【新入荷】2021年10月その2(Conti,Il Colle,Luigi Tecce,Sanguineto)
スエズ運河の座礁事故以降、コンテナー船のブッキングにやたら時間がかかるようになってしまったせいで、入荷のスケジュールが全く読めず、ほとほと困り果てているオータです。より時間がかかることを見越して早めに仕入(造り手からの引き取り)を進めれば進めるほど、資金繰り面でもキツくなり…。理由はわからないのですが、ここ1か月ほどコンテナーのブッキングができない状態でして、イタリアの港には20軒以上の造り手の総計9万本以上のワインが出発を待っているという噂が…(汗)。先の読めない昨今の状況も相まって、造り手にちゃんと支払いできるのか少し不安にもなりますが、未来を予見することなど誰にもできませんし、その未来は現在を積み重ねた先にあるもの。というわけで、ヴィナイオータは“今この瞬間にベストを尽くす”を粛々と、そして熱苦しく続けていきたいと思います!
また禁酒令が発令されようものなら、みんなで一揆でも起こしましょうね(笑)!
ではでは、新規取引先ワイナリー2軒を含む、10月の新入荷案内第2弾&3弾いきます!
新しい2生産者はどちらも、主に北欧諸国のインポーターに造り手を紹介するコモ在住のフィンという名のエージェントに紹介してもらいました(実は、1生産者とは10年以上前にいちど会ったことが…)。ラディコン、カノーニカ、カッペッラーノ、トリンケーロ、サンタ マリーア、コステ ピアーネ等々…フィンとヴィナイオータ、取引をしている造り手がかなり被っており、その造り手たちからオータの話は散々聞いていたそう。
造り手が直接諸外国のディストリビューターと知り合う機会となるはずのサロンや見本市が2年連続で中止となったという昨今の事情もあり、造り手の方からフィンに相談を持ち掛けます。どの造り手もナチュラルワインを志向する造り手としては決して無視することのできないマーケットである日本のインポーターとの取引がない。で、日本のこの手のワインのインポーターはといえば…となった時、フィンは真っ先に弊社の事を思い出してくれて、トリンケーロにオータのアドレスを聞いてコンタクトを取ってきてくれました。
3ワイナリーのサンプルが送られてきまして、試飲をした結果、2軒と取引をすることに。1軒目は、無名な造り手(オータが不勉強なだけということもあり得ます…)であるにもかかわらず、ただならぬテンションを備えた、恐ろしい完成度のワインを醸している…。加えて驚愕のバックヴィンテージまで…。どうしたら、これほどまでに凄みを持ったワインが長年に渡って無名で居続けられるのか????イタリア恐るべし!というわけで、即決!
2軒目は、オータにとっては伝説的な造り手の復活ということもあり、ほぼノータイムで取引を決めました。とはいえ、しっかりと価格交渉はしました(笑)。
で、1軒目ですが、コンティという名の、ピエモンテ州北部のボーカというDOCワイン生産地域(ガッティナーラのさらに北のほう)の造り手になります。ボーカは、ローマ人が入植する前からブドウ栽培(=ワイン醸造)が行われてきた地域で、最盛期には数千haもの栽培面積を誇っていたとの事。ですが、1950年代に進んだ近隣地域の大規模な工業化により、人々は農から離れ、多くのブドウ畑は放棄され森へと戻り、今現在ではDOC区域内の栽培面積は15ha前後と、イタリアで最小のDOCとなってしまったそう。
先代の父エルマンノが1963年にブドウ樹を植えることからワイナリーとしての活動を開始、ボーカの特徴ともいえるフィネス、エレガンス、ミネラリティ、フレッシュさと熟成のポテンシャルを備えたワインを醸してきました。
エルマンノの死後、このままボーカという偉大なワインとコンティというワイナリーの伝統を絶やすわけにはいかないと考えたエルマンノの3人の娘が、2006年からワイナリーを引き継ぐことに。(引き継いだ)当初には1ha弱しかなかった畑も、森化していた自社畑を再び畑に戻したり、近隣の農家の畑を借りたりすることで、現在は約5haを栽培するまでに。農法的には友人であるカッペッラーノのアドヴァイスに従いビオディナミを実践(ラベルにデメターの認証等の記載はありません)。彼女たちが自らブドウ樹を植えた畑に関しては、景観レベルでもかつての伝統を取り戻すべく、マッジョリーナという名前の地域の伝統的な仕立て方法を採用。オータも実際に見たことがない仕立てなため、うまく説明できないのですが、3~4本の苗を苗間の距離を取ることなく4m四方の中心に植え、樹を四角の角にある杭へ向けて斜めに伸ばし、そこから新梢を展開させるという…(ネットで“maggiorina”、”viti”で画像検索してみてください!)。なんにせよ、マッジョリーナ仕立ての畑には、畝という概念もなく、ブドウ樹が平面的ではなく3次元的(斜め)に伸びているため、すべての農作業を手で行う必要があり…。
他のネッビオーロの産地と比べると、土壌の酸度の高さに起因しての、豊富なタンニン、やたらと切れのある酸に特徴があります。香りはヴァルテッリーナのようにフルーティー&フローラルな雰囲気があるのですが、油断をして飲むと、バローロ並みのタンニンと、バローロ以上のワイルドな酸に横っ面をはたかれたような気分を味わえるワインとでも表現すればよいでしょうか(笑)。
特にボーカに関しては、かなりインパクトのある価格にはなってしまっていますが、本当にステキです!
