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2014-10-16

【新入荷】2014年10月その2&3(Borgatta,Vinicola Savese,Casa Coste Piane,Valter Mlecnik)


ボルガッタのエミリーオ(左)とビアンカーラのアンジョリーノ(右)

我が家&事務所は純木造建築なのですが、嵐の度に不具合が見つかります。窓枠の下や梁と壁の間から雨水が吹きこんだり、2011年の地震で若干ひびが入っていたのか、今回の台風では事務所の壁(半地下構造となっています)から浸水したり…。そんな状況で暗澹たる気分なるかというとそうでもなく、むしろこの不都合さえも楽しんじゃっている感が僕の中ではあったりします。家という守られた環境に身を置きながらも、自然の大きさ、脅威の一端を感じる事ができるのは、僕たちが扱うようなワイン、造り手の心持ちを想像したりするのに確実に役立っている気がするのです。
これから11月の中旬まで、毎週大型1台分のワイン(6500-7000本)が届きますので、新着案内もほぼ毎週配信されることになると思います。ただでさえ文字数の多い(笑)案内ですが、引き続きご一読いただければと思います。内容的にはどれも見逃し難いものとなっていることはお約束しますので!!!!
僕たちがブドウ品種の特徴だと信じているものの多くは、「ブドウ品種+土地」、つまりとある土壌、微気候、環境下に置かれたブドウが表現したもので、ブドウだけに由来するものではない、と僕は考えています。例えばピノノワールというと、やはりブルゴーニュを基準にその特徴を考えるわけですが、弊社取扱いのアルベルト アングイッソラのピノ ネーロなどは、ブルゴーニュのピノとは似ても似つかない表情を持っていたりしますし、バローロ&バルバレスコのゾーンのネッビオーロとヴァルテッリーナのネッビオーロ(キアヴェンナスカ)では、本当に同じブドウなの?とでも言いたくなるくらい香り、タンニンの質、味わいに差があったりします。
ドルチェットという品種にとって、ドリアーニとオヴァーダという2つのゾーンとのセッションは、化学変化に富んだ刺激的なものなのではないでしょうか。ドリアーニは、咀嚼しなければいけないくらいのタンニンと圧倒的果実味を備えた血気盛んなドルチェットを生み、若飲みというイメージのドルチェットにあって、そのやんちゃさが収まるのに長い熟成を必要とし、オヴァーダは、ドリアーニのように強い打ち出しはないのですが、静謐な雰囲気の中に確固たる信念を秘めているかのような、非常にネッビオーロ然した(もちろん、“ごく一部の”ネッビオーロを髣髴させるという意味で、です)ワインを産する土地です。オヴァーダのドルチェットに関して、そういった認識を僕たちに与えてくれた造り手が、ジュゼッペ ラット翁であることは異論をはさむ余地が全くないと思います。家族のフォローを受けられずに、最後は廃業という形でワイナリーを閉める事となり、現在は擁護施設に収容されているという話を聞きました…。晩年の彼のワインには、樽のバクテリア汚染に由来した危険な雰囲気(笑)のものもありましたが、1991のオリーヴェなどは本当に凄かった…。
明確にイメージしていたわけではないのですが、いつかあんなドルチェットにまた出会いたいなぁと思っていたら、本当に出会ってしまいました(笑)。ワイナリーの名前はカシーナ ボルガッタ、1948年創業の、奥さんのマリアルイーザが父親から相続したワイナリーで、現在は夫エミリオと共に営まれています。もともと薬剤に頼らない農業を実践してきたのですが、エミリオに畑&セラーでの仕事や哲学に関してもっとも影響を与えたのが、隣人だったジュゼッペ ラットだという…初めて彼らのドルチェットを飲んだ時、真っ先にラットのことを思い出したのは決して的外れじゃなかったことを後から知りました。師匠同様に商売が下手なのか(笑)、在庫がいろいろあるようでしたので、古いヴィンテージから各個撃破することにしました。セメントないしステンレスタンク醗酵で、セメントタンクで2年熟成させた後にボトリングしたドルチェット09と、同じく09ヴィンテージなのですが、醗酵後に使い古しのバリックで1年寝かせてからボトリングしたものと2種類届いています。弊社的には、前者をただ単にドルチェット、後者をドルチェット樽と呼ぶことにいたします。ご注文の際ですが、必ずご明記くださいね!あと樹齢50年超のバルベーラの2007も届いています。またしても、この価格帯に反則級のワインがエントリーです!!!!(白も何か欲しいな・・・・)

