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2016-09-15

造り手紹介 Casa dei Tajarin / カーザ デイ タヤリン

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Casa dei Tajarin カーザ デイ タヤリン

ピエモンテ州アルバ郊外にある、マウロ ムッソによって営まれるパスタ工房。使用する原料は古代品種を初めとした人為的な品種改良がなされていないものが主で、全て無農薬で栽培。タヤリンに使われている卵も、薬剤に頼らず健全な飼料を与えられて育ったニワトリが産んだもの。

とある日のマウロからのメール:

「チャオ、ヒサト

僕のパスタの調理のしかたなんだけど、どうやって進めるべきで、そしてなぜそのような調理方法が必要なのかを詳しく説明するべく、君にこの長いメールを書くことにした。パスタの場合、当然のことながら調理しなければ食べることもできないし、その調理という最終工程を僕以外の人に委ねなくてはならないわけで…。市場に出回る他のパスタとは違い、粉同士を結着させる成分であるグルテンに乏しい品種の麦を僕が使っているということもあって調理方法自体も一般的なそれとは大きく異なるため、良い状態で食べてもらうために有用なあらゆるポイントを1つたりとも逃すことなくこのメールで伝えられればといいなと思っている。

僕のパスタ作り哲学は、体によく、消化吸収しやすいプロダクトを実現するという事を第一義としている。そのためには、製造工程の様々な場面においてあらゆる工夫を施し、注意を払う必要がある。でなければ、僕のこの哲学自体が、まあまあ上手に考えられた宣伝戦略以上のものではなくなるわけで…。

あらゆる食品にとって、健全さというものは主に2つの要素で実現すると考えられる。それは、

1.我々の体が必要とする栄養素を摂取するうえで有用な材料を選定すること

2.原材料に含まれる栄養素をできる限り壊すことなくプロダクトへと仕上げるべく、職人的な手法、言い換えるなら過剰に機械設備に頼りすぎずに作業を行い、そして健康被害を及ぼす可能性のある添加物などを一切使用しないこと

そしてその食品の持つ滋養栄養を余すことなく体に取り込み、同時に消化吸収の良いものとするためには、正しい方法で調理する必要がある。通常のパスタとは全く違うという事もあり、実際に調理する際に(僕のパスタで)君たちが困惑しないためにも、何点かの特徴を説明させてもらうね。

まず、僕のパスタは一般に出回っているいわゆる“乾麺”ではなく、“フレッシュパスタ(生麺)が乾燥したもの”であるということ。言葉遊びだと思うかもしれないけど、これら2つの違いは、パスタ生地をパスタに成形する型へと押し出す力の違いから来る。乾麺を作る際には強い力で、フレッシュパスタの際にはより弱い力で押し出される。僕のパスタは、もともと麦自体に含まれるグルテンの量が少ないうえに、僕が使う機械の押し出す力が弱いことで、他の栄養素をパスタ内にとどめる役割も果たすグルテン質とでんぷん質の構成構造が非常にひ弱なものとなっている。だから、パスタの持つ栄養素を最大限とどめつつ、味わい的にも好ましいものとし、そしてさらに消化に良いものとするためには、ゆで時間とパスタにストレスのかからないゆで方に注意しないといけない。

繰り返しになるけど、原材料をとある食品とする際、いちばんに心がけなければいけないことは原材料の持つ栄養素を保持しつつ製品化するということで、それを実現するためには、工業的ではない、ケースバイケースに対応することができる職人的な作業のしかたを採用する必要があって、その次段階として人為的に品種改良をされていない麦で作られたパスタの繊細な特性に応じた調理法を採る必要が生まれる。

簡単な言葉で言うと、我々ヒトの消化器官が生の状態のパスタからは(パスタに含まれる)様々な成分を分解することができないわけだから、調理はそれを可能にすべく、グルテン網によって構成されている粘着性構造に柔らかさと弾力性をもたらすことを目的として行われる。しかも(パスタから)栄養価を損なうことなく、できるだけ短時間で…。

(我々の体が)消化できる状態にするための唯一の方法がお湯を使う(茹でる)ということになり、(お湯をパスタ内の)粘着性組織の中に、組織自体を壊すことなく侵入させることを可能にするため、茹で方自体も正しく行う必要がある。

