穫&仕込みは非常に複雑を極めました。酷暑を生き延びるために、子供(ブドウ果実)から水分を奪うことにした樹もあれば、健全なブドウを生らしたものものもあり、やたら凝縮したブドウを生らした樹も…。2011年秋に僕が彼女を訪ねたのが10/5だったのですが、セラーでワインのプレス作業中。例年からしたら、異様に早いような気がしたので質問してみると、
「あまりの酷暑で、ほぼ干しブドウ化しちゃったのがたくさんあって、今絞ってるのは、それだけを収穫して醗酵させてたやつなの。あまりにも醗酵スピードが遅い上に、時間が経っても全然残糖がなくならないから変だなぁと思って、試しにブドウの粒を食べてみてようやく気が付いたの。干しブドウからの糖分が、徐々に液体に溶け込んでいるってことに。この時点で潜在アルコール度数的に17%くらいあって、このままもっと糖分が溶け出しても…と思って、今日絞ることにしたのよ。何年もワイン仕込んでいるけど、こんなこと初めてよ。」
その後樽に入れてからも醗酵は止まることはなく、常に微細な炭酸があり…彼女を訪ねるたびに、試飲させてもらったのですが、その横には半ば絶望した体のジョヴァンナ…。
「こんなワイン、どうやって売ればいいのよ?レ ボンチエらしさのかけらさえないし…。」
「どうやって売るかって?ジョヴァンナ、そんなの簡単、ボトリングするんだよ(笑)!そしたらあとは俺に任せてよ。誰も買わないっていうなら、俺が全部買うし。ジョヴァンナは、レ ボンチエらしさって言うけど、みんなジョヴァンナ的予定調和なワインに成長してもらいたいわけ?じゃあリーヴィア(ジョヴァンナの愛娘)のやんちゃぶりも予定調和ってことかい(笑)?そもそも俺たちが愛するワインは、土地、ブドウ、年の個性が余すことなく表現されているものなはずだよね?天気気候に対して、ヒトは何もできないわけだから、あとはそれを受け入れればいいだけじゃない?美味しくないワインだったら問題かもしれないけど、美味しいんだし、何が問題なわけ??」と僕。
そしたら本当に全量きました(笑)。かなりの本数をジョヴァンナ個人として取っておくことにして、残りをすべてヴィナイオータに回してくれたようです。Tondaleとネットで検索しても、どこでも売っていないようなので間違いないかと(やったぜ!)。ボトリング後も微細な醗酵は続いているようで、かなりの確率でワインが漏れています(特に750ml)。一応ちゃんと拭いてお出しはしますが、基本返品交換は不可とさせていただきます事を予めご了承ください。そんなワイン界の一般常識的には欠点だらけのワインですが、750mlのほうを限定ワインとさせていただきます(笑)。ラベルには、涙を浮かべながら笑っている表情のイラストが描かれていまして、それはまさにジョヴァンナ自身の心境を表しているのではないでしょうか。
前回、初お披露目だったにも関わらず瞬殺し、衝撃のデビューを飾ったシチリアのイル チェンソからカタラットで造る白、プラルアールの2013と、ペッリコーネ(別名ピニャテッロ!)で造る赤、ニューロ(シチリアの言葉で黒の意)の2012年が入荷です。去年の春、初訪問したのですが、シチリアおじさんたちの温かなおもてなしを受けました。ロケーション的にも本当に素晴らしく、様々な作物が植えられた、風が常に吹く(病害虫が発生しづらい)、ナチュラルな農業をする上でも理想的な環境でした。
プラルアールは、圧倒的な果実のあった2012に比べるとシャープな印象、ペッリコーネも樽を一切使わずに醸造&熟成をさせているので、ブドウの個性が際立った仕上がりになっています。どちらも生産量の約半分にあたる本数を頂いておりますので、さすがに瞬殺はないと思われます…。
ヴェネト州のダヴィデ スピッラレからは、2014年のワインが届きました!!!ラ ビアンカーラと同様に、甚大な雹害を受け生産量の80%以上のブドウを失ったダヴィデ…ワイナリーを30年近くやっているアンジョリーノでさえあれだけ落ち込んだくらいですから、精神的な部分だけでなく、ワイナリーとして軌道にようやく乗ったか乗らないかくらいのダヴィデにとっては、経済的にも非常にきつい仕打ちだったのだと思います。2014年の白は、ルーゴリもヴェッキエ ヴィーニェも造らず、すべてクレスタンとしてボトリングすることにしました。アンジョリーノのマシエリ2014同様に、全くもって濃度はありませんが、素敵にミネラリーです。
そして、隣のおばちゃんこと、イザベッラ率いるイル ブオンヴィチーノからは、イザベッラがリグーリア州ボナッソーラに所有する別荘に植わっている柑橘で作られたジャムが届いています!!!当然のことながらですが、一切の農薬を使用しておりません。こちらも是非!
※限定ワインの「トンダーレ2011」は、液漏れのボトルが混ざる可能性がありますので、ご了承の上ご注文下さい。
文:太田 久人
139 nuovo16.01.07