造り手紹介 アールペーペ その2(2014.11筆)

5年前の記事 <造り手紹介 アールペーペ その1(2009.12筆、2014加筆)> には書かなかったことを補足的に書いていきます!

ヴァルテッリーナというゾーンでは、ネッビオーロ、この地域ではキアヴェンナスカと呼ばれているブドウが栽培されています。(他のブドウが植えられているという話を聞いたことがありません)
ネッビオーロというと、バローロとバルバレスコ!!となるかと思うのですが、実はこのブドウの起源(最初に広く栽培されるようになった場所)は、ヴァルテッリーナかゲンメのゾーンだったと言われています。

アールペーペは今現在、ヴァルテッリーナのソット ゾーナ(サブゾーン、ヴァルテッリーナの場合、4つのソット ゾーナがあります)別で、サッセッラ地区の畑からは4種類、グルメッロ地区の畑からは2種類、インフェルノ(地獄の意。夏場のインフェルノの畑が灼熱地獄 となることから、そう呼ばれるようになったと言われています)から1種類と、どこのブドウで造るかを特定していないワイン、ロッソ ディ ヴァルテッリーナの8種類のワインを生産しています。
彼らのワイナリーの非常にユニークなところが、どのワインも毎年必ず造られるわけではない という点で、天候に恵まれて長期熟成に耐えうるワインができると判断した時には、(ソット ゾーナ、クリュごとに分けて、)全生産量を長期熟成させ、セカンドラインにあたるワインを一切造らず、逆に偉大という領域にまではいけないと判断した年の ワインは、樽での熟成期間を短くして、全てセカンドラインのワインとして、早期にリリースさせます。
サッセッラの場合、偉大な年にはロッチェ ロッセ(サッセッラにあるいくつかのパーセルのブドウをブレンドしたもの)とヴィーニャ レジーナ(単一畑)というワインが造られ、この2つが生産されない年に造られるのがステッラ レティカというワインになります。さらに、気象条件的に可能だと判断した際に造られるのが、”最後(晩秋)の日の光”を意味するウルティミ ラッジという、遅摘みのブドウで造るワインになります。所有する畑の大半がサッセッラにあることから、このように多種のワインが生産されているのかと。
グルメッロの場合は、テンションの高いブドウが獲れた年にはブオン コンシーリオ、そうでない年はロッカ デ ピーロという名前でリリースされます。
ステッラ レティカとロッカ デ ピーロ、熟成期間が短いと言っても、それはアールペーペ的スタンダードでの話で、4年寝かせてからリリースされているわけですから、ヴァルテッリーナ リゼルヴァを名乗ることもできますし、セカンドライン的ワインなのにも関わらず、バローロ並みの熟成期間の後にリリースされるワインになります。に対し て、アールペーペ的リゼルヴァ4種は、8~9年後にリリースされます(モンフォルティーノ級!!!でも、価格的にはケタ一つ少ないです!笑)。

効率や費用対効果が重要視される現代において、いつ過去の遺物になってもおかしくないヴァルテッリーナのブドウ栽培&ワイン生産…畑でかけられる 恐ろしい労力と、セラーでは気の遠くなるような時間を待つだけの忍耐力が必要なこれらのワインは、伝統文化に対する誇り、それを守るために持つべき覚悟、 愛情、情熱なしには生まれ得ないですよね?
ヴィナイオータとしましては、“ビオ”ないし“自然派”であるかどうか以上に、造り手の良心、良識、常識的感覚を見極めることこそが大事だと考えています。
前者はただの言葉ですが、後者には、それらを持ち合せた造り手にしかできない行動や決断というものがあると思うのです。それが感じられたのなら、仮にその 造り手が“ビオ”とは呼べない手法を畑で採用しているとしても、“何か理由があるのだ”と思えるのではないでしょうか??
トラクターの入れる畑 に比べたら、3倍以上の人件費がすでに必要な畑で、今まで使っていた農薬よりも環境への負荷がより少ないかもしれませんが、その分効果が弱まるのが早い (つまり、より頻繁に散布しなければいけない)ボルドー液に切り替えたとするなら、さらに多くのスタッフが畑に必要という事になり、結果ワインの値段も上 げざるを得なくなる…。価格帯が上がるという事は、バローロやバルバレスコのような名声に恵まれていない、ヴァルテッリーナの造り手であるアールペーペと しては、商売的にも彼らの本願であるヴァルテッリーナという土地の伝統を伝え続けていく(飲まれ、楽しまれ続けるということと同義)上でも、可能性を狭め ることになりかねません。
そんなこんなで、ワインはヒトであるという結論にまたしても帰結するという…。(笑)

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イザベッラ&エマヌエーレ

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サッセッラの畑

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トラクターなんて通れるわけありません!!!

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