造り手紹介 パーチナ その2(2014.11筆)

※ <造り手紹介 パーチナ その1(2011.11筆)>はこちら!

前回のヴィナイオッティマーナに来てくれた造り手全員が、旅全体(ヒト、文化、イベント、食など…)を称賛してくれたのですが、その中でも格別に感動感激を身体や言葉を使って表明してくれたのは、パーチナのステーファノ&ジョヴァンナ夫妻な気がします。
イタリアへ帰国後、子供たちに興奮まじりで色々な話をしたのでしょう。
僕が訪ねた時も、日本での話になって、
「いやぁ、楽しかったなぁ。」とステーファノとジョヴァンナが言うと、
「パパ、ママァ、今度は私たち姉弟に行かせてよぉ。」とおねだりする長女マリーアちゃん(現在大学生、どうでもいいかもしれませんが可愛いです。笑)、
「マリーア、英語をもっと勉強して、ちゃんとパーチナのワインのことをいろいろ説明できるようになったら行かせてあげるよ!!う~ん、でも次回はまだ……いや次々回までは、パパとママで行ってくるから!もう楽しくて楽しくて、譲る気になんてとてもなれないよ!!(笑)」とステーファノ。
という訳で、今回もステーファノ&ジョヴァンナが来日です!!

彼らの来日くらいを境に起こっている、パーチナのワインの日本でのブレーク具合もなかなかに凄いものがあります。データ好きのオータ、調べてみましたが、この3年間の間に10回の入荷がありました(あ、その間に何度も欠品起こしてます…仕入担当の僕の責任…?)!!定番的ワインの持つ、圧倒的なコストパフォーマンスに加えて、近年出してきた新しいワインのどれもが個性に溢れた素晴らしいワインだったことも、一役買っているのかもしれません。

この3年の間にリリースされたワインや、あった出来事など、パーチナ5大ニュースにしてみました!!!

ニュース1 ヴィンサント用のブドウの余剰分で造られていた白、2008年まではビアンコですが、09以降はチェッレティーナと名前を変え、本格的に生産されることに!!
僕があまりにも好き過ぎて、無理矢理商品化させた(笑)白ですが、近年植えたトレッビアーノ&マルヴァジーアが生産態勢に入ったという事で、樹齢の古い畑のブドウをチェッレティーナに、ヴィンサント用には樹齢の若いブドウを使う事にします。

ニュース2 ラ マレーナがブレンドもののワインに!
07まではシラー100%で造られていたラ マレーナですが、08から隣接する区画に植わるチリエジョーロを20%ほどブレンドすることにします。単一の時は、野暮ったくさえ感じるくらい土臭いというかスパーシーな印象で、飲み心地も決して軽くはなかったこのシラーに、愛らしい香り&軽快な味わいのチリエジョーロを混ぜたことで格段に飲み心地は増しました!

ニュース3 ヴィッラ パーチナ2011をリリース!
2011年は、夏から収穫時期にかけて全く雨が降らず、ブドウ樹が乾燥に苦しめられた年でした。彼らの畑のブドウも例外ではなく、干しブドウと呼んでも差支えのなさそうなものが散見し、アルコール度数が上がり過ぎる事と除梗機を詰まらせて故障させてしまう事を懸念したステーファノは、一部の半干しブドウ化したものを収穫しなかったほど。そんな中、ブドウ樹にとっては非常に過酷な年なのにもかかわらず、乾燥&酷暑に苦しんだ様子も全くなく、健全に生長、完璧なブドウをつけた区画(それも若い樹齢の!!謎すぎます…)がありました。醗酵も極めて円滑に進み、乳酸発酵を終えた段階、つまりまだセメントのタンク内にあった状態で、味わい的にもバランスが取れていて、樽熟成さえも必要ないと考えたステーファノ、プレスをしたワインを入れたセメントのタンクで澱引きも一切せずにそのまま熟成させ、2013年の春に酸化防止剤も完全無添加でボトリングされたのがヴィッラ パーチナになります。もしかしたら、この2011が、最初で最後のヴィンテージとなるかもしれません…。(弊社在庫も僅少となっております!笑)

ニュース4 チリエジョーロ単一のワインをリリース!
チリエジョーロというブドウを単体で醸造したらどうなるのか?というステーファノ自身の知的好奇心を満たすために2012ヴィンテージから造り始めます。彼らのセカンドラインである、イル セコンドは、その価格を考えるとシリアス過ぎる(笑)ワインと言えると思うのですが、このチリエジョーロは、華やかな香り、軽いタンニン、軽快な飲み心地を備えた、パーチナ初のカジュアルな味わいの赤ワインかと。

ニュース5 09以降のワインに関して、キャンティ コッリ セネージDOCGとしてのリリースを止め、心機一転パーチナという名前で出すことに!
僕自身が、年々どんどん面白くなってきていると思う造り手のワインが、DOCないしDOCGの官能検査で落とされるケースがしばしばあります。きっと僕の感覚の方が変なのでしょうね…と思ってもいないことを口にしてみたりして。(笑)
それがついにパーチナのワインでも起こってしまいます。09の、本来だったらキャンティ コッリ セネージDOCGとなるはずだったワインが、
「若干酸化のニュアンスあり。遊離亜硫酸塩(酸化防止剤)の量が少なすぎで、ワインが不安定である。つきましては、(酸化防止剤を)もっと入れるべし。」
という結果が返ってきます。造り手としては、再びトライすることもできる(全く同じワインを提出し、向こうの渋々を勝ち取る場合や、お達しの通りに酸化防止剤を生産量全量に入れて出す場合、もしくは官能検査用のボトルにだけ大目に入れたものを出す場合もあるという話も聞いたことがあるような無いような…)のですが、普段は温厚極まりないステーファノ、「入れるべし。」と書かれたことに怒り心頭、
「奴らにワインの事で指示されてたまるかぁ!造っているのは俺だし、酸化防止剤の量だって、パーチナのワインを愛飲してくれている人の事を考えて、極限まで少なくしているっていうのに…そんなDOCGなんて、こっちから願い下げだ!」
ということで、元パーチナのキャンティだったワインは、09以降パーチナという名前になりました。
パーチナのワインが苦手という人はあまり見たことありませんが、パーチナ09は、そんな彼らのワインの中でも、恐ろしい普遍性のあるワインだと思います。

今回のイベントにもお出ししますので、是非皆さんも酸化しているかどうか確かめてみてください(笑)。僕とパーチナがおかしいのか、それとも“彼ら”がおかしいのか…答えをはっきりさせようじゃありませんか!!
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ジョヴァンナとワイン。2012のラ マレーナもいわくつきのワインです。入荷をお楽しみに!!
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パーチナ名物の貝の化石探し(笑)。もともと海だった場所が隆起したので、ザックザク出てきます!
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ほら!!

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