造り手紹介2017 37 ラディコン

Živjo(ジーヴィオ)!!!
というわけで、最後はラディコンです!

ジーヴィオは、スロヴェニア語で“やあ!”とか“よう!”を意味する軽い挨拶言葉なのですが、故スタンコ ラディコンを象徴するスローガン的な言葉でもあったりします。
そのただの挨拶言葉であるジーヴィオの意味を勝手に派生させて、スタンコは“乾杯!”的な意味で使っていました。
あの良く通る大きな声で“ジーヴィオ!”って言うだけで、場が滅茶苦茶盛り上がりましたっけ…。
前回のオッティマーナには参加してくれましたが、今回は天国からの観戦…という事になりまして、奥さんスザーナが来日します。
そこで皆さんに1つお願いがあります。皆さんがオッティマーナ会場でラディコン ブースに行かれた際なのですが、スタンコの死に対する哀悼の意みたいなものをスザーナにあまり表明しないでいて欲しいのです。
日本での飲まれぶりを見れば、どれだけスタンコが愛されていたのかはまさに一目瞭然だと思いますし、皆さんが各々示す哀悼の意は一回かもしれませんが、彼女が受け取る哀悼の意は何十にもなるかもしれないのです。
それって彼女的にはなかなかにキツイ状況なのかと…。
というわけで、ラディコンワインを注いでもらって、元気良く“ジーヴィオ!”と言ってスザーナと乾杯してもらうのが、一番素敵な哀悼の意の表明方法な気がしています。
彼の死後、初めてフリウリに行った際、スタンコのお墓の前でどう振る舞えばいいのかということをずっと考えながら機中を過ごしたのですが、妙案を思いつきまして、ラディコン家に着くなり、
「ねえスザーナ、考えたんだけど、ワイン持ってお墓にスタンコ訪ねようよ。で、みんなで一緒に飲もう!だって、ワインの中にはスタンコの魂…つまりスタンコ自身がいるんだよ?スタンコもそろそろ現世のワイン飲みたくなっているかもしれないし(笑)。」と提案したところ、お墓でワインだなんてって他の人たちに変人扱いされるかも…などとごねていたのですが結局僕の提案を聞き入れてくれ、“時間を超越した”という意味を持つワイン、フオーリ ダル テンポの2001年をお墓で飲みました。

死後3か月は経っていたのですが、当然のことながらスザーナの傷は全く癒えておらず、
「スタンコなしでこれからどうやって生きてけっていうのよ…」と墓前でスザーナ。
「でもさスザーナ、スザーナがずっと悲しんでいたら、天国のスタンコも悲しくなっちゃうんじゃないのかな。俺は、スタンコはスザーナにこれからの人生を笑って謳歌してもらいたいと思っていると思う。だって、あんなに人のことを楽しませるのが好きな人だったんだよ??で、会いたければワイン開ければいいんだよ。変なこと言うかもしれないけど、自分の魂も、彼と俺たちの間の思い出も記憶も何もかもを生きた状態で詰め込めているワインっていうマジカルな液体を遺せていること自体、スタンコ的には造り手冥利に尽きるんじゃないのかな。だって、開けるたびに思い出してもらえるんだよ? ヒトの記憶に残る仕事を成し遂げて世を去れるって結構凄い事だと思うんだよ。」

皆さん、声高らかにジーヴィオ!!!でよろしくお願いします!!!

ではでは皆さん、会場でお会いしましょう!!!!

(ラディコンについてさらに詳しくはこちらもご覧ください!)

造り手紹介 ラディコン その1(2012.3筆)

造り手紹介 ラディコン その2(2012.3筆)

造り手紹介 ラディコン その3(2015.1筆) 

目次
閉じる