<ヴィナイオッティマーナ2022 ~ピリオド7~>
【開催日時】
DAY2:2023年2月27日(月) 10:00~17:00
【会場】
だだ商店 だだ食堂(茨城県つくば市流星台56-3)
【タイムテーブル】
9:30 受付開始
10:00 開場
10:30- 造り手セミナー①<Gravner>
造り手セミナー②<Frank Cornelissen>
12:00-15:30 大食堂
16:10 フィナーレ
16:45 送迎バス発車
-参加造り手-
Conti(イタリア / ピエモンテ)
造り手:Elena Conti, Paola Conti / エレナ コンティ、パオラ コンティ
ピエモンテ州北部のボーカというDOCワイン生産地域(ガッティナーラのさらに北)は、ローマ人が入植する前からブドウ栽培(=ワイン醸造)が行われてきました。最盛期には数千haもの栽培面積を誇っていましたが、1950年代に進んだ近隣地域の大規模な工業化により、多くのブドウ畑は放棄され森へと戻り、今ではDOC区域内の栽培面積は15ha前後でイタリアで最小のDOCに。
先代の父エルマンノが1963年にブドウ樹を植えることからワイナリーとしての活動を開始し、ボーカの特徴ともいえるフィネス、エレガンス、ミネラリティ、フレッシュさと熟成のポテンシャルを備えたワインを醸してきました。エルマンノの死後、このままボーカという偉大なワインとコンティというワイナリーの伝統を絶やすわけにはいかないと考えた3人の娘エレナ、アンナ&パオラが、2006年からワイナリーを引き継ぎます。当初は1ha弱しかなかった畑も、森化していた自社畑を再び畑に戻したり、近隣の農家の畑を借りたりと現在は約5haを栽培。
畑では、友人であるカッペッラーノのアドヴァイスに従いビオディナミを実践しています。彼女たちが自らブドウ樹を植えた畑に関しては、景観レベルでもかつての伝統を取り戻すべく、マッジョリーナという名前の地域の伝統的な仕立て方法を採用。すべての農作業を手作業にて行っています。
Daniele Piccinin(イタリア / ヴェネト)
造り手:Daniele Piccinin / ダニエーレ ピッチニン
若くして友人と始めたレストランでソムリエとして働いていたダニエーレ ピッチニン(1980年生まれ)は、23歳のときに偶然アンジョリーノ マウレ(ラ ビアンカーラ)のワインを試飲し、今まで扱ってきたワインと全く違う世界観で造られているワインの味わいに感銘を受けます。そして、休日には彼のワイナリーを訪れ、畑仕事や醸造の手伝いをするように。
ワイン造りで生きていくことを決めたダニエーレは、2006年にレストランの権利を売却しワイナリーのスタートを切りました。祖父が生まれ育ったムーニ地区にある自宅近くの自ら開墾した畑にドゥレッラを、ムーニよりも標高が高い畑にピノ ネーロを植え、借りていた標高350mの畑に植わっていた樹齢20年ほどのシャルドネ、ドゥレッラ、カベルネ、メルローを収穫、自身にとって初めてのワインを醸造しました。2009年まではアンジョリーノの醸造設備を借りていましたが、2010年ムーニにワイナリーが完成したため、以降はすべての作業を自身のワイナリーで行っています。
現在では標高300~550mに点在する石灰質土壌の7ヘクタールの畑にて、土着品種であるドゥレッラを中心にシャルドネ、ピノ グリージョとピノ ネーロを栽培しています。
Frank Cornelissen(イタリア / シチリア)
造り手:Frank Cornelissen / フランク コーネリッセン
もともとは、ワインの輸入や仲介などワインに携わるエージェントの仕事をしていたフランク コーネリッセン。ヨーロッパ最大の活火山とされるシチリア島エトナ山の麓 北側の渓谷を拠点に、2001年からワイナリーとしてスタートし自身のワインを造り始めました。
