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2023-07-11

【新入荷】2023年6月その1(Barranco Oscuro,Bodega Cauzon,Stefano Legnani,Il Cancelliere,Possa,Il Cavallino,Arianna Occhipinti)

メルマガであれ片付けであれ、大概の仕事はおしりに火が付くギリギリのタイミングまで着手しない事が多いのですが、いざやる時となったらそりゃもう徹底的に!がモットーのオータです。週末に、事務所の開かず(空かず?)の棚に眠っていた、輸入関係の書類の処分をしました。捨てる事ができずにいたら、25年もの月日が流れてしまいました…。創業してから今現在までのちょうど半分に当たる、1998年から2010年くらいまでのものを片付けたのですが、造り手からのファックス(!!)や、5年前に他界した父が手伝ってくれていた当時の痕跡を感じる書類、そして大して売れてもいないのに無謀な買い付けをしていた頃のインヴォイスがあったり…(買い方だけは今でも十分無謀ですが…)。そんないろいろな思い出や、「思えば遠くに来たもんだ」的な隔世の感に浸りつつ作業に当たっていたら、結局丸一日が潰れてしまいました…。皆さんも、書類の整理はこまめにやるようにしましょうね(笑)。

ではでは6月の新入荷案内です!なんとなんと、スペインの造り手とも取引を始めちゃいましたぁ!それでは行きます!!

 

世界遺産の半分があの小さな国土の中にあるといわれているイタリア。行ってみたい街や史跡も沢山ありますし、25年の間にもかなりの頻度で訪伊もしていますが、いざ(イタリアに)行ったとなると、長らく訪問できていない造り手が常に誰かしらいるため、とてもとても観光どころではない…。でももし少しだけ時間があったら、(イタリアに限らず)どこに行ってみたいかと聞かれて真っ先に出てくるのは、カナリア諸島(スペイン)はランサローテ島のブドウ畑や、カンパーニア州のアスプリーニオ ディ アヴェルサDOCのゾーンの伝統的整枝方法アルベラータ アヴェルサーナを採用した畑など、結局のところワインに関わる場所ばかり…(笑)。(←どちらも凄いので、ネットで検索してみてください!)ポンペイ遺跡に行けるのは、世界のえげつないブドウ畑を一通り見た後になりそうです…。

ともあれ、そのようなエクストリームな畑には、なぜその場所、そしてなぜその栽培方法、そしてそしてそもそもなぜブドウなのかなど、歴史に裏打ちされた様々な意味や意義、そしてそうである必然性などが詰まっているはずで、オータは現地に行ってみることで、実際にそれらを肌で感じてみたいのかと…。

去年9月の収穫時期にサルデーニャ島のパーネヴィーノを訪問した際、「今年は、カンノナウには一切なんも(農薬を)撒いていないんだよ。そもそも雨も全く降らないから、防除の必要性さえなくて…。」とジャンフランコ。彼の場合、農薬と言っても使用するのは粉末状の硫黄だけで、使ったところでせいぜい年2~3回程度なのですが、それさえも散布せずとも、そりゃもう美しいブドウが生っている様を目撃するのは、果樹の生育時期に雨に事欠かない日本に住むオータにとってはまさに衝撃なわけです。ヒトがさほど介入しなくても、健全なブドウができてしまう…これってエクストリームに凄いことだと思うのです。

スペインには、そのような不干渉主義的なアプローチによるブドウ栽培が可能な土地が各所にあるのだろうという予感はありました。そんな中、弊社にボーカの造り手コンティを紹介してくれた人が「ヒサト絶対この造り手好きでしょ?今、日本のインポーターいないんだって。」と紹介してくれたのが、今回のバランコ オスクーロでした。実は、このバランコ オスクーロとは10年位前にビアンカーラのアンジョリーノが主宰を務めるサロンでステーファノ レニャーニを介して知り合っていまして、標高の高いまさにエクストリームな環境で彼らがブドウ栽培をしている事などをステーファノが熱く語っていたことや、畑のある標高をワイン名にした1368(!)の味わいの素晴らしさがオータの中でも強く印象に残っていて、万が一スペインワインを取り扱うならバランコ オスクーロみたいなのが見つかるといいなぁなどと妄想していただけに、当の造り手からの打診にはビックリしました…。

