造り手紹介 ヴォドピーヴェッツ その3(2014.10筆)
先を急がなければいけないのですが、何かを込めずにはいられないオータです(笑)。
今回はちゃんとパオロのワインの話、書きます!!
バックヴィンテージワインがが出てくることになった、パオロ側の事情を07&08&09ワインのお話しとともにさせていただきます。
2007年はいろいろな意味で特殊な年でした。正確に言うと、その特殊さは06から始まっていて、1年を通してとても暑く、秋も冬も存在しないかのような年でした。パオロ曰く、霜が1回も降りなかったそうで、過去に同様の経験をしたことがないそう。その結果、ブドウ樹の活動も3週間くらい早まって始まります。そして7月の初めに雹が降り甚大な被害を受けます。パオロと弟のヴァルテルとで、全てのブドウの房をチェックし、雹の当たったブドウを一粒一粒(!!)取り除き始め、全ての区画の掃除が終わったのが8月10日ごろ、その時にはシーズン当初のマージンのまま、ブドウの成熟具合もかなり進んでいて、例年より3週間ほど早い状態でした。すると、8月下旬に雹がまたしても降ってきまして…この時点で、ブドウは完熟していたので、ブドウの掃除をしながら、健全なブドウだけを収穫することにします。例年の半分以下の収量でしたので、全量をアンフォラで仕込むことにします。生産本数で6000本。加えて2008年は、その1に書いたように全量を廃棄処分に…。
07が例年の半分以下の生産量で、08はゼロ。そして09を例年よりも若干遅いタイミングでリリースすることになってしまったので、結果2年以上もの間を07の売り上げだけで生活しなければいけなかったのかと。それではどうにもならなかったから、バックヴィンテージのオファーを僕に持ちかけてきて、個人分も切り売りする必要に迫られた…この3年間のパオロ側の事情はこんなところだったのではないでしょうか。
諦めずに、常に真剣にやっていたら、いいことがあるのも世の常。09のワイン3種がまさにそれにあたると思います。これだけは断言させていただきますが、傑作です!!近年のパオロが思い描いているワイン像が、天から賜ったすんばらしい絵具(09のブドウ)の力も借りて、強烈な色彩と共に具現化したような作品です。今までクラッシカという名前でリリースされていたワインは、オリージネ(起源、発端、始まりの意)という名前に、一方アンフォラで仕込んだヴィトフスカは、シンプルにヴィトフスカと呼ぶことになりまして、ラベルもエッセンシャルなものを愛するパオロらしいミニマリズム的なものとなりました。
パオロが所有する区画の中の1つに、15-20cmの薄い表土の下が思いっきりTheカルソとでもいうべき、石灰岩の岩盤だったところを削岩機のようなもので砕き、表土を戻して畑とした狂気の沙汰ともいえる区画があります。2006年だったでしょうか、04のその区画のワインを飲んだ僕とフランク コーネリッセンは、そのあまりの深い味わいに悶絶、結局パオロは他の区画のワインとブレンドせずにボトリングをし、ソーロという名前でリリースします。単一畑という事でソーロ(唯一の)であり、ボトリングを行った2007年に弟ヴァルテルがワイナリーから抜け、パオロ一人になったという事でソーロ(ひとりの、孤立した、孤独な…)…。05以降、造られることのなかったこのソーロ、09でようやく復活です!!!
自分のワインにも人のワインにも厳しい、レ ボンチエのジョヴァンナが、去年こんなことを言ってました。
「(ヴェローナでのサロンの期間中)1日かけてソーロ09を飲んでいたんだけど、もう完璧としか言えないワインで…。同じワインの造り手として、ああいったワインをこんな短期間で具現化するために、パオロがしてきたであろう気の遠くなるような数の挑戦、失敗、努力、観察すること、考える事、思い悩みを想像したら、ちょっと泣けてきちゃったわ。だけど彼、あの若さであんなとこにまで辿り着いちゃって、これからどこに行きたいのかしら??ちょっと空恐ろしいくらいよ。」このソーロ、生産量の約半分(1700本!)を買ったのですが、値段的にも決して安くないワインにもかかわらず、入荷とほぼ同時に売り切れてしまいました!!!!お持ちの方、今飲んでももちろん美味しいですが、是非何本かを5〜10年くらい寝かせてみてください。世界があなたのワインセラーに嫉妬する事でしょう!!(笑)09は3種類のワインを合わせると15000本の生産量で、現時点でも4500本ほど買ってはいますが、ヴィナイオータは現地在庫(オリージネがあるようです)が無くなるまで買い続けますよぉ!!!
来年日本に入荷するであろう2010年ですが、ヴィトフスカ(アンフォラ)のみの生産で、13000本。造り手の畑&セラーでのリスクの冒し方とシンクロさせた買い方(笑)を目標とするヴィナイオータとしましては、半分くらいは行っちゃいたいと考えております!!!間違いなく、3種類のワインを2000本ずつ売る事よりも遥かに難しいミッションだと思いますが、皆さんにもご協力いただいてなんとか実現させ、パオロに、少なくとも日本では正当な評価を受けていると思わせてあげたいです!!
今回のオッティマーナでは、07と09のワインを出す予定です!!!
う〜ん、やっぱりまとまりのない文章になっちゃいましたね(苦笑)。
ニューラベル!左からオリージネ、ヴィトフスカ(アンフォラ)、ソーロ(アンフォラ)
【新入荷】2022年12月その1(Mlecnik,Vodopivec,Trinchero,Casa Coste Piane,Borgatta) 造り手紹介 Vodopivec / ヴォドピーヴェッツ 【新入荷】2021年3月その3&4月その1(Vodopivec, Ezio Cerruti, Il Moralizzatore, De Fermo, La Calabretta, Brezza, Il Vei) 【新入荷】2020年12月その1 (Vodopivec, Davide Spillare, Gravner, Fonterenza, Santa Maria, De Fermo, Natalino del Prete, Stefano Berti, Pierpaolo Pecorari, De Bartoli) 【新入荷】2019年12月その3(Vodopivec、Sanguineto、Possa、Maison Vevey Albert、Ezio Cerruti、Bressan、Podere Le Boncie、L’Acino)