今回はチーム・ビアンカーラのアンカー、ダニエーレ ポルティナーリのご紹介です!
僕の脳内造り手データバンク的に最も容量が少ないのが彼になるかと。
彼に会う時はいっつもアンジョリーノが一緒なので、彼らの間で話しが盛り上がっちゃって、まだそんなに深くは話したことのない上に、彼自身寡黙なもので・・・。
ガンベッラーラの隣の生産地域、コッリ ベーリチで、父親の代からブドウ栽培農家として4ヘクタールの畑を持ち、収穫したブドウは近隣のワイナリーに売却していました。2004年にダニエーレが本格的に手がけるようになって、化学肥料や農薬に頼らない農業へと転換を図ります。
いきなり話は飛びますが、土着のブドウ品種で赤ワインを造ってみたいと前々から考えていたアンジョリーノ、ガンベッラーラから20km以上離れたソッサーノ(生産地域的にはコッリ ベーリチにあたります)という集落に0.5ヘクタールの畑を借りて、その地域の土着品種であるタイ ロッソ(トカイロッソの新しい呼び名)を植えます。2003年に初めて収穫し、バリック1樽分を生産、このブドウに惚れ込んだアンジョリーノは何十年も耕作放棄され、森林化していた畑を1ヘクタール買い、開墾、そこにもタイロッソを植えます。畑作業もありますし、頻繁にコッリ ベーリチのゾーンに通ううちに、ダニエーレ(ポルティナーリ)と知り合います。
無名だが、特に赤ワインに関して偉大なポテンシャルを持つコッリ ベーリチというゾーンにもっと光を当てたいと考えていたアンジョリーノとブドウを売っているだけでは、どんなに質の良いものを作っていても意味がないと感じ始めていたダニエーレ、アンジョリーノの強い後押しで2007年にアンジョリーノから古バリックを1つ借りてメルローを仕込み、確証を得た2008年ヴィンテージから生産量を増やし始めます。
ダニエーレの父親が植えた畑には、カベルネ、メルロー、タイ ビアンコ(元トカイ フリウラーノ)、ピノ ビアンコが植えられており、2007年に彼自身が植えた畑にはタイ ロッソが植えられています。
現在は3種類のワインを造っていましてそれぞれ、
ピエトロビアンコ:ピノ ビアンコ、タイ ビアンコで造る白。ピエトロはダニエーレの次男ピエトロの名前です。
ナンニ:メルロー、カベルネで造る赤。ナンニは、長男ジョヴァンニの愛称。
収穫を手伝うナンニ
タイ ロッソ:タイ ロッソ100%のワイン
となります。
タイロッソの畑
生産地域も生産者本人も地味ですが、地域にはアンジョリーノお墨付きの高いポテンシャル、本人からは静かですが強い意志みたいなものを感じます。
もう1人のダニエーレもそうでしたが、僕たち日本人には希薄な気がする、彼らの郷土に対する思い入れ、愛情はただならぬものがあり、その気持ちが、その土地の伝統やルーツなどを守りたい、継承したいと思う気持ちとなり、それがブドウに乗り移り、それがワインへと変化し・・・。
また自由なワイン宣言で書いた話になってしまうのですが、本質的な意味での自由が僕たちには存在しない中、最も自由な状態というのは、自分の不自由を認識し、より自由であろうとする意志を持つこと、ということになると思うのですが、彼らの場合、郷土愛という不自由を受け入れることから始まっていて、その制約の中でどこまで自分の意志、魂をワイン(個性を持つために)に込めれるのかと考えているのではないでしょうか。
ヴィナイオータの扱う生産者でいうと、この制約を逆利用して、圧倒的な個性を持つワインを造っているのがマッサヴェッキアとパーネヴィーノだと僕は思うのですが、いかがでしょう??
やっぱりワインは人だという結論になってしまうんですよねぇ・・・。
僕自身もこの旅の間にダニエーレのことをもっと知れるようになり、彼のワインとの接点を見つけたいと思います!!!!