バランコ オスクーロは、スペイン南部アンダルシア州のアルプハラ地方の町、カディアールにある、父マヌエル、息子ロレンツォとロレンツォの奥さんルイーザが営むワイナリー。12haのブドウ畑を所有、畑は標高1200m-1368mと非常に高い位置にあり、片岩質の痩せた土壌で、収量は標高の高いところで1haあたり10hl(!)、標高の低いところで40hl程度。畑から北に15kmほどの直線距離にシエラネバダ山脈の3000m級の山の頂上が、南に12kmほど行くと地中海、そして天気が良ければ約100km南にモロッコが見えるという…。冬には雪が降り、雪解け水が山にしっかりと涵養(保水)されるため、雨が滅多に降らない夏もブドウ樹が極端な水分ストレスに陥ることなく生育できる環境があります。ブドウの生育期間中に雨が降らないので、農薬散布も基本的には行いません。栽培する品種は、スペインのさまざまな土着品種にとどまらず、フランス系の品種なども植えており、基本単一品種で醸造、醸造のいかなる過程でも酸化防止剤を使用しない。

アルプハラ地方の信用の置ける農家から市場価格の倍の値で買い付けたブドウでネゴスものも造り(主に赤2種とロゼ、時々白も…)、ラ トラヴィエサという名前でリリースしています。

総生産量で4~5万本ほどあるそうなのですが、20種類近くのワインを造っているため、各ワインの生産量はごく僅か。そして、ワイナリー&畑が原産地呼称地域外にあるので、ヴィンテージも使用ブドウ品種も明記することができず、ラベル上では隠語的な表記にのみとなっていて、ワイン名もブドウ品種名を彷彿とさせる皮肉のこもったものに…。白のスティルワインに関しては、全て醸し醗酵を行なっているそうです。

空輸でサンプルワインを送ってもらったのですが、どれも素晴らしいいっ!!圧倒的な果実がありつつも、高い標高由来の酸の下支えがあって、高アルコール度数でも飲み心地は軽やか。軽さを実現するために完熟前に収穫するなどといった、本末転倒な造りとは明らかに一線を画すテンションの高いワインたちです。

今回入荷した商品ですが、下記の通りとなります。

ラ トラヴィエサ ブルブハス2021:“いたずらな泡”を意味する、土着品種であるヴィヒリエガで造る白の微発泡性ワイン。アルコール醗酵が完全に終わる前にボトリングし、6-9か月間シュールリーの状態で熟成させ、デゴルジュマン後に出荷。

エンサヨ デ ブルブハス レゼルヴァ2012:自社ブドウのヴィヒリエガで造る、“泡の実験”という名のワイン。通常のタイミングで収穫したヴィヒリエガを醗酵させ切ったものをベースのワインとし、そこに初冬まで収穫せずにおいたヴィヒリエガの遅摘みブドウのモストを加えてボトリングし(酵母無添加)、瓶内2次醗酵を促します。通常キュヴェは36か月間シュールリーの状態で醗酵&熟成させるのですが、今回届いたレゼルヴァは約10年間(!!!!)澱と共に熟成させたもの。

サルヴァイエ ブランコ2020:“野性的な白”を意味する、ソーヴィニョン ブランで造るワイン。。

ラ ヴィ イ ソネ2020:“彼女を見て、そして(彼女の)夢を見た”という名のヴィオニエで造るワイン。

シルナッチャ2020:シラーとガルナッチャ(グルナッシュ)の混醸ワインでシルナッチャ(笑)。

ラ トラヴィエサ ティント フリッザンテ2020(L.2020):ガルナッチャとテンプラニーリョを混醸した微発泡性赤。ボトリングの時点ですでにアルコール度数が14.7%あったようなので、現時点では15%強?そしてなぜだか“フリッザンテ”とここだけイタリア語(笑)。