宮崎には“ヴィットリア酒店”と自称するお客様がいらっしゃるくらいに、その圧倒的なコストパフォーマンスで大人気、ヴィニーコラ サヴェーゼからもワインが届いています。ヴィナイオータ的定番ワイン以外に、新しいワインが2種類入ってきています。1つは、サヴェーゼで初めてのクリュもののプリミティーヴォ、アヤノア09。アリアーノという区画の樹齢50年を超えるプリミティーヴォを、セメントタンクでの醗酵&熟成後、カパソーネと呼ばれるテラコッタの壷で10か月追熟させたワインです。プリーアでは、協同組合ワイナリーに代表される大規模ワイナリーが現れ、栽培と醸造の分業化が進む前、各農家が自らワインを造っていた当時には、保存容器としてカパソーネを木樽の代わりに使う習慣がありました。アヤノアは、区画名アリアーノの方言的呼び名でもあり、“新しい道”を指す言葉でもあります。ワイナリーを移転させた記念に、このワインを造ることにしたそうです。もう1つのワインはもっと強烈です。名前をカパソナート、恐らく、というか間違いなく彼らの造語で、現代日本語的に訳すなら、“カパソネっちゃった”とでもなるのでしょうか(笑)。1984年と85年に収穫したプリミティーヴォを28-29年間(!)カパソーネ内に放置、今年2014年にノンフィルターで(超長期間熟成させたワインなので、澱は完全に沈み切っており、フィルターの必要性が全くなかったという…)ボトリングしたワインで、潜在アルコール度数20.5%、実際のアルコール度数も17.5%あるモンスターワインです。う~ん、凄い!

ここ最近のカミッロの爆発的な売れ行きは僕の予想を遥かに超えており、品切れでご迷惑をおかけしております…が、今回も入荷本数が少なく…すみません…。12月には、条件価格の出た3種類の赤も含め再入荷する予定ですので、しばしお待ちください!
カーサ コステ ピアーネは、2013ヴィンテージが届いています。プロセッコ シュール リーは、中身は全く一緒なのですが、コルク栓のDOCGと王冠のDOCラベルの両方が入っております。弊社のお客様で、「DOCGじゃなきゃ嫌だ!」という方もいらっしゃらないと思いますので(笑)、出荷の際は無作為に出させていただきます。リースリングが若干ブレンドされているワイン、ブリケットも是非!
スロヴェニアの心優しき巨人、ヴァルテル ムレチニックからは、アナ雪効果か?売れ行き好調なアナ07の最終在庫240本が再入荷、レブーラ08ソーヴィニオナス(フリウラーノ)09が、それぞれ300本入荷しております。2008年は、雨が非常に多かった年で、フリウリ、スロヴェニアのあたりは非常に厳しい作柄の年だったのですが、08のムレチニックのワインの美味しさたるや…06が売り切れた段階(ご協力お願いいたします!!)で販売開始予定のシャルドネなどは、うちの辛辣な先生方(ラディコン、カステッラーダなど)も絶賛のワインです。こういうワインに出会うたびに、
「偉大な造り手に悪い年、悪いワインなど存在しない。つまり、ヒトさえちゃんと選べばワインでハズレを引くことはまずない。」という思いを新たにします。
あ、シャルドネだけではなく、レブーラ08も素敵ですよ(笑)。大樽1樽を満たすこともできなかった年で、300本でも全生産量の20%程度にあたると思われます。ソヴィニオナス09は、祖父アンゲルが植えた樹齢70年を超えるフリウラーノのワインです。前回アンゲルという名前でリリースされた07ほどのテンションはありませんが、非常に美しい香りの、エレガントなワインです。メルロー06も絶賛発売中です!!!この後には、ヴァルテル自身現時点での最高傑作と豪語する(僕も同意見です!!)、07が控えています!!

文:太田 久人

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