ヴィナイオータ かわら版 ~(新人)桑原編 ~
桑原の“飲んでもらいたい”ワイン紹介!
みなさま。初めまして!
昨年入社した3人のうちの最後の一人。桑原と申します。
社歴がもっとも浅い新人でありながら、本社勤務としてはもっとも年長の男子社員という「オールド・ルーキー」です。
異業種からの転職ということもありまして、ワインのプロの皆さんにお勧めするようなスキルもセンスもありませんが、いつもとは違った切り口でのお話ができればと思います。
今回、私がお勧めさせていただくワインの造り手は、皆さんご存知のアリアンナです。
なぜ彼女のワインを選んだのか?今回は自己紹介も兼ねてそのことをお話しさせていただきます。
私は過去の短くない期間、とある地方の雪深い山奥で無農薬無施肥、いわゆる自然栽培といわれる農業を営んでいました。
日々の農作業が終わり、仲間たちと囲む夕餉は、春の山菜、秋のきのこ。イノシシや鹿のジビエ。豊かな日本海の海の幸。そして自分たちで育てた米や野菜。
そんな自然の生命力溢れる食卓にのぼるワインは、気がつけばいつしかヴィナイオータの造り手たちのものばかりになっていました。
そんなキラ星のごとく居並ぶ偉大な造り手たちのなかで、ある日、若い女性がつくっているワインがあると聞き、手に入れて皆で飲んでみました。その場の全員が感嘆の声をあげたのを憶えています。自分たちよりも若い女性がこんなすごいワインを造っているなんて。
そして彼女の経歴やその言葉を伝え聞くにつれ、その哲学に、農業人として大いに刺激を受けたのを憶えています。
弊社の記事なのでご記憶にあるかたもいらっしゃるとおもいます。
該当の記事:https://vinaiota.com/blog/1760
記事の中で彼女は自分の造ったワインについて「彼女そのまま」であるという評価に対して憤慨したとあります。それは「その土地の個性」を表現したい彼女の気持ちに反することであったと。
私は、彼女の本意としては、単に人為的な痕跡の有無のことを言っているのではないと思います。私は人為的な痕跡や介入の多少が、自然なワインか?どうか?の評価基準になるものだとは思いません。人間も、ブドウの樹も、アルコールを造り出す酵母たちも、この地球上に生けるものとしての存在としては本質的には同じ存在です。
私は、人間も、ワイン造りに積極的に関わっていいと思います。但し、その人間の関わり方の大前提として、この地球上の調和の取れた大きな循環のなかの一つのピースとして、自然の摂理に沿って行動する限りにおいてですが。
彼女は、彼の地でのワイン造りという循環の中の一つのピースに徹することを理想としていて、それだからこそ、彼女のワインは「彼の地のワイン」であって、決して「彼女のワイン」ではないということなのだと思います。
人間は文明化によって、自然の一部であるという本質を忘れ自分自身が良ければいいという「欲」。社長オータの言うところの「我」によって行動するようになってから、地球の調和を乱し、環境を壊す存在になってしまいました。
このまま人間は自然を破壊しつくして自ら滅びてしまう存在なのでしょうか?いやいやそうじゃないよね。その一つの解が、ヴィナイオータの造り手たちの哲学や生き方であり、そのことをオータはワインを通じて社会に伝えたいのではないか?そんな風に私は解釈しています。
ヴィナイオータとのお付き合いが長い皆さんにとって「造り手の哲学なんて既に知っているよ。」という方もおられるかと思います。お忙しい毎日かと思いますが、たまにはワインを傾けながら、改めて一人ひとりの造り手の言葉をもう一度噛み締めてみるのもいいのではないでしょうか。
さて、やっとこのことで今回の本題です。
彼女のワインの中で私が選んだのはこちら
シッカーニョ2014 (アリアンナ・オッキピンティ)
シチリア原産であり、シチリア島でもっとも多く栽培されている黒ブドウ品種ネーロ ダーヴォラから造られるこのワイン。
この品種から造られるワインの一般的な特徴として、果実味あふれる力強さとともに単調さや野暮ったさを感じさせることもあるとのこと(私は彼女のワイン以外、この品種を飲んだことがないので、全くの聞きかじりなのですが・・・。)しかしながら、彼女のそれは、生命力がみなぎった力強さはもちろん「野暮ったさ」など全く感じさせない、彼の地での彼女を髣髴させる洗練さと透明感があります。
5日前に栓を抜いてから今日まで毎日少しずつ飲んでいます。まだ私のスキルが足りずうまく表現することができないのですが、日を追うごとに、より複雑な味わいと豊かな余韻を愉しむことができます。
≪桑原の飲んでもらいたいワイン紹介≫
銘柄:Siccagno 2014
造り手:Arianna Occhipinti
地域:伊 シチリア州
ブドウ:ネーロ ダーヴォラ
希望小売価格(税抜) : 4,700円
造り手紹介は以下リンク先より
https://vinaiota.com/producer/1071
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