グルテンとでんぷん質という粘着性のある成分に乏しい原材料で作られたパスタなので、パスタの形状をキープしてくれている粘着質を湯に流れ出させたり、破壊したりしないためにも、湯の持つ熱を暴力的でない方法で利用しなければならない。もしもそれらの粘着質が湯に溶け出したりしようものなら、パスタは原形をとどめることなくばらばらとなり、(パスタに)パスタソースを絡めることが困難になるだけでなく、多くの栄養分、そして香りも失うことになる。というわけなので、調理は最小限の熱量で行う必要があるということになる。

と、ここまでの前置きは全て、これから書く僕が推奨する調理方法が必要であることを明らかにするためのもの。では実際の調理法に移るね。

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500gのタヤリンをペーストなど熱していないソースと和える場合:

7リットルの水を火にかけ、沸騰したら塩を適宜入れ、タヤリンをそっと入れ、その際決して湯の中でかき混ぜたりしないこと。再び沸騰し始めたら、ごく弱火にして湧き立たない状態にする。5分後火を切り、好みの茹で加減に達するまで毎30-40秒ごとに味見をし、湯を切り、火にかけることなくソースと合わせる。

500gのタヤリンを熱したソースと和える場合:

7リットルの水を火にかけ、沸騰したら塩を適宜入れ、タヤリンをそっと入れ、その際決して湯の中でかき混ぜたりしないこと。再び沸騰し始めたら、ごく弱火にして湧き立たない状態にする。5分後に湯を切り、すでに熱せされているソースの待つフライパンに入れ、必要だと判断した際にはパスタ湯を少しずつ足しながら、好みの茹で加減になるまで中-強火で頻繁に煽りながら和える。

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カザレッチェとマッケローニの場合はタヤリンと違い、パスタを湯に入れてから数回ほど優しくかき混ぜる。その後の工程は、ゆで時間が約1分長いこと以外はほぼタヤリンと一緒。ただ熱いソースと和える場合は、湯から上げる際に湯を切りすぎないようにして熱せられたソースに入れ、必要な場合にはパスタ湯を足しながら中-強火で好みの茹で加減になるまで煽る。熱していないソースと和える際は、弱火で6分茹でた後に火を消し、ふたをして熱が逃げない状態を保ちながら、好みの茹で加減になるまでこまめに味見をしつつ置いておく。

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(ライ麦とスペルト小麦のタヤリン エクストラヴァージンオリーブオイルとパセリ)

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(大粒硬質小麦のマッケローニ アマトリチャーナ)

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(3種の5分づき小麦のカザレッチェ 青ナスとミントのソース)

以上が栄養分、香り、パスタのテクスチャーを保ちながら僕のパスタを調理するために理想的な方法で、それぞれのパスタに合わせるべきソースに関しては、あまり素材を重ねすぎていないものをお勧めしたい。そしてこの調理法に慣れるまでは、熱していないソース、ペースト類を使ったほうが良いかもしれない。なんにせよ、パスタ自体の味わいを楽しんでいただくためにもシンプルなソース、それこそオイルやバターを和えただけとか…のほうがいいと思う。たくさんの素材を使って、調理にも時間をかけたソースだと、消化吸収にも時間がかかるしね。

それと(僕のパスタの)味わいと香りが最大限に引き出されるのは、温度的にあまり熱過ぎない状態の時だという事も言っておかないと。

パスタに使われている素材(穀類、そしてそれらの挽き具合)によって香りが全く違うので、一皿の料理として好ましいものとするためには、それぞれのパスタの特性にあったソースを合わせるべきだと考えていて、ラベルにもその内容が表記されているので、それも参考にしてみて。」

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Casarecce di Grani Duri 硬質小麦のカザレッチェ(写真一番左)
原材料:セナトーレ カッペッリ種の5分づき粉、ジルジェンターナ種、マルゲリート種のセモリナ粉、水
※ジルジェンターナとマルゲリートはシチリアの古代品種
お勧めの食べ方:牛などの赤肉ベースのものを除くあらゆるソース
希望小売価格 2,400円(税別) ※価格は全て2016年9月現在のものです

