造り手紹介 カーサ コステ ピアーネ その1(2011.11筆に2014.10若干訂正)とその2(2014.10筆)

他にも書きたいことがいっぱいありますので、ジャンジャン行きたいと思います!!
ヴェネト州で来ていますので、ヴェネトの造り手を一通りご紹介しちゃいます。

極上の辛口カ〇ピスソーダとも言われている(ほんとか?)、プロセッコ シュール リーの造り手、カーサ コステ ピアーネです!
今回来日するのは、当主のローリス フォッラドールではなく、息子のラッファエーレとアデルキになります。前回2007年はローリス&サンドラ夫妻で来日しましたので、今回は息子達に譲ったようです。

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鬼のような急斜面に立つラッファエーレ

フォッラドール家は代々、ブドウ栽培、ワイン生産を行ってきましたが、1983年からボトリング を開始します。瓶内2次醗酵を促す際に一切酵母や糖分を加えず、ワインに若干残った糖分と野生酵母を利用して造る微発泡性のワイン、プロセッコ シュール リーが主要な製品になります。
代々造っていて83年からボトリング?と不思議に思われるかもしれませんが、このあたりではその頃くらいまでは、地場消費される分に関しては量り売りで取引されることが多かったそうです。で、もう少し詳しく説明しますと、
春先、一般のお客さんが大瓶を持ってワイナリーに、まだ発泡していない前年のワインを買いに来ます。
そのワインをしばらく気温の低くない所に置いておくと、

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こんな感じで微細な2次醗酵が始まります。
この醗酵がある程度活発になった段階で、ボトリングし、2‐3ヶ月も置いておくとちゃんとした微発泡 性のワインになるので、それを1年かけて飲み、また次の年も同じ事を繰り返し・・・。一般の消費者としては、ボトルはリサイクルできるわけですから、その 分安く買えますし、自家用ですからラベルがなくても全然問題ないですし。
僕たち日本人はラベルが付いたワインが普通だと思っていますが、ほんの 5-60年前に戻れば、牛を飼い、畑で野菜や穀物を育て、自家消費用のワインを造る程度の大きさのブドウ畑を持つことは普通だったんです。僕が最近よく言 うことなのですが、数千年あるワインの歴史で、ワインが嗜好品として扱われるようになったのはつい最近の事&一部のワイン(ボルドー、ブルゴーニュに代表 される)に対してだけのことで、どちらかといえば、パンとワインと言われてたように、食品の1つだったんですよね。

で、話を戻します が、83年からボトリングを開始しるわけですが、その方法は彼らのお客さんが家でやっていたことを彼らがやっただけのもの、つまり瓶内で自然に2次醗酵を 行ったものなわけで、ボトリングするわけですから、それは当然地元以外での消費を目論んでの事だったわけですが、これが全然売れない。もうその頃には、テ クノロジーを導入して生産されたスパークリングワインが主流で、うっすらとは言え、濁っている彼らのプロセッコは見向きのされなかったようです。
この伝統的な造りのプロセッコが市場で全く評価されない状況がもう何年も続くようなら、そして生きていくために市場で受けるためのワインを造らなければい けなくなるようなら、ワイナリーを廃業させるつもりだからと子供たちには話していたそうです。幸いそのくらいの時期から、徐々に彼らのワインを評価する人 たちが現れ、今現在では、在庫が1年持たないまでに売れるようになり、かつてはプロセッコで唯一の伝統的な造りをしていたローリスの成功に触発されて、何 人かの造り手が昔ながらの手法を採用したワインも生産するようになってきています。

このフォッラドール家では、家族で食事する時には必ず彼らのシューリーを1本開けて、他の造り手のワイン(地域、国を問わず)も必ず1本は開けるようにしているそうです。
ローリスは自分のシュール リーのことを誇りを持って”薄い(淡い)ワイン”と表現します。シンプルさ、いい意味での単純明快さ、そしてあの偉大な飲み心地こそがシュール リーの持ち味だということなのだと思いますし、その言葉の裏には、濃い(尊大な)ものばかりが良いものとされる世の中に対する彼なりの矜持みたいなものを 感じます。
実際、濃く、尊大なものを、毎日飲むのはきついですよね。それに比べて、彼らのシュール リーのような優しさ、僕たちに寄り添ってくれるような感じを備えたワインは、毎日でも飲めますが、いざ似たようなワインを探そうとしてみると案外ないものなんですよね。
アンジョリーノが他のワインを表現するのに使った表現で、僕自身はこのシュール リーにぴったりだと思っているのが”小さな偉大なワイン”という言葉。素敵だと思いませんか?
今回どの会場でも、彼らのワインが一番消費されるということは間違いありません!!!

