<ヴィナイオッティマーナ2022 ~ピリオド8~>
【開催日時】
DAY1:2023年3月5日(日) 10:00~17:00
【会場】
だだ商店 だだ食堂(茨城県つくば市流星台56-3)
【タイムテーブル】
9:30 受付開始
10:00 開場
10:30- 造り手セミナー①<Davide Spillare>
造り手セミナー②<Il Colle>
造り手セミナー③<Cristiano Guttarolo>
12:00-15:30 大食堂
16:10 フィナーレ
16:45 送迎バス発車
-参加造り手-
Daniele Portinari(イタリア / ヴェネト)
造り手:Giovanni Portinari / ジョヴァンニ ポルティナーリ
1970年代、ダニエーレの父親はヴェネト州ヴィチェンツァから南に30kmのアロンテにあるコッリ ベーリチの標高200m、石灰岩を含む粘土質土壌の4ヘクタールの畑にブドウを植え始め、近くのワイナリーにブドウを売って生計を立てていました。ダニエーレも父親の畑を手伝っていましたが、1990年代後半に隣の生産地域ガンベッラーラに住むラ ビアンカーラのアンジョリーノ マウレと知り合い、2004年から農薬や化学肥料に頼らない農業へと本格的に転換を図りました。
ソアーヴェという巨大なワイン銘柄を支えるゾーンから外れたこの地域では、ブドウを売っているだけでは、どんなに質の良いものを作っても意味がないと感じ始めていた彼は、2007年にアンジョリーノから使い古しのバリックを1つ借りてメルローを仕込み、2008年から生産量を増やし始めます。
2012年以降は、他のワイナリーにブドウを販売することをやめ、全量を自家醸造&自家瓶詰めすることに。良いワインは畑で生まれる、との考えから、畑ではボルドー液と硫黄のみの使用に留め、メルロー、カベルネ ソーヴィニョン、ピノ ビアンコ(フリウラーノ)、タイ ロッソ、カルガーネガを栽培しています。セラーでも培養酵母は使用せずに野生酵母のみで醗酵&醸造を行い、ノンフィルターでボトリング。
Il Colle(イタリア / トスカーナ)
造り手:Caterina Carli / カテリーナ カルリ
家族全員がトスカーナ州シエナで生まれ育ったカルリ一家。公証人だった父は娘カテリーナの生まれ年である1972年にモンタルチーノにあるイル コッレを休暇用の別荘として購入し、まず3ヘクタールの地にブドウ樹を植えたことからスタートしました。父は公証人として忙しく働きながらも、休日には畑で農作業に時間を費やすことでバランスを取っていました。
1998年から、現当主カテリーナが父の趣味だったワイン造りを仕事として引き継いでから、現在では標高約480mにある約8ヘクタールの土地でサンジョヴェーゼを栽培し、年間約3万本を生産しています。
「畑で完璧な仕事ができたらセラーでは何もしなくて良い」という醸造家ジュリオ ガンベッリの言葉に影響を受け、畑では健全なブドウを育てることを心がけ、ワインを造る上では「時間」と「清潔」を何よりも大事にしています。ブルネッロというワインの特性上、熟成において樽のなかで呼吸させる時間が必要と考えているため、自身が必要と判断した年には例年より長く樽での熟成を長く取ることもあります。
Davide Spillare(イタリア / ヴェネト)
造り手:Davide Spillare / ダヴィデ スピッラレ
ヴェネツィアから西に80km、ヴィチェンツァとヴェローナの間の小さな街ガンベッラーラにあるダヴィデ スピッラレのワイナリー。スピッラレ家は代々兼業農家としてブドウ栽培を営んでいたものの、収穫したブドウのほとんどを協同組合に売却し、自家消費用には瓶内2次醗酵させた甘口の発泡性ワイン、レチョート スプマンテを生産するだけでした。
父マリアーノはビアンカーラのアンジョリーノ マウレと旧知の仲で、ダヴィデは幼い頃からアンジョリーノのセラーに出入りし、物心がついてからは彼の次男アレッサンドロと一緒に畑やセラーの手伝いをしていました。徐々にのめり込んでいったダヴィデは、10代の若さでワイン生産者として生きていくことを決意します。
