ヴィナイオータかわら版 ~ 清水編 その三 ~

かわら版をご覧の皆さま、こんにちは。いつも大変お世話になっております。ヴィナイオータ倉庫担当の清水です。
気づけばもう3月。日中は少しずつ暖かい日も増えてきて、春が近づいているのを感じるようになりました。個人的には冬の澄んだ空気も好きなのですが、やはり春の気配というのはどこかテンションが上がります。日が少し長くなっただけで、なんとなく一日を得したような気持ちになるのは不思議です。
とはいえ、この時期になると毎年「ああ、そういう季節か」と思い出すこともあります。花粉です。私自身は幸い日常生活に支障が出るほどではないのですが、家族は毎年全滅しています。長男の赤っ鼻は清水家の風物詩かもしれません。なんだか取り留めのない話になっていますが、本題へ。
普段から家に帰るとまずは一杯、というのが自分の中ではわりと自然な流れになっています。もともとビールが好きでして、食事の前に飲む時間がなんとなく一日の区切りのような感じです。
ワインの仕事をしているのにビールの話ばかりになりそうなのもどうなのかと思うのですが、好きなものは好きなので仕方がありません(笑)。
ただ、Two Metre Tallや3 Fonteinenのビールを飲んでいると思うことがあります。「あれ、これワインと似ているな」と。もちろん飲み物としては全然違うのですが、自然に任せて時間をかけて造られるものだったり、造り手の考え方が味わいに出たりするところなんかは、どこか通じるものがある気がするのです。
そこで今回ご紹介したいのが、ベルギーのランビック醸造所 3 Fonteinen(ドゥリー フォンテイネン) です。3 Fonteinenは、ベルギーのベールセルにあるランビックビールの醸造所兼ブレンダーで、伝統的な製法でランビックやグーズ、クリークといった自然発酵のビールを造り続けています。
名前の由来は、かつて宿屋でランビック、ファロ、クリークの3種類のビールを提供するために使われていた磁器製のハンドポンプから来ていると言われていますが、詳しいことははっきりしていないそうです。現在のドゥリー フォンテイネンの歴史は、1953年にガストン デベルダーが宿屋とグーズのブレンド場を引き継いだことから始まります。
その後1961年にはベールセルの教会広場にパブレストランを開き、地元の人々だけでなく作家や芸術家など文化人も集まる場所として知られるようになりました。やがて息子のアルマンとグイドが事業を引き継ぎ、アルマンはブレンダーとしてランビックとグーズ造りに情熱を注いでいきます。1990年代には伝統的なグーズの人気が大きく落ち込む時期もありましたが、アルマンはその価値を信じて造り続けました。
1997年にはランビック文化を守るための団体HORALの設立にも関わり、伝統的なビールの保存と普及に尽力します。1998年には自らランビックの醸造も開始し、ドゥリー フォンテイネンは伝統的ランビックの代表的な造り手のひとつとして知られるようになりました。2009年には倉庫の機械故障により大量のボトルを失う大きな事故にも見舞われましたが、仲間や愛好家たちの支援によって危機を乗り越えます。その後も地域の農家と協力しながら在来種の穀物やサワーチェリーを復活させるなど、土地の個性を大切にしたビール造りを続けています。
2022年にアルマンはこの世を去りましたが、彼の情熱と信念は今も醸造所に受け継がれ、ドゥリー フォンテイネンのビールの中に生き続けています。

その中でもご紹介したいのが、サワーチェリーを使って造る Oude Kriek(オウド クリーク)です。長く熟成させたランビックにチェリーを漬け込み、時間をかけてゆっくり果実の風味を引き出していくビールです。チェリーのやさしい酸味と果実の香りがふわっと広がり、派手さというよりも落ち着いた味わいだと思います。アルコール度数はビールにしては少し高めの6.8%ありますが、それをあまり感じさせない軽やかさがあり、酸味が心地よく続くのでついもう一口、と飲み進めてしまいます。
ビールがお好きな方はもちろんですが、普段ワインを楽しまれている方にも、面白く感じていただけるかもしれません。特にビールの苦味や辛味が苦手な方にはおすすめしたいです。ヴィナイオータで扱っているものの中では少し珍しく、いわゆる“ワイン”ではないのですが、不思議と普段ご紹介しているワインと近い雰囲気もある飲み物だと思っています。うまく表現できないですが、素材の個性や時間の流れが、そのまま味わいに表れているような感じでしょうか。食事と合わせてもいいですし、食後にゆっくり飲む(一気に飲んでしまいたくなりますが…)のも良いと思います。
どこかのタイミングで3 Fonteinenのビールに出会いましたら、「そういえばあの倉庫の人がビールの話をしていたな」くらいに思い出して手に取っていただけたら嬉しいです。
季節の変わり目ですので、どうぞ皆さま体調にはお気をつけください。それではまた、次回のかわら版で。
【清水の飲んでもらいたいビール!!】
https://ec.vinaiota.com/list.php?b_id=191
・銘柄:Oude Kriek (No.92 S22/23) (375ml) / オウド クリーク
・造り手: 3 Fonteinen /ドゥリー フォンテイネン
・地域:ベルギー/パヨッテンラント
・希望小売価格 (税抜):375ml 2,500円

造り手紹介 3 Fonteinen / ドゥリー フォンテイネン 
【新入荷】2024年11月その1(3Fonteinen※ビール新規取扱,オイル&パスタ:Daniele Piccinin,De Fermo,Pacina)







