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2023-05-19

ヴィナイオッティマーナ2022【造り手セミナー】 ブレッサン

①セミナー動画 (質問コーナー|07:43~)

ヴィナイオッティマーナ2022 P2 DAY1に行われたセミナーの様子です。ブレッサンは、フリウリ ヴェネツィア ジューリア州のファッラ・ディソンゾで 1700年代から200年以上 代々続くブドウ栽培醸造一家で、現当主のフルヴィオで9代目になります。
今回来日してくれたのは、前回のヴィナイオッティマーナにも参加してくれました 9代目当主のフルヴィオ、今回初来日となります奥様のイエレーナと 21歳になった一人息子のエマヌエーレの3人です。

②造り手紹介 (03:20~)

ブレッサンの造り手紹介、詳しくはこちらから。

③造り手への質問と回答

Q1. ウェブサイトにはブレッサンのブドウのジャムが載っていますが、ジャムはもう造っていないのですか?(08:00~)

A1. 以前は樽熟の期間が今よりも短く、少し時間もあったのでジャムも造っていましたが、今は造っていません。今はいくつかのワインに関して樽熟の期間をどんどん長くしていることもあり、それに伴って瞬間瞬間の仕事が増え、ジャムを造る時間が持てなくなりました。
ブドウでジャムを造ることは自分たちの伝統の一つで、茹で肉に合わせたり熟成のしっかりしたチーズに合わせたりして食べるのが伝統的な食べ方です。
(以前、カナダのインポーターがジャムを気に入って10万個欲しいと言われたことがあったんだけど、10万個もジャムを造ったらワイン造る分が無くなっちまうよな!笑)

Q2. 9世代に渡って代々続くワイナリーということですが、ずっと同じ造り方同じ味わいを守っていく考えなのか、それとも、伝統的なキュヴェについてもその時その時で味わいや造り方を変えていくものなのか?(12:00~)

A2. 9世代に渡ってこうして続けて来られたことは、それぞれの先祖が優秀であったためで、自分はとても幸運です。
変えたことがあるとすれば、自分の代になってすぐにお祖父さんが植えたブドウを半分位抜いてしまいました。お祖父さんはシャルドネやソーヴィニョンのような国際品種を植えていましたが、自分は伝統品種にこそ意味があると思っているので、父親を説得して抜かせてもらいました。
今後新しく行おうと考えていることとして、レフォスコの中でも房が小さく留まる品種を植えようと考えています。レフォスコは我々の土地の歴史を体現するもう一つの赤の品種なので、ブレッサンがレフォスコでワインを造ったらどうなるのかを世に放ちたいと思っています。
更に、もっともっと樽を買い足して、樽熟の期間を全体的に長くしていきたいです。その為にはスペースが必要なのでセラーの増改築をして行かなければなりません。
伝統は少しずつ形の変わっていくものであり、自分なりに伝統を表現することをやり続けることが伝統を守ることになると考えています。

Q3. 外来品種を入れることには抵抗や葛藤はありますか?(22:29~)

A3. 例えばエゴの区画は、カベルネフランとスキオッペッティーノがまぜこぜに植えられているため、抜くことが難しく、カベルネソーヴィニヨンについても、とある区画のど真ん中にあったりして、そこだけ抜くことが難しいのです。その様な理由から、今も国際品種の栽培は続けています。

Q4. ブレッサンのワインには薬草のような香木のような独特の香りがします。これはどこから来るものなのか?日本人として畳や薬草のような東洋的な印象を受けるのですが、イタリア人はどのように感じていますか?(25:39~)

A4. 我々のワインはまさにあなたのおっしゃる通りの香りがします。それには2つの要因があると考えます。
1つは、スキオッペッティーノの持つ香味成分です。友人の研究機関で調べてもらい、スキオッペッティーノにはスパイシーな香味成分があることが科学的にも証明されています。
もう1つが土壌です。鉄分の多い土壌はブドウの香味成分を増幅させるのです。
土着品種が土着品種になったことには理由があります。(以前、ある人物がスキオッペッティーノをナパバレーのブドウ畑に植えたが、全く育たなかったとのこと。)
更に、収穫のタイミングも影響しています。ブレッサンの収穫のタイミングは他の造り手と大きく違い、ブドウが完全に熟すところまで待ちます。ブドウを熟させるのは太陽(=光)であり、光を受ける時間が長ければ長いほど良いのです。
例えば、圧力鍋で作るミネストローネと弱火でじっくり火を通したミネストローネの味は同じではありません。
なんで現代の人はそんなに生き急いでいるのでしょうか?急げば急ぐほど考える時間を失ってしまいます。それが現代社会の最大の問題だと思っています。ワインの醸造でも同じことが言えます。
(イエレーナより)フリウリは日本同様に地震の多い土地で、長い歴史の中で地面が動いて来たので、ミクロテロワールと言われるように小さな区画ごとにブドウの植生も異なります。
ブレッサンでは1本の樹から収穫するブドウの量も少なく、凝縮したブドウとなります。
赤ワインは非常に長い熟成期間を取りますが、樽熟成の間、1年で2~3%蒸散することもあり、凝縮し、香りが強くなります。長い熟成期間を経ることで、分かりやすいフルーツの香りよりもブドウが元々持っていた凝縮した香りが出てくるのです。

④まとめ

個性強めのフリウリ軍団の中にあって、まだちょっと影を潜めている感のあるブレッサンですが、彼らの唯一無二の個性に出会い、衝撃を受け感動してくれる人が確実に増えていると、このところ実感しています。
ブレッサンのワインから、彼らの覚悟・情熱・誇りを感じて欲しいと、強く願います。(担当:佐藤)

おまけ

●セミナーとは別で、イエレーナにエマヌエーレについて聞いてみました●
エマヌエーレは現在大学生で、ゆくゆくはブレッサンのワイナリーを継ぐ予定ではありますが、大学卒業後すぐにブレッサンで働くということではなく、海外に行って知見を広めて欲しいとイエレーナは話していました。フランスやヨーロッパの他の国で経験を積み、色んなものを学んでからブレッサンに戻ってくれればとのこと。
フルヴィオもそうですが、海外に出ることで視野を広げ、世界を相手にブレッサンのワイン、彼らの想いを伝えていくという強い意志を感じました。

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