Casarecce di Grani Turgidi 大粒硬質小麦のカザレッチェ(写真左から2番目)
原材料:カムット種の全粒粉、パオラ種の全粒セモリナ粉、水
※カムットはメソポタミアに起源を持つと言われている古代品種の硬質小麦、パオラはシチリアの古代品種
お勧めの食べ方:牛などの赤肉ベースのものを除くあらゆるソース
希望小売価格 2,500円(税別)

Maccheroni di Grani Turgidi 大粒硬質小麦のマッケローニ(写真左から3番目)
原材料:カムット種の全粒粉、パオラ種の全粒セモリナ粉、水
お勧めの食べ方:牛などの赤肉ベースのものを除くあらゆるソース
希望小売価格 2,400円(税別)

Casarecce Energetiche “エネルジェティケ”カザレッチェ(写真一番右)
原材料:カムット種、パオラ種、エンマー小麦(ファッロ ディコッコ)の5分づき粉、大麦全粒粉、モロコシ(高キビ)、黒米(ヴェーネレ種)、白キビ、茶キビ、キヌア、アマランサス、ナタ豆、水
お勧めの食べ方:エクストラ ヴァージン オリーブオイルをからめただけ、野菜ベースのソース、ポルチーニやアンズタケをベースにしたソース、家禽類ないし野鳥のラグー、牛や鹿など赤肉系のラグー
希望小売価格 2,600円(税別)

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Casarecce Trio Integralista 3種の全粒小麦のカザレッチェ(写真一番左)
原材料:カムット種、エンマー小麦(ファッロ ディコッコ)、ライ麦(マエストラ種)の全粒セモリナ粉、水
お勧めの食べ方:バジリコを初めとするアロマティックなハーブのペースト、クルミなどのナッツ類のペースト、キノコをベースにしたソース、フレッシュではない中程度の熟成を施した辛くないチーズ全般を使ったソース(アオカビ系のチーズの場合は、繊細な味わいのもので、量的にも控えめに)
希望小売価格 2,500円(税別)

Casarecce Trittico Semintegrale 3種の5分づき小麦のカザレッチェ(写真左から2番目)
原材料:カムット種、エンマー小麦(ファッロ ディコッコ)、ライ麦(マエストラ種)の5分づき粉とセモリナ粉、水
お勧めの食べ方:牛などの赤肉ベースのものを除くあらゆるソース
希望小売価格 2,400円(税別)

Tajarin di Segale e Farro Spelta ライ麦とスペルト小麦のタヤリン(写真左から3番目)
原材料:ライ麦(マエストラ種)の小麦粉と粗挽き粉、スペルト小麦の粗挽き粉、卵
お勧めの食べ方:エクストラ ヴァージン オリーブオイルとパセリ、フレッシュバーブを漬け込んだオイルと、バジリコを初めとするアロマティックなハーブのペースト、クルミなどのナッツ類のペースト、キノコをベースにしたソース、アオカビ系ないし辛みのない中程度の熟成のチーズのソース
希望小売価格 2,600円(税別)

Tajarin Stravaganti nel Prato Estivo ハーブ入りタヤリン(写真一番右)
原材料:ライ麦(マエストラ種)の小麦粉と粗挽き粉、スペルト小麦の粗挽き粉、卵、アルテア(ウスベニタチアオイ)、フマーリア(カラクサケマン)、カルドン、エストラゴン、レモンバーム、ゴーツルー(フレンチライラック)、トケイソウ、セイボリーの乾燥葉
お勧めの食べ方:エクストラ ヴァージン オリーブオイルもしくはバターと(バターの際はお好みでクルミやヘーゼルナッツを砕いたものを少々…)、白身のリッチな味わいの魚で作ったラグーなど
希望小売価格 2,700円(税別)

初回分はお試し程度の量しか輸入しておりませんので、正式な販売は次回入荷分からとなりますが、少量でしたらお分けできますので、ご興味のある方はヴィナイオータまで(メールか電話にて)お問い合わせください。

弊社直営店「da Dada」でも、本日(9/15)より数量限定で販売開始します!よろしくお願いいたします!!

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