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2014-01-20

【新入荷】2014年1月 その2 (Le Boncie,Santa Maria,Cantina Giardino)


1月の新入荷、その2です。
この前飲ませてもらったレ トラーメの2000年、えげつないくらい美味しかったなぁ…。
ここまでストイックでシャイな、だけど一度胸襟を開いた時に見せる凄味たるや他の追従を許さないキャンティはそうないと思います!
そんなレ ボンチエからはセカンドラインの5(チンクエ)の2011年が届いています!
非常にスキャンダラスなワインで、まさにヴィナイオータ向き(笑)!2011年は夏から収穫時期にかけて酷暑が続いた年で、水はけの良い彼女の畑のブドウ樹はとても苦しみました。そんな困難の中でも健気に頑張った樹は恐ろしい凝縮度のブドウを生らせたのですが、一部のブドウは半干しブドウ状態…ですので、通常通りに完熟したものと過熟気味なものを別々に醸造します。
通常通りと書いたものでもアルコール度数は15%を優に超え、過熟気味のものに至っては17%超!前者はレ トラーメとして、後者はトンダーレという名前でリリースされる予定です。
僕たちが訪ねた日は、トンダーレを圧搾していたのですが、なめてみると甘いし、まだ醗酵もしている…。
僕「あれ?ジョヴァンナ、これまだ醗酵してない?いつも醗酵が完全に終わってから絞ってるよね??」
ジョ「もちろん普段はそうしてるんだけど、醗酵が進んでも進んでも糖分が一向に減らないということに気付いたの!こういうブドウ扱ったことないから分からなかったんだけど、(半)干しブドウからは徐々に糖分が染み出してくるらしくて…もうすでに潜在アルコール度数で17%くらいあるだろうし、糖分が完全に焼け切ってくれるかも怪しいものだし、このまま果皮と漬け込んで更に糖分が染み出して、延々と続く醗酵の最中に乳酸発酵が始まって、バクテリアのせいで揮発酸が高くなっても嫌だから、絞ってんのよ…。」
畑を見に行くと、干しブドウが生りっぱなしの状態に…。なぜ他のブドウと一緒に醸造しなかったんだろう??と疑念を持ちつつ、試しに食べてみたら、あらビックリ!!!!すっごい酸っぱいではありませんか!!
一部のブドウ樹は、驚異的な乾燥から自身の命を守る為に、子であるブドウの実から水分を奪ってしまったんだそう!
完熟へ向けて糖分を貯めこむ前に起こったので、見た目干しブドウなのにもかかわらず、甘いどころか物凄く酸っぱい…。 懸念、心配から始まり、問題が露呈、困難の伴う収穫(未熟干しブドウ、完熟ブドウ、半干しブドウを摘み分けなければいけないわけですから…)、少ない収量、一向に終わらない醗酵、高すぎるアルコール度数…。
新しい畑の若い樹齢のブドウと、レ トラーメには使わないと判断したブドウで造られるチンクエもご多分に漏れず、アルコール度数ほぼ15%!加えて、13年春にボトリングした分が瓶内で2次醗酵を若干起こしてしまいまして…微微発泡高アルコールサンジョヴェーゼとなってしまいました。
ジョヴァンナ自身どう売っていいのかわからないという事でしたので、沢山買ってみました(笑)。
異常気象の年に生まれたちょっと変な子チンクエ11…自然の神秘を液体の中に是非見出してみてください!!!

モンタルチーノの実験君、マリーノ コッレオーニのサンタ マリーアからは、オルチャロッソ12が120本、アンテオ12が720本再入荷です。最近の原産地呼称委員会にウンザリなマリーノ、2011年のワインをロッソ ディ モンタルチーノを名乗らずに、IGTとしてリリースすることにしまして、全量(600本)を弊社に回してくれました!

カンパーニアの実験君といえば、やはりカンティーナ ジャルディーノ
切らしておりました赤ワイン4種+タララ(グレーコ)の09が再入荷、ガイア(フィアーノ)、パスキ(コーダ ディ ヴォルペ)は新ヴィンテージが届いています。
赤ですが、カジュアル アリアーニコ、レ フォーレとアンフォラで醗酵&初期段階の熟成を行ったクラウン エノローグが新ヴィンテージ、ヌーデの05が再入荷、ドロゴーネは何故だかバックヴィンテージの05が少量入荷しています。
最近飲んだクラウンエノローグ08は本当に素晴らしかったです。僕自身もかなりファンキーなワイン(ラベルの通り)という認識だったのですが、凄いしっとりと落ち着いてきていて…。ファンキー繋がりで言えば、先日開けたラディコンのリボッラ03もあれほど目立っていた揮発酸も後ろに回っていて悶絶級の美味しさでしたし…やはり力のあるワインの潜在性を引き出すための唯一にして最良の調理法は“時間”ということなのかと。

文:太田久人
100 nuovo 14.01.20

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