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2017-09-28

【新入荷】2017年9月 その2


オレンジ色、時には褐色に近い色を呈した白ワインを数多く取り扱うからなのか、“酸化と熟成”に関して意見を求められることが非常に多いオータです。その頻度でいうなら、日本酒界では竹鶴酒造の石川杜氏、そしてワイン界ではオータが業界随一を誇っているのではないでしょうか(笑)。その際なのですが、質問をされる方が“酸化”という言葉を“劣化”とほぼ同義として使っているのがいつも気になってしまいます。もちろん紫外線にバンバン晒されたり、保管温度が高すぎたり、不運なコルクのせいで酸化し、劣化してしまうケースもあるでしょう。逆に、温度的に低すぎる環境下、言い換えるなら酸化を助長するはずのない状況に長く置かれた場合にもナチュラルワインは劣化することがあると多くの造り手も言いますし、僕自身もそのような考えを持っています。つまり、酸化したせいで劣化することもあれば、酸化しづらい状況でも劣化することもあるということなわけで…。コルクが普通に健全で、ワインにとって普通に居心地の良い状況で保存保管できたとするのならば、熟成とは緩やかに酸化していく過程のことを指すのではないでしょうか?“生きる”とは“死に向かう”ということ。生死と書くと、まるで相反する存在のようですが、実は表裏一体を成しているわけです。普通に心身共に健全で普通に苛酷じゃない環境で暮らせたならという前提にはなりますが、ヒトにもワインにも成長期があり、その後に気力体力ともに充実している期間がしばらく続き、そして不可避な生理的老化(ヒトの場合ですと、白髪、老眼、皮膚のしわ、各器官の機能低下など…)が始まり、最終的には死に至る…というのが生(命)の道なのではないでしょうか。
アラフィフにして再ブレイクを果たしたと言われている女優、石田ゆり子さんは、
「アンチエイジングが嫌」
「ドラマに出ている自分の顔にある、シミやしわも素敵な年輪」
「太ったり、年をとることは劣化ではない」
といった発言をしているそうなのですが、これらの言葉からも彼女があるがままの自分を受け入れていること、老化(そしてその先にある死)をごく自然なものとして受け止めている事などが読み取れる気がします。
本当にそのものを愛しているのならば、老い枯れていく様にも美しさを見出せるはず。春夏秋冬それぞれに美しさがあることなどが良い例かと。逆に言うなら、老化や酸化を必要以上に否定する人たちというのは、本質的にはそのものを愛していないという事になる気が…。
酸化してなかろうが、少々酸化的であろうが、超酸化していようが、要はそのワインが好き(美味しいと自身が思う)ならそれでいいのではないでしょうか?
さあ皆さんも老化酸化に対する恐れを捨てて、石田ゆり子のようなワインを探しに出かけましょう(笑)!!!!

というわけで、今回もやや酸化的ニュアンスのある新入荷ワインのご紹介いきま~す!
注文していたラベルがなかなか納品されないなぁなどと思っていたら、印刷所が製造さえしていなかったことが判明、そのせいで引き取りが大幅に遅れていたラディコンからワインがようやく届きました!!日本だけ現行ヴィンテージが大きくずれ込んでいるという問題(それで悪いことがあるわけではない…どころかワインにとっては非常に良い事だったりするのですが…)を解消すべく、2006年ヴィンテージの白が瞬殺した勢いに乗じ07、08とジャンジャン買って、世界に追い付こうと画策していたのですが、なんともうすでに現地では2010年が売り切れてしまったそう…。08はもともとの生産量が少なく、09からはスラトニック&ピノグリージョを生産し始めたためにオスラーヴィエの生産本数が減ったことなどに加え、スラトニック&ピノグリージョがイントロ的役割を果たすことで故スタンコが確立したリボッラ、オスラーヴィエ、ヤーコットの販売も順調になってきているようです。日本でだけでなく世界でも愛飲されるようになったのだとしたら、本当に嬉しい限りです。あ、ちゃんと日本への分はどんな生産本数の少ないヴィンテージであれ必ず一定量は取って置いてくれるはずなので、ご心配なく!
で、今回入ってきたワインですが、
スラトニック&ピノグリージョ2014:天候的に非常に厳しい年だったこともあり、例年の4割程度の本数しか届いていません…。味わいは…ザクザクです!

リボッラ&オスラーヴィエ&ヤーコット2007:2006ヴィンテージはいまだにやんちゃな印象(完全な大人になるにはあと1-2年くらいかかるでしょうか…)がありますが、 2007年は目立った反抗期もなく素直に成長したヴィンテージで、天真爛漫という言葉がぴったりかと。まさに“すぐ美味しい、凄く美味しい”ってやつです。

リボッラ2003:ノーマル リボッラの2003としては、今回入荷分で最後となります。あれっ、ノーマル リボッラ??という事は…お楽しみに!!

オスラーヴィエ2002:リリース当時、2003と共にオータをウルトラ疑心暗鬼にさせたラディコンの2002の白…雨がちな年だったので非常に線の細いワインでして、スタンコにも「これって早々にボトリングしたほうがいいんじゃない?」と何度も言ったのですが、「いやいや、まだタンニンが落ち着いてない(硬い)からダメだ。」とスタンコ…。 リリースされたワインを飲んでは心の中で、「お歳の割には老けすぎてない?」と思っていたのですが、忘れたころ(4―5年後くらい?)に開けたら果実味全開で何のス トレスもかからない恐ろしくスムーズな飲み心地のワインに…つまりある種の還元状態だったんです…。2002と2003が美しく変貌する姿を見てからというもの、一度信じ た造り手のことを疑うのはやめようとオータは心に固く誓ったのでした…。前回入荷の各種バックヴィンテージワインよりも更にセラー奥にあったこのワイン、とりあえず 半量を持ってきました。是非ともビックリしちゃってください。

オスラーヴィエFDT(フオーリ ダル テンポ)2001:“時間軸を超えた”という名を持つオスラーヴィエのリゼルヴァ的ワイン。今回入荷分で2001は最後になります。2000 年に続き、2001もほとんどが日本に来たことに…。
オスラーヴィエ1998:前回入荷はリゼルヴァでしたが、今回はノーマルの98が!色はいかついですが、開いてきた時の香りと味わいは至ってキュート。

モードリ2004:ラディコンがスロヴェニア側に所有する区画に植わるピノネーロで造るワイン。最終在庫をかっさらってきました!
メルロー2005:春先から断続的な雨に見舞われた2005ヴィンテージ、ボルドー液撒いては雨が降り、地面が乾くのを待ってボルドー液を撒いてはまた雨…白の区画の 世話に追われてしまい、ふと気づけばボルドー液を一回も撒くことなく長雨の洗礼を受けることになったメルローにべと病が蔓延、大半のブドウ樹が結実不良をおこし ます。そんなタフな環境の中でも結実したブドウは、2005とは思えないほどのしっかりした実を生らせ…。このワインを飲んだ直後、僕は樽に「ユート(オータ長男)用」と チョーク書きしたのでした…。もちろん1999や2001のような深み&テンションはありませんが、だからといって軽いワインなわけでもなく…是非!
メルロー2001:こちらも現地最終在庫を全部戴いてきました!

どうぞよろしくお願いいたします!!!!
(※弊社在庫はMerlot 2001,05, Modri 2004を除き完売いたしました。9/28時点)

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