「エトナの火山岩が液体化したかのようなワイン」というテロワールを体現するワインを理想とし、人間は自然がもつ複雑さや相互作用を理解できることは到底ないという考えから、あるがままの自然をひたすらに観察し受け入れます。畑では基本的にボルドー液をはじめとする人為的介入は行っておらず、農薬や肥料、耕起、除草も行っていません。約24ヘクタールの畑のうち、13ヘクタールはアルベレッロ仕立ての高樹齢ブドウが植わっているほか、2ヘクタールは複雑な生態系を守るためオリーヴの樹を育ててオイルを生産したり、果樹や野菜を育てたりしているそう。
セラーでは乳酸醗酵が完全に終了するまで皮や種と一緒に醸し状態にし、ブドウ由来以外の風味がワインに付くことを嫌って徹底した衛生管理のもと、木樽は用いずアンフォラでの醗酵&熟成を行い、醸造&ボトリングの際にも酸化防止剤は一切使用しません。
Gravner(イタリア / フリウリ ヴェネツィア ジューリア)
造り手:Mateja Gravner / マテイア グラヴネル
スロヴェニア国境付近、フリウリ ヴェネツィア ジューリア州北東部ゴリツィア近くの小さな村オスラーヴィアの地で、グラヴネル一家は1901年に2ヘクタールの畑に囲まれた邸宅を購入しました。
イタリア白ワイン界の巨人であり、偉大な父でもある、ヨスコ グラヴネル。「多かろう、良かろう」がモットーだった若い頃は最新技術と呼ばれるものはひと通り試しており、いつか彼自身の歩みを取り戻すことを期待しながら微笑ましく見守っていた父親の見立てどおり、少しずつステンレスタンクやバリックなどの過剰な醸造設備を処分しはじめました。5000年以上にわたって続いてきたワイン醸造の伝統歴史が、たった十数年で書き換えられることなどあってはならないと思い、畑でもセラーでもより自然なアプローチを選択するようになります。
現在約15ヘクタールあるブドウ畑では、自然環境に敬意を払った農業を心掛け、農薬や化学肥料は一切使用せず、不耕起による草生栽培を行っています。2012年の収穫直後にソーヴィニョン、ピノ グリージョ、シャルドネ、リースリングを引き抜き、2013年以降は土着品種であるリボッラ ジャッラのみ植えています。自然環境のバランスを取り戻そうと一番大きな畑には池も創り、微生物や虫、鳥の生息地にもなっています。
地下にあるセラーでは、地中に埋めたジョージア製のアンフォラ(素焼きの甕)で約半年間皮ごとの醗酵と熟成を行い、圧搾後再びアンフォラへと戻し半年間熟成、その後樫の大樽で約6年間熟成させて瓶詰め。セラーの醸造設備で電力を使用するものはプレス機、ポンプ、ボトリング機のみで、必要最小限のエネルギーで醸造からボトリングまでを行っています。
Two Metre Tall(オーストラリア / タスマニア)
造り手:Ashley Huntington / アシュリー ハンティントン
アシュリー&ジェーン夫妻の2人だけで原材料の生産から、ファームエールやシードルなどの醸造&販売まで一貫して行っているマイクロブリューワリー。もともと南フランスに住んでいましたが、ブドウ樹を育てワインを造る夢を抱き、オーストラリア タスマニア島南部のダーウェント ヴァレーへ移住し、2004年から農場をスタートしました。豊かなホップ栽培の歴史伝統に触れ、ワインに代わりエールの醸造に情熱を傾けるように。社名のTwo Metre Tallは身長2mにもなるアシュリーの長身にちなんで名付けられました。
穀物、ホップ、果実などプロダクトに使われる原材料は自身の農園で収穫したものかタスマニア島や島の周辺で採れたものを使用し、ビール&ミードの醸造には、ダーウェント川の水と雨水を溜めたものを炭素濾過したもの(塩素処理もしない)を使用。
