ヴィナイオッティマーナ2022【造り手セミナー】トロプフルタルホフ
①セミナー動画 (質問コーナー|03:05~)
ヴィナイオータマーナ2022 P4 DAY1にて行われたトロプフルタルホフのセミナーの様子です。日本初来日&オッティマーナ初参加となるアルト アディジェ州のトロプフルタルホフですが、当主のアンドレアスと奥さんのローズマリーが来日してくれました。ワイン造りに加えてめん羊やリンゴやトウモロコシなど栽培を行う傍らでアグリトゥリズモの運営を行うなど、一つの農園で循環し完結するような農業を行っています。
②造り手紹介 (00:54~)
トロプフルタルホフの造り手紹介、詳しくはこちらから。
③造り手への質問と回答
Q1. 循環型の農業やビオディナミ農法は何に影響を受けて始めたんですか?(3:05)
A1. 35年前に親から今ある畑を受け継いで自分でやることになったが、当時は共同組合にぶどうを納める組合農家の1軒でした。親から畑を継いでまず最初に、今まで自分の親がやっていたような農業を完全否定するところから始まりました。例えば化学肥料などに関して最初から納得いってなかったので、そういうものを排除するということから始めたわけです。そこから2004年にどういったきっかけか記憶にはないんですけど、バイオダイナミックスというものに出会いました。その考え方を知った際には癒しのような感覚を味わいました。それがきっかけで、いわゆるビオディナミといわれる方向にどんどん転じていきました。ただ、本当に伝えたいのはビオディナミというのはある種の農業をするためのテクニックというよりは、自分が世話をしている畑とも言えますし、自分が生かされているその場所との対話をより高いレベルでコミュニケーションを取るための指南みたいな考え方だと自分は考えています。決してテクニックではなく、自然とよりお互いのシンパシーを感じながら付き合っていくための考え方だと自分は思っています。
Q2.循環型の農業の中でも羊を飼っているのが特徴的ですが、農業、特にぶどうにどんな影響を与えるのですか?(6:52)
A2. ぶどう畑に羊を放つことで羊が草を食べてくれ、除草しなくてもよくなります。肥料(フン)も畑にしてくれるので、それも悪いことじゃないと思っています。そして、親ヒツジも飼っていると当然子供も生まれます。そうするとお肉をプレゼントしてくれたりします。いいことばかりなのですが、これらは自分たちが羊を飼っている事のなかでもあまり重要ではないポイントだと思っています。
例えば、樹木同士も実はコミュニケーションを取りあっており、ある種お互いが共生しているのであれば、助け合ったりするようなコミュニケーションが取られている事はほぼ科学的に証明されているわけですが、それは対動物と植物の間でもそういったコミュニケーションのようなものが実際あるんだと思っています。自分自身が朝起きて羊たちがいる小屋の扉を開けた時に、羊たちは当然自分のことを見るわけです。その見た瞬間、たぶんその時の自分の機嫌や気分とか体調みたいなものを羊たちはほとんど読み取っているんだと思っています。植物には何かコミュニケーションを取りたいと思っているけど残念ながら人は聞いてくれないが、もしかすると羊は聞いてくれるわけで、魂の会話みたいなものを自分の農園の中に豊かにしたいっていう考え方があるのが一番メインの目的とも言えると思います。
例えば自分たちの農園にはブッシュ(低木)のようなもので囲まれていて、大きな木もあるような状態があった時に、ブッシュは茂みとなり、小さな鳥が大きな鳥から、逃げるする場所になるわけです。つまりブッシュを残すことで小鳥や虫を呼ぶことにつながるかもしれないです。決して羊だけの話ではなく、生き物すべてがある種の生命力のようなものを持っている存在なわけで、その生命力のようなものを自分の土地の中で表現してもらうことが、ある種のエネルギーや調和のようなものををもたらすと考えています。
④まとめ
今回オッティマーナに参加した誰よりも「自然と共に生きていいる」という印象が深く残っています。
考え方や行動一つとっても自然へのリスペクトが表れており、この生き方や人柄があるからこそあんなに素敵なワインができてるんだなと改めて実感することができました。
ワインを飲むだけに留まらず、彼らの生活や生き方を一度体験したいと思わせるほど素敵な方々でした。
すでにファンの方も多かったですが、今回の初来日でさらに人気が高まったと、参加いただいた方の反応を見て実感しています。
(担当:豊田)