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2019-03-18

ヴィナイオータ かわら版 ~ 岸本編 その八~

岸本の“飲んでもらいたい”ワイン紹介!

Tai Rosso 2014  タイ ロッソ(ダニエーレ ポルティナーリ)

2019年2月にヴィンテージが切り替わりましたが、皆さん飲まれましたでしょうか?
太田の文章以上にもうほとんどロゼな仕上がりにビックリいたします。

日照時間が少ないヴィンテージとなった2014年、皮のポリフェノールは最低限、マセレーションをしてもほとんど色が出なかったようです。あまりの淡い味わいにいつもの樽熟成からステンレスタンクでの熟成に切り替えようとしたポルティナーリでしたが、太田のアドバイスにより考えを変え、最終的にいつも通りに樽で熟成させました。今までヴィナイオータで扱ったワインでも色が薄く味わいが淡いワインというのはありましたが、太田の経験上、ステンレスタンクで酸素との触れ合いが少ない状態で瓶詰めされるのと、樽である時間以上酸素と触れあったワインとでは表現力に違いが出るため、呼吸する容器でワインを休ませることは優先すべきだと感じたのではないかと。結果的に瓶に詰められてから実際に味わいが出てくるまでの時間が変わってくる(もちろんボトルを開ける前の状態です)可能性があるわけです。特に二酸化硫黄無添加で造られる彼のワイン、密閉力が高いステンレスタンクで置いておくと当然還元していきます。微生物が旺盛な、ワインが若い時期に沢山の酸素が必要になることは想像に難しくないと思います。

ポルティナーリは「ブドウに力のない2014年を木樽で熟成させることで、必要以上に酸化させてしまうのではないか?」と心配になったわけですが、「お前のブドウはそんなヤワじゃないだろ!」というのが太田の答えだったわけです、男前(笑)。

さてさて、味わいはといいますと、いつの間にか「赤のような白ワイン」が普通になっておりますヴィナイオータにおいて、タイ ロッソ2014は「ロゼのような赤ワイン」としてややこしさ全開でございます。色合いは非常に淡く、瑞々しい味わい、そんな見た目や雰囲気とはうって変って感じられる繊細な余韻、、、美しくスルリと身体に染み込むワインです。挨拶文にも書きましたが(注:メルマガの冒頭挨拶文に記載/本ブログには未掲載)「パスタ エ ファジョーリ」のように野菜をたっぷり使った優しい味わいのお料理にピッタリなワインだと思います。

<<岸本の飲んでもらいたいワイン紹介>>
銘柄:Tai Rosso 2014 タイ ロッソ
ブドウ:タイ ロッソ
造り手:Daniele Portinali ダニエーレ ポルティナーリ
地域:伊ヴェネト州
希望小売価格:3,000円(税抜)

~造り手について~
Daniele Portinali ダニエーレ ポルティナーリ
1970年代、ダニエーレの父親はヴェネト州ヴィチェンツァから南に30kmのアロンテにあるコッリ ベーリチの標高200m、石灰岩を含む粘土質土壌の4ヘクタールの畑にブドウを植え始め、近くのワイナリーにブドウを売って生計を立てていました。ダニエーレも父親の畑を手伝っていましたが、1990年代後半に隣の生産地域ガンベッラーラに住むラ ビアンカーラのアンジョリーノ マウレと知り合ったことで人生が大きく動き始めます。ソアーヴェという巨大なワイン銘柄を支えるゾーンから外れたこの地域ではブドウを売却しても二束三文、有機栽培をしてもブドウの価値は重さでしか量られません。ブドウ栽培農家として限界を感じていた彼にとって、自分と同じように無名の土地から世界中にナチュラルなワインを発信するアンジョリーノは特別な存在に感じたことでしょう。そんなアンジョリーノの勧めもあって、2004年から有機農法に転換、子供たちの未来も考え覚悟を決めました。2007年に自身でタイ ロッソを植え、アンジョリーノから使い古しの小樽を1つ借り、メルローを仕込んだのが実質的な初めてのヴィンテージとなり、翌年から本格的に自家醸造とボトリングを始めます。

~ラインナップ~
Tai Rosso タイ ロッソ
現行ヴィンテージ:2014年
分類:赤・辛口
希望小売価格:3,000円(税抜)
ブドウ:タイ ロッソ

古くからこの地域で「トカイ ロッソ」という名前で親しまれてきたタイ ロッソですが、1950年代から続いたハンガリーとの「トカイ名称論争」に終止符が打たれ、2008年ヴィンテージ以降のラベルにはタイ ロッソと記載することが義務付けられました。そして「トカイ フリウラーノ」はフリウリで栽培されたものを「フリウラーノ」、ヴェネトで栽培されたものを「タイ ビアンコ」と呼ぶことになりました。スペイン原産のこのブドウ品種はスペインではガルナッチャ、フランスではグルナッシュと呼ばれ、イタリアでもサルデーニャ州ではカンノナウ、トスカーナとラツィオ、ウンブリアの各州ではアリカンテ、マルケ州ではヴェルナッチャ ディ セッラペトローナと様々な呼び名で栽培されています。

コッリ ベーリチで収穫されたタイ ロッソは除梗され、2~3週間のマセレーション、野生酵母によるアルコール醗酵を行います。圧搾後ステンレスタンクにて数週間醗酵の続きを行い、澱を沈めたのち、使い古しの樽に移し替え熟成。ノンフィルターで瓶詰め。2009年がファーストヴィンテージ。

ナンニと師匠ラ ビアンカーラのサッサイア

Nanni ナンニ
現行ヴィンテージ:2014年
分類:赤・辛口
希望小売価格:2,200円(税抜)
ブドウ:タイ ロッソ、メルロー、カベルネ ソーヴィニョン

ダニエーレの父親が植えたメルローとカベルネ ソーヴィニョンで造られたナンニは長男ジョヴァンニの愛称が付けられ、2008年がファーストヴィンテージ。年によって異なりますが、およそ10~15日間のマセレーション、野生酵母によるアルコール醗酵を行います。圧搾後ステンレスタンクにて数週間醗酵の続きを行い、澱を沈めたのち、使い古しの樽に移し替え熟成。ノンフィルターで瓶詰め。
※例年はメルローとカベルネ ソーヴィニョンの組み合わせですが、収量が少なかった2014年はタイ ロッソもブレンドしました。

Pietrobianco ピエトロビアンコ2016 (画像左)
現行ヴィンテージ:2016年
分類:白・辛口
希望小売価格:2,700円(税抜)
ブドウ:ピノ ビアンコ、タイ ビアンコ(フリウラーノ)

ダニエーレの父親が植えたピノ ビアンコ、タイ ビアンコで造られるピエトロ ビアンコは次男ピエトロの名前が付けられ、2009年がファーストヴィンテージ。例年8月下旬ごろブドウを収穫、除梗を行わず軽く潰し、そのままマセレーションと野生酵母によるアルコール醗酵を行います。圧搾後ステンレスタンクにて数週間醗酵の続きを行い、澱を沈める。澱引き後ステンレスタンクに戻し熟成。ノンフィルターで瓶詰め。

最近年齢のせいか淡いワインばかり飲みたくなりますが、、そんなときにポルティナーリは最高です!まだまだ若々しい白のピエトロビアンコも化けること間違いなしです。彼のワインは今飲んでも美味しいのですが、取っておくことをおすすめしまーす(小声)。。

(*岸本編 その七は都合によりブログ掲載しておりません。ご了承ください。)

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