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2021-07-08

造り手紹介 Radikon / ラディコン

造り手:Radikon / ラディコン
人:Stanislao Radikon, Sasa Radikon / スタニスラオ ラディコン、サシャ ラディコン
産地(州):フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア
ワイン:Oslavje、Ribolla Gialla、Jakot、Pinot Grigio、Slatnik、Melrot…等
所在地:TRE BUCHI 4 – 34170 Gorizia | GO – Italia <map
Web:http://www.radikon.it/

●ラディコンとは?
1807年にフリウリ ヴェネツィア ジューリア州オスラーヴィアに居を構えたラディコン家。第一次世界大戦の終戦後間もなく、1920年に現当主サシャの祖父エドアルド(エトゥコ)によってワイナリーが始められました。1980年よりサシャの父スタニスラオ(スタンコ 当時23歳)にワイナリーは委譲され、それまで量り売りしていたワインを自らボトリングするようになります。スタンコが引き継いだ当初は、世界に通用するワインを目指し、シャルドネやソーヴィニョンなどの国際的なブドウの導入、ヘクタールあたり9500~10000本という高密植、圧縮空気式の圧搾、バリック内での醗酵と熟成、という当時の白ワインの世界で最上と考えられてきた醸造方法を実践していました。

●赤のように複雑な白を、できる限り自然な醸造で
結果としてフリウリを代表するワイナリーとして評価を高めていたラディコンですが、生まれ故郷であるコッリオは伝統的に白ワインの産地であり、「赤ワインが白ワインよりも高価に取引されている事実は、赤の方が白よりも複雑な味わいを持ち、価値が高いものであると世間から認識されているからではないか?」と疑問を持ったスタンコ。赤のような複雑な味わいの白、それを出来る限り自然な醸造で造ることができないかと考察を重ねていきます。

そんななか、スタンコは父エトゥコが行なっているマセレーション(皮や種ごとの醗酵)という仕込みに着目しました。当時、家族だけで収穫を行っていたラディコン家では、当然1日に収穫できるブドウの量には限界があります。1日目、2日目と収穫されたブドウを除梗もせずに皮や梗ごと木桶に放り込んでいくと、自重で潰れたブドウからジュースが出て醗酵が始まります。ある程度の量がまとまり果帽が上ってきたところで人力の圧搾機で絞り、皮や梗と果汁を分けるとモストはそのまま醗酵を続けていく、というシンプルなものでした。

当時エトゥコがマセレーションを行っていたのには、
①電気のない時代に、粒の大きな完熟したリボッラを手動の圧搾機で絞ることが難しかった
②皮に含まれるタンニンが天然の酸化防止効果を持つ
③皮を漬け込むことで皮が柔らかくなり、手動の圧搾機でも限界まで搾れるので、その分果汁が多くとれ収量が増える
という3つの理由がありました。

●土着品種リボッラ ジャッラでのマセレーション
スタンコは、粒の小さなシャルドネやソーヴィニョンで普段通りに皮を浸さずに仕込んだ場合、ワインへ十分にブドウの情報が写り込むのに対して、粒の大きなリボッラ ジャッラでは同じような結果が得られないことに疑問を感じ、皮や種を果汁に漬け込むことで皮に含まれる情報をより多く果汁に引き出せるのではないか?果汁に多くの野生酵母を取り込むことができ醗酵を円滑に進ませるのではないか?果皮に含まれるポリフェノールの抗酸化・抗菌作用によって酸素や雑菌に強くなるのではないか?と考えていき、「そもそも赤ワインと白ワインの醸造方法を分けることが不自然だ」という一つの答えを出しました。

1994年まではシャルドネ、ソーヴィニョンなどの国際的な品種を単一で醸造、瓶詰めしていましたが、1995年に土着品種であるリボッラ ジャッラこそ自分たちの土地に適合してきたブドウであり、最も注目されるべき品種だと考えるようになり、実験的にマセレーションを行います。同年から畑での除草剤や化学肥料などの使用をやめ、化学薬剤の介在がない農法へと移行します。

実験的に仕込んだワインを飲み強い確信を得たスタンコ、1997年より白ワインの全生産量に対して1週間程度のマセレーションを開始、大樽で3年ほど熟成させるようになります。そこから2003年にかけて1週間から1年の間の漬け込みの期間を試していき、現在の2~4か月間という期間に落ち着きます。長期間の醸し醗酵による、ブドウから最大限の抽出を行うようになってから、タンニンを丸くするために樽での熟成期間も長くし、ボトリングしてからも香り味わいが花開くのを待つために、ビン熟成も長く取るようになりました。

