ヴィナイオータかわら版 ~小竹編 その五(勝手に退職のご挨拶の巻)~
こんにちは。
だだ商店だだ食堂勤務の三月生まれ早生まれ(!)の小竹です。日頃よりヴィナイオータとだだ商店だだ食堂の御愛顧、誠にありがとうございます。だだの敷地の植物にも年末に一斉に手が入りまして、店舗周辺の空が広がったような特に冬晴れの日は清々しく通退勤する日々で、食材や景色で旬を感じることができる環境に常にある有り難みを日々感じています。
今回ご紹介いたしますのは、2024年より新規取引となりましたカンパーニア州のファビオ デ ボーモンの醸すリキュール、「ドン ファ」です。2024年12月には取引開始後初めてのオッティマーナ参加で日本へ来てくれたファビオと妻ズーピですが、自分がファビオに初めてあった場所は、2024年4月のイタリア研修の際のラ ビアンカーラのアンジョリーノ主催のテイスティングサロン会場でした。当時は取引がなかったわけですが、ヴィナイオータのインスタグラムに「もし、会場でお時間があればお話ができたら嬉しい」旨のDMがあり、内心「営業すごいな!事前にこんな連絡が来ることもあるんかい」と驚いていたのを覚えています。テイスティング会場には入っていたものの代表オータはオータでありとあらゆる造り手のところへ挨拶回り・再会で大忙し…。会場内別行動をさせて貰っていた自分は何度かファビオの前を通って話しては、後できっと(絶対)連れてくるからネ、という無限のやり取り。閉幕前のラスト数分でようやく対面…。そこから時間も放っておいてオータとファビオのキャッチボールが始まり。別れ際にはまた取引先として会えるかなどうかなドキドキだねと挨拶をしたのですが、まさか現実になるとは!
二回目に会うことができたのがオッティマーナ東京会場の当日の朝、僕が彼を見つけるや否や本当に会えた!!!と駆け寄るとファビオも本当に嬉しいよ!と。自分の中で一つの始まりの瞬間に改めて立ち会えたという実感を得ることができました。ファビオ夫婦の若いエネルギー・愛嬌は行く先々で人を惹きつけ、大きな輪がブース周辺に生まれました。そんな自分の中でも一際思い入れの強くなったニューファミリー、ファビオ デ ボーモンからご紹介するリキュールが「ドン ファ」ワインに桜の葉を漬け込んだリキュールです。
<ファビオ デ ボーモン について>
カンパーニア州アヴェッリーノ県にあるカステルヴェテレ スル カローレは、1600年頃に時の王から拝領されたこの土地に屋敷を建てその周りに他の家々が建つようになり、徐々に町になっていきました。ボーモン家は貴族の出身で、その土地の領主でした。2014年、ローマで法律を学んでいたファビオは彼を含む一家の全員が都市部のローマやアヴェッリーノに住み、彼らのルーツであるカステルヴェテレの屋敷や土地をないがしろにしてしまっている現状を憂い、その土地や伝統にもう一度 光を当てることを決意し、家に伝わる秘伝のレシピから造る野生の桜の葉を浸して風味付けするリキュールを販売することにして2017年からは地元へ戻ってきて畑とセラーの仕事を行っています。
ボーモン家の伝統リキュール「ドン ファ」は、10月から11月にかけて収穫されたアリア―ニコをステンレスタンクにて発酵と熟成。翌年の7月に桜の葉を採取してその赤ワインに漬け込みます、その後熟成期間を経て少しのアルコールと砂糖を加えてボトリングされるリキュールです。前述の通り桜の葉を使用していることから、和菓子などで親しみのある我々日本人にとってはとても懐かしいようなホッとするような風味になっています。パウンドケーキの香り付けやクッキー・ジェラートなどのドルチェにも、カクテルドリンクの隠し味にも、もちろんそのまま食後の時間にも大仕事をしてくれるお酒で間違いありません。まずは一本お手に取って、開けてみてイメージを膨らませながら思い思いの飲み方使い方で、お試しいただければ嬉しいです。開けてからも長く通年触れ合える、他の食後酒とも換えの効かないタイプの一つだと思います。冬から次第に暖かくなって草木が芽吹いていくこの季節、ご家庭に一本大切な人のお渡し物に一本。桜の香り纏うリキュールを我々日本人ならではの感性と楽しみ方で各地の皆様と共有できれば嬉しいです。
そして最後に、私事ですが2025年3月末でヴィナイオータを退職することとなりました。直接ご報告とご挨拶ができていない皆様、このような形でのお知らせとなってしまい、大変申し訳ございません。
ワインのことをほぼ全く知らない自分が、2019年の暮れから現だだ商店だだ食堂のオープンに向けた準備で手伝い関わり始めた大好きな地元つくばの”大”会社、泣く子も黙る「ヴィナイオータ」…。それからの20代後半の時間は、ちょうど某感染症とナチュラルワインの(敢て言う)大流行の波と影響に飲まれて本当にあっという間に過ぎて行きました。常に少しずつ変化する現代社会、食と言う視点からその社会に常に一石を投じる組織の中にいて、未来に向けて大事にすべきこと・本質は何か何処か、この先どうありたいか・自分自身は何ができるのか、考えて出来ることを実践してきたつもりの日々です。今後は食にまつわることを中心に置きつつ、それだけではなく様々な生立ち・立場に置かれる人・趣味嗜好の異なる人と、どう分かり合いたいか関わりたいか。というもう少しボンヤリとした、曖昧なことを自分なりにじっくり考えられればと思っています。ヴィナイオータで学んだ思考スタイルを軸にして、よりフットワーク軽くさまざまなことを吸収し、それを周りの環境へ少しずつ還元できたらいいなと思っています。
改めまして、ヴィナイオータ/だだ商店だだ食堂を通してお会いすることが出来た先輩方・同世代の仲間たち、そして飲食店・同業者・お客様はじめ全ての皆様に感謝申し上げます。そしてそして今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
【かわら版 小竹の飲んでもらいたいワイン!!】
銘柄:Don Fa’ / ドン ファ
造り手:Fabio de Beaumont / ファビオ デ ボーモン
地域:イタリア カンパーニア
希望小売価格 (税抜) :4,800円