今回入荷したワインの概要ですが、下記の通りとなります。
●オリージニ2019年:彼女たちが植えた樹齢の若いマッジョリーナの区画のスパンナ(=ネッビオーロ 約80%)を主体として、ヴェスポリーナ、ウーヴァ ラーラ、クロアティーナ、バルベーラを補助品種としたワイン(とあるマッジョリーナにはネッビオーロ3苗にヴェスポリーナを1本植えてみたり、別のマッジョリーナはネッビオーロ4本、はたまた別のマッジョリーナはネッビオーロ3にバルベーラ1だったり…)。比較的早い段階から楽しめるワインを念頭にしているため、マセレーションの期間は比較的短めに設定(10~12日)し、収穫翌年にはボトリング。ボーカDOCとしては、これほど短期間でのボトリングが認められていないため、ヴィーノ ロッソというカテゴリーのリリースとなり、その結果ラベルにヴィンテージ表記はありません(ロットナンバーでヴィンテージの識別ができます!)。
●スパンナ コッリーネ ノヴァレージ2019年:ボーカDOCの生産地域外の、近隣の信用のおける農家から買い付けたスパンナ(ネッビオーロ)で造るワイン。オリージニよりも若干長いマセレーション、木樽での熟成。ネッビオーロ以外のブドウも使われているオリージニとこのスパンナを飲み比べていただければ、いかにネッビオーロというブドウがエレガントなのかと思い至っていただけるかと!
●フローレス2018年:ごく少量だけ生産される、上記スパンナ2018の酸化防止剤無添加ver.。ヴィンテージが違うので、フラットに比較することはできませんが、スパンナよりも外向的で、ほんの少しだけワイルドな印象があるワイン。
●ボーカ2017年&2016年(黒ラベル)とボーカ2017年B(白ラベル):樹齢40年超のネッビオーロ75%、ヴェスポリーナ20%、ウーヴァラーラ5%で造るワイン。約1か月のマセレーション、最低でも3年の樽熟成の後にボトリング。黒ラベルが通常ver.にあたり、ボトリング前に若干量の酸化防止剤を添加したもので、白ラベルは酸化防止剤完全無添加でボトリングした限定生産品になります。2016年よりも2017年のほうが、現時点では味わいが開いているようにオータは感じました。2日目の黒ラベルの2017年は本当にステキです!
2日目のワインと言えば、白ラベルにもびっくりしました。なんだかエトナ(ないしフランク)のワインのような雰囲気があるんです…。
よく考えればそれもそのはずで、ボーカの土壌は、2億8千万年前から約1千万年に渡って続いたスーパーヴォルケーノ(スーパー火山?)の噴火によって生成された斑岩(マグマが冷えて固まった火成岩の一種)で構成されています。
オリージニ、スパンナ、フローレスが、若々しさを軸としたワインだとしたら、このボーカは、たった1~2歳年上なだけなのに、やたら大人っぽい雰囲気を醸し出しているワインです。
Bocaのバックヴィンテージ:2007年から一番古いものだと1984年まで、計17ヴィンテージが届いています!!!!!ですが、オータがその価格にビビってしまい(笑)、24本ずつとごく少量の入荷となっております。オータは1991年しか飲んだことありませんが、まだ全然若々しくて美味しかった…。フィン曰く、バローロにとっては偉大なヴィンテージとは言えない年のボーカは、バローロ以上に酸の下支えがある分、味わい的にも素晴らしいし、熟成のポテンシャルもあるとの事。
皆さんも彼女たちのワインを通じて、イタリアという国の底知れぬ実力を思い知ってみちゃってください!!