農業で食べていくことの大変さを肌で感じ続けてきた祖父と父は、後継者のあまりにも早い決断に反対していましたが、ついに2006年(当時19歳)、2ヘクタールの畑を譲り渡します。ビアンカーラのセラーで醸造を始め、2006年は数百本しか生産せず地元で売り切ってしまったため、実質的なファーストヴィンテージは2007年となりました(生産本数4000本)。
大地には良いブドウを育むすべての要素が備わっているという考えから、ブドウ、自然、大地との対話をもっとも重視し、ボルドー液以外の薬剤を使用せずブドウを栽培。現在ではガンベッラーラの標高150~400mの場所に10ヘクタールの畑も借り、約4万本を生産しています。セラーでは、畑同様の哲学を実践し、出来る限り人為的関与を少なくし、シンプルで本質的なワイン造りを目指しています。
Pacina(イタリア / トスカーナ)
造り手:Stefano Borsa, Giovanna Tiezzi / ステーファノ ボルサ、ジョヴァンナ ティエッツィ
キャンティの南東部にある地区、カステルヌォーヴォ ベラルデンガで、ステーファノとジョヴァンナ夫妻によって営まれるワイナリー。西暦900年代に修道院として建てられた建物とその当時に開墾されたブドウ畑やその他の畑、森など60ヘクタールにもおよぶ敷地をジョヴァンナの曽祖父が購入したのがはじまりです。
キャンティの某有名ワイナリーで醸造家として働いていたミラノ出身のステーファノは、当時同僚だったレ ボンチエのジョヴァンナ モルガンティを介して妻ジョヴァンナと知り合い、2人は結婚。森を残し、耕作地にはブドウやオリーヴ、穀物などさまざまな作物を育てることでモノカルチャーを避け、常に休閑地を設けるという、パーチナで代々続いている生物多様性を尊重する循環型農業に彼は共感し、そのブドウでワインを醸すことを決意します。それまではワインを量り売りや桶売りしていましたが、1987年からボトリング開始。
セラーでも温度管理することなくセメントタンクでマセレーションを行ない、野生酵母のみで醗酵させた後、乳酸醗酵が終わるまでそのまま静置。さまざまな大きさの樽へと移され約12か月の熟成期間は一度も樽の移し替えを行なわず、ノンフィルターでボトリング。2酸化硫黄の添加はボトリング前に極少量を使用するのみに留めています。
Natalino del Prete(イタリア / プーリア)
造り手:Angela Del Prete / アンジェラ デル プレーテ
プーリア州の南部サレント半島レッチェの北西30km、人口6500人の小さな街サンドーナチでワイナリーを営むナタリーノと娘のミーナ。ナタリーノは1994年(48歳)に大学での生物学の研究を離れ故郷に戻り、かつて祖父が愛していたブドウ畑に自分の全てを捧げることを決めました。所有する約11ヘクタールの農地のうち7ヘクタールはブドウ畑で、ネグロアマーロ、プリミティーヴォ、マルヴァジーア ネーラ、アレアーティコなどを栽培し、残りの4ヘクタールはオリーヴを育ててオリーヴオイルも生産。
畑は海抜40mの場所にあり、ブドウの樹齢は20~80年、アルベレッロ プリエーゼという伝統的な仕立てで、微生物環境を重視し、化学的な農薬は使用せず、過剰な酸素を土壌が取り込まないように不耕起、有機的な肥料であっても不必要と考え無施肥でブドウ栽培を行っています。ボルドー液でさえ、必要最低限よりも少ない使用に留めているため、ヘクタール当たりの収量が3トンと、質より量が重視されてきたプーリアという生産地域であることを考えると異様なまでの低収量。
セラーでは、ブドウをプレスする際にごく少量の酸化防止剤を使うのみで、無濾過、無清澄でボトリング。セラー自体が広いガレージのような造りで、一切の冷房施設がないため、温度管理が可能な状態のセメントタンクを使用して醗酵を行います。圧搾後は地下に埋め込まれたセメントタンクで熟成させ、ボトリングはオーダーが入ってから、1本1本手詰めで行っています。年間約15000本の生産。
Cristiano Guttarolo(イタリア / プーリア)
造り手:Cristiano Guttarolo / クリスティアーノ グッタローロ
