【新入荷】2018年2月 その2 (Gravner、Massa Vecchia)
日頃より格別のご愛顧をいただきありがとうございます。
ようやくオッティマーナ残務(=2017年の仕事)がすべて片付きましたぁ!と思ったら、2018年もすでに2月…次回イタリア行きなども含めた年間計画が全く立てられておりません…。このまま1年を終わらせぬよう、今後は巻き返しを図りたいと思います!
年間計画といえばですが、よほど(オータが)忙しいと思われているのか、それとも疎ましがられているのからなのか(笑)、日本国内でのお呼ばれは今のところさほど多くないのですが、イタリアからの“一度うちを訪ねに来て!”オファーだけは途絶えることがありません。
それもヴィナイオータがカバーできていないゾーンだったりするものですから、やはり一度は訪ねなければと思わされるところばかり…。そういったオファーがあること自体光栄な反面、勝手にハードルを上げられている(良いイメージが先行し過ぎてる)気がして若干プレッシャーさえ感じてしまいます…。
取引先の造り手たちが他の造り手にヴィナイオータのことを良く話してくれるからそういった話があるのでしょうが、そのすでに取り扱いのある造り手たちに対しても僕たちが十分な仕事ができているとは言い難く…。というわけですので、もっともっと伝えることに熱を込めていきたいと思いますし、前回メルマガにも書いた通り、熱苦しくお話しても良い場を設けていただけるのでしたらどこへでも行きますので是非ともご連絡くださいね!!
それでは特濃すぎる新入荷案内に入らせていただきま~す!!
昨年のヴィナイオッティマーナも長女マテイアが急きょ参加してくれることになり、その際お披露目的にご紹介させていただいておりました、グラヴネルのワインがようやく届きました!!!
彼らの歩みそのものが、イタリアにおけるクオリティ白ワインの変遷を物語っていると言っても過言でない気がします。クオリティワイン…意味的には品質の高いワインということになると思うのですが、その時代時代で最良とされていた醸造方法を採用し、その結果(当時の)ガイドブックなどから高い評価を受けてきたワインを指す…というのが一般的な認識になると思います。
戦後以降、ワイン醸造の現場にありとあらゆるテクノロジーが持ち込まれるようになり、色調的にも香り的にもクリーンで酸化的ニュアンスのない、“ゆらぎ”のない安定した製品こそが良いワインだと僕たちが“信じ込まされていた”時代は確実にあったのだと思います。グラヴネルのHPにもこんなことが書いてあります。
「その当時に“最新技術”と呼ばれていたものは一通り試してきた。私自身若かったし、やる気に満ち満ちていた。このあたりから父との(ワイン造りに関する)意見の不一致が始まっていったんだけどね…。かつての私のモットーは、“多かろう、良かろう(美味しかろう)”。つまり、よりリッチでたくさんの要素があればあるほど美味しいワインであると考えていたし、そこに辿り着くためには今日ありとあらゆるワイナリーに存在する全てのモノ(設備、機械)が必要なのだと固く信じていた。最新の技術に魅せられ、度を越した意欲で溢れていた私を見て、父はいつか私自身の歩みを取り戻すことを期待しながら笑顔で見守ってくれていたんだろうね。実際に父の思惑通り、ステンレスタンクから始まってバリックに至るまでの過剰な醸造設備を徐々に処分していくことになるのだけど…。5000年以上に渡って続いてきたワイン醸造の伝統歴史が、たった数十年(の出来事、その間に生まれた技術論)で書き換えられることなどあってはならない。私のセラーには、あらゆるテクノロジーも特殊効果も存在しない。コーカサス地方からやってきたアンフォラがオスラーヴィアの大地に抱かれながら休む場所…。私は(このセラーの)シンプルさと機能性を愛してやまない。」
このHPからの抜粋は、カンティーナ(セラー)という章の全訳になります。
とても簡潔ですが、今現在の彼のワイン観や“美味しさ”に対する考えが余すことなく盛り込まれている気がします。
オータなりの解釈を加え書き足しますとこんな感じになります…。
