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2017-07-06

【新入荷】2017年7月 その1

6月のイタリア出張も非常に実り多きものとなりました!新しい造り手との取引も決まりましたし、お宝ワイン企画もちらほら…。その一部は年内にはご報告できるでしょうし、残りは来年早々という事になるのでしょうか。楽しみにしていてくださいね!!
それでは7月の新入荷案内行きます!今月も盛りだくさんですよぉ!!

近年の研究により、ヴァルテッリーナがネッビオーロの生まれ故郷であることがほぼ科学的に証明されつつあるようです。カーゼ コリーニのロレンツォ コリーノ博士も、「ネッビオーロはアルプスの麓で生まれ育ったブドウ。ヴァルテッリーナ、ガッティナーラ、ゲンメ、カレーマなど古くからネッビオーロが栽培されている地域は、どこもアルプスの麓にあることからも明らか。ランゲ(バローロ、バルバレスコ)でのネッビオーロ栽培の歴史は、それらの地域よりも比べればかなり短い。気象条件的に制約の多い場所なだけに、ネッビオーロのようなより野生種に近い、タフで病気に対する耐性のある品種が選ばれたのだろう。」と言っています。

そんなネッビオーロの故郷、ヴァルテッリーナの良心とでも呼ぶべき造り手、アールペーペから新しいワインがいくつか届いています。まずはロッソ ディ ヴァルテッリーナ2014!本ご案内でも何度も触れているように2014年は、イタリア本土はほぼ全域に渡って太陽に恵まれず、雨も多い年でした。

ロッソ ディ ヴァルテッリーナというワインは通常でしたら、彼らが所有するサッセッラ&グルメッロの畑の中でも標高の比較的低い区画のブドウを使って造られます。標高が高い区画のブドウは、素晴らしい天候に恵まれ力のある果皮があると彼らが判断した年には樽&ビンでの熟成期間を長くとったリゼルヴァ クラスのワイン(サッセッラからはロッチェ ロッセ、ヴィーニャ レジーナ、グルメッロからはブオン コンシーリオ)を造り、逆に果皮にそれほどの力がなく長期熟成向きの年ではないと判断した際には樽&ビンでの熟成期間を短くし、サッセッラは全てステッラ レティカ、そしてグルメッロはロッカ デ ピーロという名前でワインをリリースさせます。

2014年は、ステッラ レティカとロッカ デ ピーロさえも造らず、そして当然のことながら別畑のインフェルノも単一で醸造することなく、全て区画の最良のブドウだけをセラーへと持ち込み、ロッソ ディ ヴァルテッリーナ1種類のみを生産することにします。通常でしたらば、ロッソに関しては短い皮ごとの醸し期間でソフトな抽出を心がけているのですが、2014年のブドウはあまりにも酒躯に欠けると判断し、2ヶ月以上に渡る醸しを行います。その結果、鼻と口での印象にギャップのあるユニークなワインが出来あがりました!タニックなのにザクザクいけちゃうワインです。

切らしておりましたグルメッロのリゼルヴァ、ブオン コンシーリオ2007とサッセッラとグルメッロのワインをブレンドしたペッティロッソ1999が再入荷しました!本当にざっくりではありますが、それぞれの特性はこんな感じだとオータは考えております。

果実香+果実味:ロッソ ディ ヴァルテッリーナ
果実味+軽やかさ:ロッカ デ ピーロ
果実味+深さ:ブオン コンシーリオ
果実香+果実味+深み:インフェルノ
ミネラル+軽やかさ:ステッラ レティカ
ミネラル+男性的+深さ:ロッチェ ロッセ
ミネラル+フィネス(女性的)+深さ:ヴィーニャ レジーナ
超完熟果実+フィネス:ウルティミ ラッジ
果実味+熟成香:ペッティロッソ

使用する酸化防止剤の量も減っているからなのか、年を追うごとに確実に飲み心地が増しているアールペーペのワインはもっともっと飲まれて良い気がしています!!!!皆さんも是非!!!!

