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2019-01-21

【新入荷】2019年1月 その2(AR.PE.PE.、Francesco Brezza、De Bartoli)


なかなか状況が整わず、通関後も港の倉庫で1年近く休ませることになってしまった、ヴァルテッリーナの良心、アールペーペの新ワイン&グラッパをようやく引き取ってきました!

長らく欠品しておりました、彼らが所有するサッセッラとグルメッロの標高の低い区画のブドウ(=本来ならサッセッラないしグルメッロを名乗れるブドウを格下げして…)と信用のおける農家から買い付けたブドウで造られる、ロッソ ディ ヴァルテッリーナの2015ヴィンテージが大量入荷です。100日間のマセレーション、9か月間樽ないしセメントタンクで熟成させた後にボトリングしたワインになります。

今現在1999ヴィンテージを販売させていただいているペッティロッソというワインの来歴に関して何も書いたことがない事に今更気が付いちゃいました(スミマセン!)ので、ご紹介させていただきますね。

ペッティロッソはヨーロッパコマドリを意味し、ヴァルテッリーナではブドウ畑に巣を作ることもある可愛らしい鳥。1999年のとある日、セラーに迷い込んだコマドリが、アカシア製の樽の上にとまったそう。まるでイザベッラ達に何かを告げるかのように…。その数日後にその樽の下の方からワインが漏れていることにイザベッラは気が付きます。本来だったらサッセッラ ロッチェ ロッセ1997になるはずだったワインで、もう2年樽で熟成させる予定だったのですが、目減りし続ける可能性があるものをそのまま放置するわけにもいかない…。どうしようか考えあぐねながら、その樽のワインを試飲してみたところ、思いのほか味わい的にまとまっている…。その1樽分だけをボトリングし、新しいワインとしてリリースさせるのもいかがなものかと考えたイザベッラ&エマヌエーレは、1997年ヴィンテージの全ての樽のワインを改めて試飲し、ボトリングしても良さげなものを選び(その中にはグルメッロ ブオン コンシーリオになるものも…)、それらをブレンドしてボトリングすることに…これがペッティロッソというワインの誕生秘話になります。

1999年はイザベッラ&エマヌエーレのお父さんアルトゥーロが他界した年でもあり、お父さんに捧げるワインをということで、1997ヴィンテージと同様の手法で造られます。

以降、この名前でワインをボトリングすることがなかったのですが、より早飲みタイプのヴァルテッリーナDOCGというコンセプトで、早い段階で味わいの整った樽のサッセッラ、グルメッロ、インフェルノをブレンドし、ボトリングすることにしたのが、今回入荷のペッティロッソ2015になります。軽快ですが、全然単純ではないワインです。

取引を始めた当初から傑出したワインを世に出していたアールペーペですが、年を追うごとにフィネスも焦点の合い方も凄まじいことになっている気がします。今現行としてお出ししているワインももちろん素晴らしいのですが、次のヴィンテージのワインを早く皆さんに味わっていただきたい…。そのためには、皆さんの清き1杯、清き1本で、現行ヴィンテージをなくしていただく必要があります!ご協力よろしくお願いします!!

あ、彼らのヴィナッチャを使用したグラッパも届いております!ソンドリオの街なかにあるインヴィッティという蒸留所で生産されたものになります。こちらも是非!!


この農園に住むヒト、犬、ネコ、牛ちゃんたちの穏やかな事といったら…彼らの事を訪ねる度に、スピード、多すぎる情報、それ(情報)に踊らされるようにして生まれる数々の欲、煩悩が行き交う事で社会はストレスフルなものになるのだなぁと思い知らされます。自分たちを生かしてくれているあらゆるヒト、モノに対する感謝の念を忘れず、現状に満足し、多くを望まず、労を惜しまず、誠実に皆が生きて行けたのなら、ぎすぎすした感じにはならないのかなぁと…。

ビオディナミというと、月の満ち欠け、501調剤、牛の角になんちゃらを詰めて~ですとか、オカルトチックとも思われかねない部分ばかり取りざたされることが多い気がするのですが、「農園は、国のごとくあるべし。(=いち農園の中で完結する循環型の農業を実践すべき)」というのが、シュタイナー論の根幹を成す理念なのだとオータは思っております。

そういった意味では、シュタイナー論の正当な継承者の1人にして、イタリアで一番最初にビオディナミ認証を受けた造り手、フランチェスコ ブレッツァの2017年産のワインが届きましたぁ!

