Nov 18, 2014

造り手紹介 ペコラーリ その2(2014.11筆)

※ 造り手紹介 ペコラーリ その1(2011.11筆)はこちら!

日本大好き!なアレッサンドロ ペコラーリ、3年前に来日した時はパートタイムでしたが、今は正社員として働くマッテオと一緒にまた来ます!!!

今回の文章は造り手の紹介文とは言えないかもしれません。でも、オータの悩み、苦悩は垣間見える文章かと(笑)。

ヴィナイオータ(オータ)は、造り手と非常に人間臭い付き合いをしているので、スムーズに行くこともたくさんありますが、時にはぶつかり合う事もあったりします。
アンジョリーノ(ラ ビアンカーラ)とは、白ワインの醸し醗酵に対して彼がもんのすごく否定的な立場をとっていた時や、今やヴィナイオータを代表する造り手である農民詩人醸造家哲学者パン屋アーティストな天才鬼才、パーネヴィーノの事でも激しく言い争いをしたことがあります。アンジョリーノに限らず、ラディコンともちょこっとやったことがあるような気もするし、ブレッサンとは初対面でいきなり激論交わしたような…。とはいえ、それもこれもお互いに本気ゆえの衝突なわけなので、仲がこじれるということは一度も経験していません。

ペコラーリともなんだかんだで14年取引していて、その間、彼の奥さん(別のワイナリーで醸造責任者として働いていました)とは一度激しい議論をした(笑)記憶はありますが、アレッサンドロ本人とは全く記憶にありません。

彼の近所の造り手で、ヴィナイオータが取引しているところと言えば、ラディコン、ラ カステッラーダ、ヴォドピーヴェッツ、ブレッサンなど世間的には“ぶっ飛んでいる”ないし“変”と思われている造り手ばかりですし、3年前のヴィナイオッティマーナ東京では、彼のブースがラ ビアンカーラの近くだったので、アンジョリーノが日本の飲み手からはスターのような扱いをされているという、これまた世界基準の世間一般常識では不可思議な現象を目撃したわけです。僕自身がどういうワインを追い求めてきたのか、そして時間をかけて紹介し続けたことで、入荷した当初はネガティブな意味で“エキセントリック”、“変”と認識されていたであろうワインたちも、今や多くの人にとって“普通”、“普遍的”な飲み物となっているという一連の光景を目の当たりにして、彼は何を思ったのか?聞いてみたいけど、未だに聞けていません(笑)。

破綻の全くない香り&味わいで、醸造学的欠陥も見当たらない、世間一般的な観点でなら、“良い品質”と言っても差支えのないワインよりも、色も濃いし、濁っている(かもしれない)し、還元している(かもしれない)など、醸造学的には欠点と言われても仕方のない特性を備えた、だけどキラリと光る個性を秘めたワインのほうがより広く飲まれる…つまり、一般で言うところのメジャー&マイナーが、ヴィナイオータの周りでは立場が逆転し、マイナー&メジャーとなっているわけで…。
ヴィナイオータが取引するワイナリーは、ほとんどが小規模な造り手で、生産地域的にもマイナーな土地であったり、もしくはパーチナなどのように、DOCGという“ブランド”から抜け出たりと、外的要因に(彼らのワイナリーの)知名度アップを期待できない状況だからこそ、ワイン自身が確固とした個性を持っている事が重要となってくるのかと。
ヴィナイオータ自身小さな会社ですから、個性と言いますか、何かギラリ(キラリではなく、笑)と光るものがあって欲しいと願いながらやってきたつもりですし、僕たち個々人に独自の個性があるように、ワインにも強い個性を求めていったら、現在のようなラインナップとなり、そのラインナップ自体が個性的と認識されることが、ヴィナイオータの個性として認知されることとなり…。
アウトロー(笑)の多いヴィナイオータのラインナップの中で、無難で優等生過ぎるペコラーリは没個性化してしまっているのかもしれません。

今年の1月、青山のブルーノート東京であった上原ひろみちゃんの1週間連続公演(1日2公演!)の最終公演の時、疲労の限界に達していたひろみちゃん、MCの時に完全に頭の中が真っ白になったんだと思うのですが、数秒後に突然、”今年も沢山のリスクを冒したい!!!!!”と叫んだ時には、笑いと共に涙も出てきちゃいました(笑)。
”リスクを冒す”とは、まだ先があるはずだと信じる力、それに挑戦しようとする覚悟、今までの成功に甘んじない姿勢など、これら全てを内包した言葉で、僕自身、この言葉が垣間見えるプロダクトに出会うと、もう理屈抜きで心を奪われてしまうんです。

飽くなき探究心を持ち続けながら、常にその瞬間の限界を攻めようとする造り手にとって、最大最強のパトロン(擁護者)でありたいと願うオータとしましては、ペコラーリは(リスクの冒し具合的に)まだ手前に感じてしまうのです。もちろん、それ自体が悪いわけではありませんし、人それぞれ置かれている状況如何でリスクを冒せる度合いが変わって然るべきだとは思うのですが…。
やはり僕個人としては、今売れているかどうかということ以上に、この先2-30年と世知辛い世の中で生き残りを図るためにも個性は持つべきなのではと思うわけです。それはヴィナイオータのラインナップという井戸の中でも、そして日本のワインマーケット全体という大海に出たとしても…井戸の中は猛獣だらけですし(笑)、大海にもペコラーリと同じ州、フリウリのクオリティワインはわんさとありますし…。
僕もアレッサンドロも僕たちの友情を優先するがあまり(もしくは優先するために)、お互いのワイン観や今後の仕事の在り方についてちゃんと話をしてこなかったってことなんだなぁと、この文章書きながら今更再確認しております。

農作業に彼らが採用している哲学を、もっともっと造りの世界にも反映させられるのではないか??僕はできると思っています!!なので、近々そんな話をする場を持たねば!!

なんにせよ、今回の来日時にもさまざまな場面に出会うでしょうし、それが彼に考えるきっかけとなることを祈るばかりです…。

造り手には、楽しい思い出だけでなく、大きなモチベーションも持って帰ってもらいたいじゃありませんか!

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