南イタリア プーリア州の州都バーリから南に40km、ジョイア デル コッレで、それまで祖父が続けてきたアルベレッロ仕立てのブドウ畑を1ヘクタール引き継ぐ形でワイナリーを始めたクリスティアーノ。グッタローロ家のルーツがカンパーニア州にあり、サレルノに住んでいたクリティアーノは、カンティーナ ジャルディーノのアントニオと親交が深く、お互いの夢を語り合ううちに、とうとうジョイア デル コッレへの移住を決意しました。
ワイナリーの創業は2004年、当初から微生物、植物、動物間の調和を取り戻すことを心掛け、ボルドー液以外の化学的な薬剤を使用せずにブドウを栽培。現在は40ヘクタールという広大な敷地で小麦をメインに農業を行い、6.5ヘクタールほどの畑でビオディナミ農法にてブドウを育て、年間約3万本を生産しています。プーリア州の市町村のほとんどが海抜100m以下に位置していますが、彼の畑は標高400mの石灰岩台地の上にあり、ブドウもしっかりと酸があるのが特徴。
-参加飲食店-
Cernia(福岡)
料理人:Ryotaro Hata / 畑 亮太郎
2013年に福岡 今泉にオープンしたイタリアン『Cernia』は、2022年4月から福岡 田主丸へと移転し、この地の旬のものを中心にしたコース料理でリスタートしました。オーナーシェフである東京育ちの畑さんは、元々都内の飲食店に勤めていましたが、20代後半から生産者への想いが強くなり、いずれは店の隣に畑を持ち自分でも野菜を育ててみたいと思っていたそう。2020年には畑を借りて妻の梨絵さんとともに野菜を作りはじめ、自身の店で提供していくうちに、生産者たちとの付き合いや食材へのこだわりはさらに深まっていきます。ロゴのモチーフにもなっている『Cernia』は、イタリア語で魚の「ハタ」という意味。
とおの屋 要(岩手)
料理人:Yotaro Sasaki / 佐々木 要太郎
料理人であり醸造家、そして農家でもある要太郎さんは、江戸時代から続く武士の家系に生まれ、100年余り続いてきた民宿『とおの』を4代目として継ぎました。料理の基礎を父から学んだ後、独学で料理を極める傍らでどぶろく造りをはじめます。10年以上にわたる試行錯誤を経て、伝統的な清酒の製造法である「生もと」や「水もと」を応用し、洗練された味を生み出すことができるようになりました。農薬や肥料を使わずに育てた米を原料に、火入れをせずに醗酵させた生のどぶろくは3~6か月熟成させてから提供。
また、どぶろくを中心とした発酵食を深める過程で熟成の技術も身につけ、干肉やサラミ、生ハムやチーズ、酢など、ありとあらゆる発酵食を自らつくるように。2011年9月から民宿の隣に『とおの屋 要』をオープンし、日本の伝統的な「本懐石」を原点とするレストランと、1日1組限定のオーベルジュを構えています。
リストランテ ハナタニ(兵庫)
料理人:Kazuhiro Hanatani / 花谷 和宏
神戸 三宮のハンター坂にあるイタリア料理店『リストランテ ハナタニ』は、2011年に『オステリア ハナタニ』として創業し、2016年に現在の場所に移転してリニューアルしました。瀬戸内で獲れる魚介や丹波篠山の猪や鹿、神戸近郊から届く新鮮な野菜を使った神戸らしいイタリア料理を、ワインとともに提供しています。店舗前にある冷凍自販機では、まかないのアイデアから生まれたチーズケーキやラーメン、パスタなども24時間365日販売中。
da olmo (東京)
サービス:Shinichi Harashina / 原品 真一
東京 神谷町で10年。シェフの北村さんが修行したなかで一番感銘を受けたという、北イタリア トレンティーノ アルトアディジェ州の郷土料理を軸に、国内の食材をこだわりを持って選び抜き、季節感溢れる滋味深い、また食べたくなる料理をコンセプトに提供しています。オーストリアやドイツの流れを汲む、保存性が高く手間ひまかけた「山の料理」が特徴。
サービスの原品さんは新宿御苑のタベルナ ロッサーナで立石滋さんに師事、8年間の修行後、新宿三丁目の客席70席の『トラットリア ブリッコラ』をまかされる中で北村シェフと出会い意気投合、一緒にダオルモをオープンしました。斬新さや派手さを重要視せず、「主語はお客様」を合言葉に厨房、ホールが一体となった三世代で楽しめるレストランを目指しています。