ポルティナーリ同様に、ギラギラした造り手が多い(笑)ヴィナイオータのラインナップの中では非常に地味な存在ですが、最近なにげにサクサクと売れるよう(=飲まれるよう)になってオータは嬉しいです!

今回オンリストさせていただくワインは以下の通りとなります。

●ブレッツォリーナ2017:ヴェルメンティーノで造る白。ブレッツァ家と日本でしか飲めません!540本入荷。

●バルベーラ デル モンフェッラート2017:樹齢の若い区画のバルベーラ。

●グリニョリーノ2017:可愛らしい香りとは裏腹にボリューミーなタンニンを持ち合わせるグリニョリーノというブドウ品種の特性を活かすべく、マセレーションを短期間にとどめたワイン。

●ヴィーノ ロッソ(2017):バルベーラ デル モンフェッラートに使用されているものよりもより樹齢の若い区画のバルベーラと、バルベーラ、グリニョリーノ、フレイザのプレスしたワイン(つまり、ブドウ名でリリースされるワインには、フリーランのワインしか使用されていません!)で造られるワイン。まだ2016ヴィンテージの10リットル入りバッグインボックスの在庫がございますので、3リットル入りのものだけをリリースさせていただきます。

フレイザ2016とバルベーラ スーペリオーレ2015も是非!


オータ認定、ワイン世界遺産なデ バルトリからは、欠品していた非酸化熟成ワインの新ヴィンテージとウルトラスペシャルなワインが届いています。それにしても、非酸化熟成ワインとは我ながらややこしい言い方ですね…。当初、“スタンダードライン”と書こうかと思ったのですが、デ バルトリにとってのスタンダード(王道、本道、伝統的)は、あくまでもヴェッキオ サンペーリやマルサーラなどの酸化的熟成を施したワインなのだと思うに至りこんな表現になってしまいました。こちらの詳細はリスト部分をご参照いただくとして、ここではウルトラスペシャルなワイン、ヴェッキオ サンペーリ クアランテンナーレのご紹介だけさせていただきます。

以下デ バルトリのウェブサイト上に掲載されているインフォの訳文となります。

このヴェッキオ サンペーリのスペシャル リゼルヴァは、マルコ デ バルトリがマルサーラワイン(酒精強化ワイン)の原型である、マルサーラ周辺で伝統的に造られてきたワイン‐地域的にはストラヴェッキオと呼ばれる、ソレラ方式によって造られるワイン‐を、一家が2世紀以上前から所有していたサンペーリにある邸宅で復活させることを決意した1978年に、熟成という名の旅に出たワインである。

(1978年当時に)すでに邸宅にあった樽と熟成したワインを利用し、マルコはそのワインに毎年自らが醸造した過熟させたグリッロで造るワインを足していった。この手法によって(酒精強化に頼ることなく)、偉大な(=高い)アルコール度数のワインを生み出していく。

年を経て、自身がブドウを栽培、ワインを醸造し、そのワインがある程度の熟成度に達した段階で、完全な形でのソレラ方式を復活させ、リゼルヴァを造り始める。

ワイナリー創立40年を記念すべく、平均熟成年数40年のマルコが最初に手掛けたリゼルヴァ(前述の1978年当時にはすでに邸宅にあった樽のワイン…)をボトリングすることにした。

(40年という長い熟成が施されたワインであるにもかかわらず、)若々しいまでのかぐわしさをたたえ、これまでにリリースされてきた様々なエディションのヴェッキオサンペーリ同様に見紛いようのない(飲み紛いようのない?)唯一無二な酸化的ニュアンスを持ったワインであり、アルコール度数は(酒精強化をせずとも)18%近くにまで達している。

(我々のテリトリーの特徴である、)灼熱の石灰質土壌の持つ偉大な力と、その力を信じ地域の伝統を守る事を自らの使命としたマルコの人間性さえも大いに表現したワインとなっている。

本ワインのラベルは、マルコの親友であり、1980年に初リリースされたヴェッキオ サンペーリのラベルを手掛けたアーティストでもあるカルロ ラウリチェッラ教授が1983年に書いた作品を元に作成されている。

文:太田久人
198 212 215 nuovo19.01.21

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