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2023-05-29

ヴィナイオッティマーナ2022【造り手セミナー】ダニエーレ ポルティナーリ

①セミナー動画 (質問コーナー|02:03~)

ヴィナイオッティマーナ 2023 P8 DAY2に行われたセミナーの様子です。今回来日したのは、ヴェネト州のダニエーレ ポルティナーリからは当主ダニエーレの息子ジョヴァンニ。コッリ ベリチというワインを造る地域としては無名に近い場所でブドウ栽培を行い始め、ラ ビアカーラのアンジョリーノ マウレの助言もありワイン造り、ボトリングも自分たちでてがけています。
現在では息子のジョヴァンニが本格的に経営参画しています。

②造り手紹介 (00:34~)

ダニエーレ ポルティナーリの造り手紹介、詳しくはこちらから。

③造り手への質問と回答

Q1. ワイナリーの経営に本格的に参加し始めたきっかなどありますか?(02:03~)

A1. 僕は、日本でいうと高校にあたる農学校へ通っていました。その頃からうっすらとブドウの栽培と、父のしていることを手伝うようなことをイメージして通っていました。現在では、醸造学校といういわゆる醸造関係の大学に通っていて、今年の7月で卒業予定になります。ワイナリーへは1年前から入っていて、学校へ行かない時については完全にフルタイムで父親の手伝いをしているような形になります。ワイナリーを継ぐ、父を助けるために経営参画することに関してはあまり難しい決断ではありませんでした。なぜかというと、父はワインを造る前はお菓子屋さんで働いていました。そこから徐々にブドウの栽培やワインの醸造へ魅せられて、完全に仕事を変えてしまったのですが、お菓子屋さん自体はうまくいっていたのに、そこからいきなりやめてしまうといった決断をしたこと、また自然に魅せられていく父の姿を見てきたので、その姿がすごく素敵だなと思いました。僕的にも父が魅せられた世界を自分で体感できたらいいなと思いったわけで、それはもちろん、ブドウ栽培から始めり、そこから醸造、ボトリングに至るまでワインにまつわる360度ある世界を父と同じように見てみたいと思い、今に至ります。

Q2. 父・ダニエーレがワインを造ろう思ったきっかや決定打は何であると思いますか?(5:54~)

A2. 父が働いていたお菓子屋さんというのはお菓子屋さん兼バールのようなもので、他の親戚と共同経営をしていました。その権利を2004年に親戚に売却して、その年に僕の祖父が持っていた畑を管理して栽培を始めました。その時には既にアンジョリーノ マウレと知り合っていて、「いつか自分のワインを造ってやる!」といった目標を持っていました。父はお菓子屋さんで働いていた時からそうなのですが、一種の彼の性癖みたいなものなんですけれど、常に新しいものを作っていたいという性格で、そのお菓子屋さんでも定番のものをありましたが定番以外のも新しいものをすごく作りたがる人でした。

要するに、もっと面白いことができるんじゃないか、この組み合わせもありなんじゃないかといった風にお菓子屋さんの時でも色々試してきたのですが、結局父が求めていたものは別に人と違うことをやるということではなく、ある意味自分自身のアイデンティティをそのお菓子作りの中に探していたのではないかと考えています。それはワイン造りの中でも一緒で、2004年からブドウを栽培することから始まり2007年からは少量のブドウを自分で醸してナンニ2007を造ることからワイナリーが始まります。彼自身の自然観とか自然との対話の仕方、当然ブドウの付き合い方やそのブドウの醸し方、そういったものも2007年から今まで試行錯誤して来たと思いますが、それはお菓子を作る時も一緒で、ある部分自分自身のあり方や自分にとって理想のワイン造りみたいなものを探す旅みたいなものだったと思います。

ここ最近では、僕から見ても父はアイデンティティみたいなものをワイン造りの世界でもに見いだせてきたのではないかと何んとなく思います。お菓子作りにせよ、ワイン造りにせよ、本当の自分を探しに行くという部分あったこと、またアンジョリーノという師匠みたいな人を見つけたことでより、ワインへの情熱が加速してしまった、その二つが重なって、決定打みたいな感じになったのではないかと思います。

Q3. 経営参画したことで、今後どんなワインのラインナップにしていきたいと考えていますか?(11:58~)

A3. 父はある意味、100%自分の流儀みたいなものに従わせるというよりも、若い僕にも失敗する余地を持たせてくれるというか、実際にトライさせてくれる人です。やってみること、感じることでしか知りえないことがあるということで、2022年は収穫から醸造に関しては僕に比較的主導のような形で任せてくれました。

実際こうした機会が何かを学ぶのにすごく重要なことだと思っていますし、同時に自分のような若者が入ったことで当然ワイナリーでも会社でもそこにもたらされなければならないものは若さ溢れるエネルギーと若者なりのヴィジョンを持ち込むことだと思っています。

実際にどんなことをしているのかというと、ラベルのデザインやボトルの形を一新したことなどですかね。父が一人でやっていた時は他にやらなけれなならないことがあって後回しにしていたこともあるのですが、ひとつひとつ丁寧にするとか、今までは白ワイン2種と、2021年から造っているロゼワイン、赤ワイン3種が今のラインナップになってきいますが、今後は微発泡だったり、スパークリングのようなものにもトライしていきたいと思います。それを実現することでコッリ ベリチというイタリアのワイン生産地としては重要性がある場所にも関わらず、全くもって有名ではない場所をイタリアも含めた世界に広めるために自分たちの一路になれるのではないかと思います。

「ポルティナーリという名前のワイナリー=ナチュラルワインを造る造り手」であるという風に多くの人にあっさり思ってもらえるようになったらすごく嬉しいですし、ナチュラルワインの先にコッリ ベリチという土地を体現するワインを造る造り手であると、つまり「ポルティナーリ=ナチュラルワイン=コッリ ベリチ」という風に認識されるように僕たちは目指しています。それをより広く実現するためには父が一人でやっていた時に関しては生産本数も少なかったこともあるので、僕が入ることで生産本数が増えてより多くの人に飲んでもらう機会を持ってもらうことも大切ですし、ポルティナーリというワイナリーのラインナップの中でもある程度ワインの選択肢というかバラエティーみたいなものが準備できている状況も作ることも必要だと思います。世間で認知してもらうこうこと、愛されることに関してこうしたらいいのではなかろうかと色々考えることが、若くして参画した自分の仕事なのではないかと思います。

④まとめ

ワイナリーに本格的に参画し始めたのがここ最近だというのに、すごくはっきりとしたヴィジョンを持っていることにすごく驚きました。こうして、セミナーにジョヴァンニが来たということからもダニエーレが同じ造り手の立場から認めているということなのかなと思いました。(担当:嶋津)

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