培養酵母は、醸造からボトリングまでの期間の短いスタンダードラインのビールにのみ使用しているものの、他のプロダクトはすべて野生酵母による醗酵。酵母以外の添加は一切行わず、すべての醗酵は自然界に遍在するバクテリアたちに任せ、瓶内2次醗酵で炭酸ガスを生成させています。ビールは、ショ糖ではなく未醗酵麦汁をブレンドして2次醗酵を促しているため、ランビックのように長期熟成のポテンシャルも秘めています。
もともと農場の総敷地面積は600haほどの広さがありましたが、2019年後半には52haに狭めてホップやリンゴ、ラズベリーや牛などの必要な土地は確保しつつも、2008年に羊の毛刈り小屋を改装した醸造所でもっと時間を費やすことができるようになりました。
-参加飲食店-
<チーム宮古島(沖縄)>
ドンコリism
料理人:Naoki Mochizuki / 望月 直樹
2010年、宮古島に前身となる『イタリア料理 ドンコリーノ』を開店。イタリア修業時代に同僚から呼ばれていたニックネームに由来し、豊かな自然あふれる宮古島の食材を使った30席ほどのイタリア料理店でした。お店も料理ももっと削ぎ落し、研ぎ澄まされたものにしたい、という想いから、ドンコリーノの精神を凝縮したという意味を込めて『ドンコリism』として生まれ変わりました。
フィッシュ タヴェルナ サンボ
料理人:Noboru Kuwata / 桑田 登
シェフの桑田さんが、「宮古島の魚の美味しさを伝えたい」との思いから、自ら釣りや漁にも出かけ、知り合いの漁師から仕入れる魚介をシンプルに調理しています。もともとは岩手出身で、漁師である父親の背中を見て育ったため同じ道を志しましたが、反対され故郷を離れてたどり着いたのは宮古島。何千匹、何万匹という魚を独学で捌き続けて12年、2011年に『フィッシュ タヴェルナ サンボ』をオープンしました。
Bistrot pierrot(ビストロ ピエロ)
料理人:Sadato Takano / 髙野 貞人
宮古島初のフレンチビストロ『ビストロ ピエロ』。宮古島の魚介や地元農家の食材を使って地産地消を目指し、フランス料理の伝統を尊重しながらも新たな料理を生み出しています。オーナーシェフである髙野さん自ら素潜り漁で仕留めた魚は、神経締めと血抜きまで行います。2019年5月には、2店舗目として宮古島唯一の薪窯ピッツェリア『ピッツェリア クラウン』をオープン。生地も自分たちで仕込んでいる本格ナポリピッツァと島の食材を使った小皿のイタリアン、ワインが楽しめるお店です。
RICCO gelato
料理人:Yutaka Maeno / 前納 豊
「宮古島の豊かさを表現する」をコンセプトに、2009年にスタートした『リッコ ジェラート』。RICCOとは、イタリア語で豊かさを意味します。マンゴー、パッションフルーツ、紫芋、ドラゴンフルーツやアテモヤなどの南国フルーツに限らず、ハーブや泡盛、ちんすこうなど、すべて宮古島の自然そのものを素材にジェラートを手作りしています。ワッフルコーンも自家製で、毎日店内で焼いています。2017年春には東京 門前仲町に2店舗目をオープン。
girotondo (東京)
サービス:Yuichi Murakami / 村上 裕一
神保町に2016年末にオープンしたイタリアン『girotondo』は、イタリア語で「輪舞」という意味。イタリア料理の根幹である地産地消や古き良きを大事にし、ベースはイタリアンでありながらも、日本で採れる食材を使って料理をしています。オーナーソムリエの村上さんは、イタリアのレストランやワイナリーにて経験を積み、帰国後は長野や群馬で農業にも従事。江戸川橋『La Barrique Tokyo』の支配人を経て、お店をオープンしました。シェフの阿部さんは長年エミリア ロマーニャ州で修業を重ね、そのときに学んだ地方の伝統料理を基礎に、今でも現地にならって毎朝早起きして麺棒で生地を伸ばすところからパスタを作っています。