以前、コステピアーネに絡めて、僕にしてはまともな文章を書いていました。ご興味がある方はこちらへ。

余談ですが、数年前、今回来日する2人の息子がモンタルチーノにいるとある偉大な造り手のところを訪ねた時、その造り手に、「ヴァルドッビアーデネ(コス テ ピアーネのゾーン)?プロセッコ??そんなもんで偉大なワインできるわけないだろ。やるだけ無駄無駄。」と一蹴されてしまったそうです。
そ の後でマッサヴェッキアを訪ねた2人、ファブリーツィオ(マッサ ヴェッキアの前当主)は、彼らが今にも泣き出しそうなくらい顔だったので、問い質し、経緯を聞いて激昂、「未来ある、それも農業というつらい仕事を選ん だ、意欲のある若者を元気付けることこそすれど、こき下ろすなんて・・・。偉大とかそういう話を持ち込むこと自体ナンセンスだし・・・。畜生、絶対にあん なジジイより俺のほうが偉大なワイン造ってやるぜ!」と吼えたそうです(笑)。

 

<造り手紹介 カーサ コステ ピアーネ その2(2014.10筆)>
前回前々回の記事で、すでに書き尽くしている感がありまして、ネタが思い浮かびません!!!(笑)
ヴォドピーヴェッツのように、それまでなかった文化伝統を創造しようという気概で、常に張りつめたテンションでブドウ栽培&ワイン醸造をする人も いれば、コステ ピアーネの当主ローリスのように、伝統を盲信しているのではなく、体感レベルで伝統の中に理(ことわり)が存在することを悟ってしまった人の行為行動は、 ゆるぎなく、それでいて自然体で…いい意味でアップデートのない彼らなので、ネタが思いつかなかったのかと…。

急峻な斜面の畑の草刈りを全て手作業で(刈り払い機を使って)するので、父&息子2人の3人で管理できるのは、6ヘクタールが限界。
だから6ヘ クタールしかブドウを栽培しないし、結果、作柄が良い年でも60000本がMAXの生産量。
でも、それで家族全員が問題なく暮らせるのだから、それ以上に 何を望む必要があるの??
そんな彼らの謙虚な姿勢は、ワインの味わいの中にも表現されているような気がしますし、こんな謙虚な人たちだから、 自然環境に対しても謙虚でいられるのでしょうし、自然環境に対する畏敬の念を持ち合わせているから、醸造面でも謙虚な(極端に干渉することを嫌う)姿勢を 貫けるわけで…。

多くの造り手が、現代的な手法のプロセッコ生産に流れていく中で、94年の創業以来、一貫して補糖も酵母添加も行わ ずに瓶内2次醗酵させる、伝統的な微発泡プロセッコを生産し、一時期は彼らだけがその手法を採る造り手がいないという状況を経て、3年前には、彼らのよう な伝統的手法を採用する造り手が現れてきたと書きましたが、今現在でもその数は増え続けているようですし、そのうちの何軒かのワインが実際に日本にも入っ てきている…きっと、彼ら的には自分たちのワイナリーの商業的成功以上に、伝統回帰する造り手が増えていっている現状の方に大きな喜びを感じているのだと 思います。

ここまで書いたところで、彼らが所属するグループのサイト内で彼らの言葉を見つけたので、その訳を載せます。
我々は、ブドウ栽培家、ワイン生産者であるよりも何よりもまず、我々が住み、農作業をしている土地の管理人、門番であり、我々の課題とは、我々よりもあとの世代の為に健全健康な大地を残すことであると考えている。
このように考えられるブドウ栽培家、ワインの造り手が増えれば増えるほど、ワインも社会もより素敵なものになるのではないでしょうか?

今回のオッティマーナ緑2014には、長男ラッファエーレが今夏結婚した奥さんと、新婚旅行を兼ねての来日です!!
前回は、いろいろな意味ではっちゃけたラッファエーレ、今回はおとなしくしてくれると思われ、運営者サイドとしましては、ひっじょおおおおおに助かっております!!!!(笑)

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彼らの畑の中でも、最も急峻な区画を上から覗き込んだ写真、実際に見るともっとえげつないです。

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