●コルクやビンまでも、ワイン界の通念を壊していく
良質な天然コルクが今後入手困難になることを想定して、コルク業者に今までにない細いコルク、ビン業者に小さな口径の瓶を開発してもらい、2002年からビンとコルクを750mlから500ml&1000mlに変更。空気の接触率が従来の750mlと同じで酸化しにくく、ランチでも2人で飲める500mlのビンを導入しました。

●息子サシャへのバトン、セカンドラインの誕生
2006年より、それまでもワイナリーを手伝っていた息子のサシャがワイナリーの経営に参画。2009年からスタンコが個人事業主だった状態から、サシャと共に会社組織へと変更となります。

長期間の醸し醗酵による、ブドウから最大限の抽出を行うようになってから、タンニンを丸くするため、生産量の8-9割を占める白ワインは、樽できっちり3年寝かせ、ボトリング後もビンで3年寝かせているため、収穫年から約6年後にリリースされます(赤にいたっては収穫年から約10年)。その時間的、空間的コストのリスクを軽減するために、サシャの提案で生まれたのがS(サシャ)ライン。生産量の一部だけでもできるだけ早い段階で現金化し、リスクを軽減すると同時に、結果生産量が減ることになる上級キュベに、より強いスポットライトが当たるようにするセカンドラインの仕込みが始まりました。

2016年9月10日スタンコ ラディコン永眠(62歳)。サシャが当主となり、母スザーナと共にスタンコの意志とワイナリーを引き継ぎました。

<ワインラインナップ>

~ Sライン ~

サシャの提案により、2009年ヴィンテージより造られることになったSライン。ブルーラインがブドウ収穫から6年以上もかかるのに対して、2~3年でSラインをリリースすることで、ワイナリーの経済的リスクを軽減させ、ブルーラインのクオリティの更なる向上を目指している。樫の開放醗酵槽にて8~10日間のマセレーションとアルコール醗酵(期間はヴィンテージによって異なる)、圧搾後2500~3500リットルの大樽にて12か月間醗酵の続きと熟成を行い、ステンレスタンクで数か月休ませ、瓶内で2か月間熟成を行いリリースされる。二酸化硫黄は瓶詰め時に少量のみ添加。

●Sivi(シィヴィ)
品種:ピノ グリージョ

シィヴィはスロヴェニア語で「灰色」、イタリア語のグリージョにあたる言葉。マセレーション期間と樽での熟成期間を短くし、ブルーラインのセカンドクラスとして早い段階で飲めるように考えて造られた、S(サシャ)ライン。

●Slatnik(スラトニック)
品種:シャルドネ、フリウラーノ

以前ラディコンで使われていた名前が復活!スラトニックは彼らがスロヴェニアに持っていたブドウ畑の名前。父スタンコが歩んできた道をサシャ自身がなぞっていくことで、スタンコがどのように考え決断をしてきたのかを知れるのではないかというサシャの思いが込められている。マセレーションの長い、ブルーラインのオスラーヴィエに対して、果実感もあって皮や種由来の複雑味があるワインをイメージして造られた。本当はサシャがワイナリーに参画した2006年から造る予定だったが、スタンコを説得するのに時間がかかり、ファーストヴィンテージは2009年に。

●RS(エッレエッセ)
品種:メルロー、ピニョーロ

SasaサシャのRossoロッソ(赤)ということでRSと名付けられたこのワイン。メルローを主体として、ピニョーロを混醸して造られている。2014年(ファーストヴィンテージ)は痩せたブドウの年であったため、メルローのマセレーションを短めにして、渋みの強いピニョーロを混ぜたのがこのワイン。2014年の次のヴィンテージは2017年となり、以降は毎年造られることになった。収穫時期の異なるメルローとピニョーロは別々に収穫、2週間のアルコール醗酵とマセレーションを行い、圧搾後にブレンド、大樽で12か月間、ステンレスタンクで数か月間、瓶内で数か月間休ませリリース。

~ ブルーライン ~

父スタンコからサシャが引き継いだ、ラディコンのスタンダードな仕込みで造られるブルーライン。樫の開放醗酵槽にて2~4か月間のマセレーションとアルコール醗酵(期間はヴィンテージによって異なる)、圧搾後2500~3500リットルの大樽にて3年間、瓶内で2年半熟成を行いリリースされる。二酸化硫黄無添加。

●Jakot(ヤーコット)
品種:フリウラーノ

2001年がファーストヴィンテージであるヤーコットは、元々オスラーヴィエに混ぜられていたフリウラーノを単独でボトリングしたワイン。以前はフリウラーノはトカイ フリウラーノと呼ばれていて、トカイと名乗れなくなったことへの揶揄を含め、Tokajを逆から書いてJakotと名付けられた。