クオリティと価格のバランスが良い意味で悪い(笑)ブルネッロを産するイル コッレからは、現地最終在庫(360本)のロッソ ディ モンタルチーノ2017年が再入荷、そして新ヴィンテージの2018年も一緒に届きました!
2017年は、あまりにも濃密すぎて樽での熟成期間を長めに取り、ボトリングを遅らせたヴィンテージ。今飲んでももちろん美味しいのですが、まだまだパワフルではありますので、あと2~3年待ってあげても良いかもしれません…。
に対して、2018年はもうすでにサイコーです!1200本のみの入荷ですので、早期完売必至です!!
兄貴分のブルネッロ2014年も滅茶苦茶美味しいですよ!2015年ヴィンテージ以降、価格がググっと上がってきますので、今のうちにコスパの悪さ(しつこいですが良い意味で)をご享受くださいませ!
ボトリング時点でアルコール度数が16%以上あったにもかかわらず、造り手的にも全く予期していなかった2次醗酵がボトルの中で起こった結果、アルコール度数17%前後の発泡性のワインとなってしまったルイージ テッチェのオルフェオ2017年が5000本(!)再々入荷です!港の倉庫会社からも、検品した箱の中にもすでにコルクが盛り上がっているボトルが散見するという連絡を受けております…。そんなこんなで、このワインに限っては多少のコルクの盛り上がりは良品扱いとさせていただくことをご了承くださいませ!お買い上げいただいたお客様にも、冷暗所での保管と抜栓時の細心の注意を払うよう必ずお伝えください!!
前回入荷した3000本も、入荷当時に酒業界に吹きまくった逆風をものともせずに3か月弱で終売となったという経緯もありますので、今回の5000本も2~3か月で売り切れるとオータは踏んでおりますので、買い逃さぬようにしてくださいね!とはいえ、仮に買い逃したとしても、現地にはあと2万本くらいは残っているという噂も…(笑)。
タウラージ ポリフェーモ2012の在庫が100本を切ったこのタイミングで、2種類の2013年ヴィンテージのタウラージをリリースします!!
今回初リリースとなるタウラージ リゼルヴァ プーロ サングエ(以下PS)は、ルイージ自身が開墾、植樹した樹齢の若い区画のブドウで造るタウラージ。仕立ても伝統的なラッジエラ アヴェリッネーゼではなく、トラクターでの耕作を可能とすることと、より凝縮したブドウを産することに主眼を置いてコルドーネ スペロナートを採用します。
タウラージ ポリフェーモ(以下PO)は、過去のヴィンテージのワインと同様に、高樹齢のラッジエラ アヴェリッネーゼの区画のブドウで造るワイン。
PSのほうが果実味の押し出しが強いのですが、すでに外向的ではあるので、十分に楽しんでいただける味わいなのに対し、POはまだ少々内向的ですが、1~2年後にはかなりステキな感じになると思われます!
2013年ヴィンテージは、PSにリゼルヴァの表記があって、POにはなかったりするので、ルイージ的にPSがPOよりも格が上と考えているようにも見えてしまいますが、彼の意図は経済的に困窮することなく、両ワインをリゼルヴァを名乗れるタイミングでリリースすることだったのかと。どういうことかといいますと…
2018年:PO12リリース
2019年:例年通りのタイミングでPO13をリリース、PS13はリリースしない
2020年:PS13をリゼルヴァとしてリリースし、PO14をリリースしない
2021年:PO14&PS14のどちらもリゼルヴァとしてリリース
これ↑を文章で簡潔に説明する国語力がオータにはありませんでした(笑)。
プチ年表をご覧いただければ、想像いただけるかもしれませんが、もうすでにタウラージの2014年ヴィンテージも届いております…。それに加え、2014年ヴィンテージから劇的に価格が変わるという噂も…(残念ながら、下がる方向ではありません…)。
というわけですので、この価格でこのテンションを味わえるのは2013年ヴィンテージまで!徐々にこなれつつある2012年と、すでに2012年以上に飲み頃感がある2013年をぜひともお楽しみくださいませ!
事後報告的になりますが、ドーラ&パトリーツィアのワイルドお姉さまが営むサングイネートのビアンコ2018が終売しましたので、2019年をリリースしております!パワフルだった2018年に比べると、香りも味わいもキュートな感じですが、それでもアルコール度数は13.5%強あります…。なんにせよ、価格的にも味わい的にも非常に親しみやすいことだけは間違いないかと!
ノービレ2013年の在庫が薄くなってきております!ちょっとこなれた赤ワインは、これからの季節には最適じゃないでしょうか??是非!
*ブログ掲載時には完売しているワイン、商品がございます。予めご了承ください。
文:太田久人
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