奇しくもこういった組み合わせになりました、ヴィナイオータが取り扱うもう一つの断崖絶壁ワイン、チンクエテッレの希望の星、ハイディ ボナニーニポッサからも新しいワインが届きました!が、ヴィンテージが重なっていることもあり、今回ご紹介できるのはヴェルメンティーノで造るワイン、エル ジャンク2015だけ…(涙)。

余談になりますが、今回訪問した時にハイディが最近取引を始めたアメリカのインポーターの話をしてくれました。ハイディが取引するイタリア国内のディストリビューターのウェッブサイトを見て連絡してきたのではないかとハイディ。可能なら取引を始めさせてもらいたいから、プライスリストを送ってほしいとのメールがあったそうで、アメリカとの取引もないしという事で送ったところ、価格が高すぎるから割引してほしいという要望メールが。怒る気にもならなかったハイディ、「ちなみにあなたはチンクエテッレに来たことありますか?一度でも見ていただけたのなら、価格には納得してもらえると思いますよ。なので、この価格じゃ無理というなら、取引自体難しいですね。」と答えたところ、少量だけど買ってくれたそう。それから数か月後、そのインポーターは初めてチンクエテッレを訪れ、畑を自分の目で見て歩いた後でハイディに、「最初に割引をお願いしてしまったこと、本当に申し訳ないと今は思っているよ。畑を見て、ここでの仕事ぶりを想像すれば、あの価格でさえ安いと思えるようになったよ。」と言ったそうです。

コストパフォーマンスという言葉は、品質の割に価格が安いと思った際に使われている気がしますが、ヴァルテッリーナやチンクエテッレのように圧倒的に人件費がかかることが自明な場所で生まれたプロダクトに対しては、品質+ロマン+造り手の誇り+…がその価格に見合わないかで判断されるべきなのかと…。

シャッケトラ09:陰干ししたブドウで造られるパッシート。干してる最中に出てしまった腐敗果を取り除くために粒選りの完全手除梗(網さえも使いません)します。
ラ リナシタ10:ボナミーコ&カナイオーロの陰干しブドウで造る赤のパッシート。

陰干ししたブドウで造られるシャッケトラなどは、干している間に一部のブドウ粒は下に落ちてしまいますし、房に残ったものでも、全てがきちんと干しぶどう化しているわけではなく、腐敗果もあったりします。その腐敗果を一切混ぜないために一粒一粒手作業で選り分けているそうで、生産本数的に約1000本(375ml)用のブドウを選別するだけでも、一家総出でも2-3日かかってしまうそう。歩留まりも悪いうえに、干されて重量も少なくなりますし、作業的にも普通のスティルワインよりもひと手間もふた手間もかかるわけですから、価格的にも高くなってしまうのは当然の事。加えて、ハイディのような状況で農作業をする限り、広大な面積を栽培できるはずもなく、その結果生産量はごくごく限られたものに。ですが、生産本数が1万本程度の造り手(ハイディなど)と10万本(ラ ビアンカーラなど)の造り手が、一家族として生きていくために必要なコストに違いがあるはずはないので、生産本数の少ない造り手であればあるほど1本あたりに乗せる利益を高く設定しないわけにはいかないわけです。ラ ビアンカーラのアンジョリーノも、「レチョートだけで考えるのなら、うちが設定している価格だとコスト的には大赤字なんだよ。でも、レチョートってこの地域の伝統でもあるわけだし、伝統を絶やさないためには造り続ける必要もあるだろ?幸い、サッサイアやマシエリなどある程度の生産本数が見込めるワインがうちにはあるから、こういう値段で出せているだけで、本当なら倍くらいの値段をつけないと割に合わないくらいなんだ。」との事。

また、一部きらしていましたリキュールも再入荷しています!

リモンチーノ:ブドウと一緒に植えられているレモンの皮を浸漬し作ったリキュールです。一般的なリモンチェッロのように白濁しておらず、甘さも控え目です。
アランチーノ:オレンジの皮で作ったリキュール
マンダリーノ:マンダリンの皮で作ったリキュール
ミルト:ミルト(銀梅花 マートル)の実と葉を浸漬し作ったリキュール

こちらも是非!!

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