●Oslavje(オスラーヴィエ)
品種:シャルドネ、ソーヴィニョン

元々単独で瓶詰めされていた国際的な品種(シャルドネ、ソーヴィニョン、2007年まではピノグリージョ、2000年まではフリウラーノも)を混醸したワイン。オスラーヴィエは、彼らのワイナリーがある村の名前オスラーヴィアのスロヴェニア語表記。Sラインの生産量が増えオスラーヴィエの生産量が減ったこと、フオーリダルテンポが2007年以降生産しないことによって、セレクションしたシャルドネとソーヴィニョンを全てオスラーヴィエに使うことになった。

●Ribolla Gialla(リボッラ ジャッラ)
品種:リボッラ ジャッラ

肥沃なコッリオでは、シャルドネやソーヴィニョンといった品種を植えるとブドウの糖度が高くなり、アルコール度数が高くなってしまうことがある。スタンコは古くからこの地域で栽培されてきた土着品種リボッラ ジャッラに着目、晩熟で栽培は難しいものの、糖度が低いためアルコール度数も高くならず、暑い年でも酸を維持し自分たちの土地に合っていると確信を得て、単独で醸造、瓶詰めすることに。

●Oslavje FDT(オスラーヴィエ フォーリダルテンポ)
品種:シャルドネ、ソーヴィニョン

2000年以降のヴィンテージでDOC(イタリアワインの格付け)を外れてしまったため、熟成したワインに使われる「リゼルヴァ」という言葉をラベルに表示できなくなってしまい、悩んでいたスタンコ。このワインのファーストヴィンテージ2000年を飲んだ友人の「フォーリ ダル テンポ(時間の概念を超越した!)」という言葉をそのままワインの名前にしました。オスラーヴィエ用のブドウが植わる区画からポテンシャルが高いブドウを厳選、収穫も通常のオスラーヴィエよりも遅らせる。2007年よりリボッラで造られることになったため、オスラーヴィエFDTが生産されたヴィンテージは2000年、2001年、2003年、2006年のみ。

~ セレクションライン ~

超長期熟成を経て、納得のいったワインのみを選別してボトリングしたセレクションライン。5~10年の熟成の後ようやくリリースされる。メルロー、ピニョーリ、モードリの3つの赤ワインは30~40日間のマセレーションとアルコール醗酵を行い、圧搾後使い古しの小樽(スタンコが90年代に樽醗酵樽熟成用に買ったもの)にて5年間醗酵の続きと熟成を行い、ボトリング後さらに最低でも5年間休ませリリースさせる。赤ワインに小樽を使う理由としては、黒ブドウを植えている面積が小さく、収量が少ない上に年によってまちまちであり、大樽を埋めようにもワインの量が少なすぎるため(ラディコンの生産量の85%は白ワインで、赤ワインは15%にすぎない)。

●Pignoli(ピニョーリ)
品種:ピニョーロ

ピニョーロは「小さなことにこだわる」「面倒な、厄介な」という意味のブドウ品種で、アメリカの台木になじまないため栽培が難しく、粒が小さく、酸っぱく、タンニンが強いためワインとなってからもバランスがとれるまでに膨大な時間を必要とするワインとなります。ワイン名のピニョーリは、ピニョーロの複数形で、ブドウだけでなく造り手自身も厄介なヤツという意味で、スタンコのお茶目さが出ている。正式にリリースとなったのは2004年ヴィンテージから。

●Modri(モードリ)
品種:ピノ ネーロ

Modriモードリはスロヴェニア語でのピノ ネーロの呼び名。スロヴェニア側に所有する畑で栽培されているピノ ネーロは、収量が少なく一樽を埋めるほどのワインができなく、単体で仕込むほどのテンションがないと判断して、以前はメルローと混醸ないしブレンドされていた。2000年頃から単独で仕込み、実験的に樽で熟成されていましたので、ワイナリーを訪ねたスタンコの友人たちはこのワインを飲むことが出来ましたが、ボトリングしてラベルが貼られることはなかった。2003年ヴィンテージから正式にボトリングされ、日本でリリースされたのは2016年。

●Merlot(メルロー)
品種:メルロー

わずか1.15ヘクタールの畑で遅摘みされたメルローは、スタンコも「ほとんど趣味」と言ってしまうほどの膨大な時間を経てリリースされる。ワインは毎年リリースされるわけではなく、実際にワインを飲み、状態を確認した上で決める。そのためヴィンテージ通りにリリースされず、準備の整ったワインから蔵出しされるため、2005年ヴィンテージはいつもより早めにリリースされ(それでもブドウ収穫から8年ほど)、2003年ヴィンテージは2020年にリリースされる予定。

過去の造り手紹介はこちら
造り手紹介 Radikon / ラディコン(~2015年 まとめ)
造り手紹介 ラディコン その3(2015.1筆)
造り手紹介 ラディコン その2(2012.3筆)
造り手紹介 ラディコン その1(2012.3筆)

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