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2011-10-27

造り手紹介 ダヴィデ スピッラレ その1(2011.11筆)

前回ラ ビアンカーラの記事で書きましたように、アンジョリーノの周りでは若い、意欲のある造り手が現れてきています。

先ずは最年少、ダヴィデ スピッラレ君からご紹介します!!

2006年からボトリングを開始していますので、もうかれこれ6ヴィンテージ目、で24歳・・・そうなんです、日本でいうところの未成年の時からワインを造っているんです!!

スピッラレ家は兼業農家としてブドウ栽培を営んでいて、収穫したブドウのほとんどを近くのワイナリーに売却をしていましたが、一部のブドウを残し、陰干しして仕込んだ甘口のワインを、ボトル内で2次醗酵を促させたレチョート スプマンテを自家消費用に生産していました。

ダヴィデのお父さんがアンジョリーノの友達だったということもあり、小さな頃からアンジョリーノの家に出入りし、アンジョリーノが実践しているような畑やワイナリーでの仕事に魅了されます。農業学校に通いながら、アンジョリーノの所にも足繁く通い、ノウハウを学び、自らも実践するように。

ワイナリーとして発足する前からも実験的にワインを造っていて、その当時のワインも10代少年が造ったとは思えないほどの完成度だったりします。2006年に祖父と父親から2ヘクタールの畑を譲り受け、ボトリングの権利も取得、生産を始めますが、数百本しか生産せず、地元で完売してしまったため、2007年が本格的にワインを生産した年になります(とはいえ2-3000本程度ですが)。

彼が持っている畑の面積を考えたら、もっと大量に生産することも可能なのですが、現在までのところ、問題なく売り切れるであろう量を生産し(4-5000本)、残りのブドウは他のワイナリーに売っているようです。

ダヴィデのお祖父さんが植えた、樹齢約70年のガルガーネガ、この畑からビアンコ ルーゴリ ヴィーニェ ヴェッキエは生まれます。

周りから伝え聞いた話なのですが、彼の親戚で、いわゆる大手メーカーのワインの仲買人みたいな仕事をしている人がいるらしく、その彼が農薬を多用してのもっと楽な農業、化学肥料を使用して高収量、ワイナリーでもテクノロジーに頼る近代的な醸造法をやったらいいのにとダヴィデをそそのかしているようなのです。その親戚に対して、ダヴィデの父親も強く息子を擁護することができないでいて・・・。

そして今回、ダニエーレ ピッチニンからは、ダヴィデは自分の畑の作業以外に、他の人の畑のトラクター仕事(耕起、除草、農薬散布など)も請け負っているということ、そしてそれは考えられないくらいの面積を手がけていのだという話を聞きました。24歳にして腰が痛いを連発すること、いつも疲れていること、そしてすぐにメールの返信が返ってこないの理由がようやく分かりました・・・。

写真を見て頂いて判る通り、はっきり言って“華”がありません!シャイだし、自分からコミュニケーションをとることはまずないし、請求書送ってとお願いすれば必ず計算間違っているし、連絡は遅いはで・・・。

しかーし、自分のワインについて話している時の彼の目の輝きようったら素敵なんです。

兄弟子(あにでし)であるダニエーレ ピッチニンが1ヴィンテージ目から圧倒的な存在感でワインをリリースさせられたのには、やはり進退を絶ってワイン造りをすることを選んだダニエーレの覚悟や気合が乗り移ったものだったからだと思うのですが、ダヴィデのワインは品質的には何の問題もないが、ワインからそこまでの強い覚悟(それがワインに個性を与えるのだと僕は信じています)を感じなかったりします。

とはいえ、僕が20代前半だった時に何ができていたと言うのでしょう?恐ろしく何もできてなかったです・・・。つまり・・・ダヴィデは偉い!!

アンジョリーノもこう言っていました。「俺がある程度ワインを売れるようになったのは、始めてから10年くらい後だったよ。だけどダヴィデに同じくらいの時間を耐えさせるのは無理だと思うんだ。若いし、俺と置かれている状況も違うし・・・。だから俺たちがあいつのことをフォローしてあげないと。」

アンジョリーノは、アンジョリーノの道を歩むことで、ダヴィデも歩める道を作り、心無い大人から擁護すべきときに擁護し、でヴィナイオータはというと、たくさん買って、売って、そしてまた買って・・・というサイクルを実現することこそ彼をフォローすることとなり・・・。

ヴィナイオータのフラッグシップ的ワインであり、最も数を動かしている看板商品であるラ ビアンカーラのワインと同じ地域の無名なワイナリー、ダヴィデとの取引は会社的には賢明な選択ではなかったと思います。それでも僕がやるべきだと考えたのはこういった理由からなのでした・・・、もちろん美味しかったことも理由のひとつですよ!

というわけで皆さん、彼にもっと凄いワインを造ってもらうためにも、覚悟させちゃうような状況を作っちゃいませんか?まずは、ブドウを売らずに全部自分で仕込めるようになるところが第一歩目かと。

彼に会ったら、「ダヴィデ、お前のワインほんと旨いよな!俺たちもガンガン飲むから、お前も頑張れよ!」って感じで声掛けてあげてください!!

今回お出しするワイン

Bianco Rugoli 2010 (ガルガーネガ90-95%、トレッビアーノ)
Bianco Rugoli Vigne Vecchie 2010
Bianco Rugoli 2009
Rosso Giaroni 2010(メルロー)
Dolce Racrei 2008か2010(元レチョート スプマンテ、甘口・微発泡)

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