意図的に、そして技術を駆使して生み出される美味、仮にその味筋が時流に乗るものだったり、大多数に好まれるものだとしても、もはや自分は興味がない。
美味しいよりも何よりもワインはワインとして真正(ホンモノ、伝統に則った、真っ当)でなければならない。
真正なワインたらしめるためには、母なる大地への畏怖の念と偉大なワインの歴史に対しての敬意を忘れてはならない。
その畏怖の念と敬意を持ち合わせていたのならば、畑では自然を観察しようと努め、自然界との調和の取れた農業のあり方を模索するだろうし、セラーでも“造り手”としての我を殺し、ただただブドウ、ワイン、微生物たちにとって居心地の良い環境を創出することだけを心がけ、自然の流れやリズムに身を委ねるような醸造方法を採用するはず。
このような考えのもとに生まれたワインには、ブドウ、テロワール、ヴィンテージの個性が余すことなく表現される。
それら個性は、自然の持つ多様性、神秘性が表出したものとも言え、それこそがワインが持つべき“美しさ”(=美味しさ)である。
といった感じになるのかと。
とどのつまりは、“狙った美味しさではなく 自然に備わった美味しさ”。
あれ、似たようなことを言っている杜氏さんが広島県にいたような気が…(笑)。
今回入荷したワインは8種類です!それぞれをざっくりとご紹介しますと、
■リボッラ2007&ビアンコ ブレグ2007:白に関してはこれら2つのワインが当面の“ヴィナイオータ的現行ヴィンテージ”となります。現地在庫がなくなるまで買い続けます!アンフォラで約半年間皮ごとの醗酵&初期段階の熟成。圧搾後再びアンフォラへと戻し半年追熟、その後大樽で6年(!)熟成の後ボトリング。ヨスコのワインらしいシリアスさの中にも明るさを備えたヴィンテージ。
■ビアンコ ブレグ2006:残っていた300本全ていただいてきました!ある意味07よりもヨスコ感溢れた(笑)ワイン。
■ピノ グリージョ2006:厳選したピノ グリージョで造るリゼルヴァ的ワイン。醸造方法はリボッラ&ブレグと一緒。
■ピノ グリージョ リゼルヴァ2001(マグナムボトル):2001年は、ヨスコが本格的にアンフォラを導入した年。
■ビアンコ ブレグ1998(マグナムボトル):個人的な話になりますが…このワイン大好き(笑)。反体制とか義憤とかロックな雰囲気漂うワイン。
■ロッソ ブレグ2004:ピニョーロ100%。2005ヴィンテージまでは木製開放式醗酵槽で醗酵、圧搾後大樽で5年熟成、ボトリング後も最低でも5年寝かせてからリリース。
■8.9.10(←という名前のワイン!):2008、2009、2010年の完全に貴腐化したリボッラで造られた甘口ワイン。アンフォラで除梗もせずに醗酵、圧搾後使い古しのバリックで熟成。ボトリング前に3ヴィンテージのワインをブレンド。目玉が飛び出そうな蔵出し価格だったので、弊社は利益をほとんど乗せないことに!!!!でもこの価格…36本のみの入荷になります(750mlです!)。
みんな大好きマッサヴェッキア(以下MV)が2か月連続で入荷してきますよおおおおお!!!!
第1弾は初代ファブリーツィオ ニコライーニが手掛けていた時代のバックヴィンテージものです!
末娘が現在のファブリーツィオの農場を手伝う気になってきたようで、規模拡大(といっても牛を数頭増やしたりとか…)に伴い資金が必要になったようで、ファブリーツィオ公認の“世界一のMVファン”であるオータに彼らが飲む分を残し、全量を分けてくれることになりました。
熱いファンのもとにこれらのワインを届けたいという想いから、12本/セット(96セット限定)という若干ハードルの高い販売方法を採らせていただくことにしました。内容はリストをご参照ください!
僕が今個人的に開けるのならば、白&ロザートは06以前(07もそろそろ…)、赤は04以前のヴィンテージ…といった感じなのですが、なぜにオータがここまで“待つ”ことに執着するのかは、今回届いたワインを飲んでいただければお分かり頂けると思います。
文:太田久人
191 nuovo18.02.19
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