ラ トラヴィエサ ティント2021(L.2021):テンプラニーリョ100%。

ルバイヤート2020:ルバイヤートは、11世紀ペルシャの数学者・天文学者・詩人であるオマル ハイヤームの詩集のタイトルで、ワインを愛したハイヤームに捧げるべく、この名前にしたそう。シラー100%。

エル ピノ ロホ2020:“赤い松”という名のピノ ノワールのワイン。スペイン語でPino Negro(黒=ノワール=Noir)としてしまうと、あからさま過ぎると判断してのロホ(赤)なのかと(笑)。。

エル カント デル ミルロ2020:“ツグミの歌声”という名のメルローで造るワイン。。

ラ ファミリア2020:カベルネ ソーヴィニョンとカベルネ フランの混醸ワイン。カベルネ フランがカベルネ ソーヴィニョンの交配親に当たるため、“家族”という名前にしたのかと。

1368パゴ セロ ラス モンハス20112009:標高1368mにある畑のガルナッチャ、シラー、カベルネ ソーヴィニョン&フラン、メルロー、テンプラニーリョで造るワイン。樽熟成は2年ほどなのですが、ボトリング後にしっかり熟成させてからリリースされるので、2011&2009が現行ヴィンテージなんです!内容を考えたら、破格としか言いようのない偉大なワインです。

余談になりますが、ロレンツォの奥さんルイーザはインポーター&ディストリビューター的な仕事もしているそうで、スペインにパーネヴィーノのワインを輸入しているのは彼女だそう!

 

バランコ オスクーロを紹介してくれた人が「ヒサト、そう言えばなんだけど、ラモン サアヴェドラっていう造り手知ってるかな?バランコ オスクーロとラモンのワイナリー、ボデガ カウゾンは、個人的にも大好きな造り手なんだけど、彼ら自身家族のように仲がいいんだよ。(バランコ オスクーロの)ロレンツォが、ラモンに新しい日本のインポーターと取引を始めるって話をしたら、ラモンも興味を持ったんだって。彼のワイン飲んだことある??絶対ヒサトも好きだと思うよ。」とおススメしてくれたので、一度も飲んだことないのに買ってしまいました(笑)。というわけで、ボデガ カウゾンのワインも1種類だけですが入荷しております!

ボデガ カウゾンは、シエラネバダ山脈の北側にある町コルテス イ グラエナにあるワイナリー。15年間料理人として働いていたラモンは、街での生活に疲れ1999年に帰郷、自家消費用ワインを造るために代々受け継いできた畑と自ら植樹した畑で獲れたブドウでワインを醸すことに。畑は、標高1000-1200mの北向きの斜面にあります。日中はものすごく暑くなる時もあるのですが、夜にはしっかりと気温が下がるため(昼夜の温度差が25℃にもなる時があるそう!)、糖分だけでなく酸もしっかり乗った素晴らしいブドウが獲れます。

今回入荷したのは、カウゾン ティント2021ヴィンテージ。テンプラニーリョ100%のステンレスタンクで醗酵&熟成させたワイン。ラモンも、バランコ オスクーロ同様にすべてのワインに酸化防止剤を使用していません。

こちらも余談になりますが、ブレッサンのフルヴィオがオッティマーナで来日した際に、ラモンのワインを取り扱う事を報告したところ、「ラモン…(アイツは俺の)親友だ!」とフルヴィオ。この瞬間、ブラインド買い(=試飲もせずに買う事)という博打で勝利を収めたことを確信しました(笑)。

 

ここからは新ヴィンテージワインの情報です。昨年末から断続的にコンテナーが届いていたのですが、スペイン便の後が少々開いてしまいまして、その結果として皆さんにご紹介できるネタが少々寂しい状態に…。というわけで、ヴィンテージ変更ものに加え、見切り発車的に新ヴィンテージも投入することにしました!

 

ステーファノ レニャーニポンテ ディ トイ2019が凄い勢いで動いておりまして、もうすでに終売間近…。という事で、新ヴィンテージの2021と、ポンテ ディ トイの双子の兄貴的ワイン、ル ガルー2019をリリースします。

覚えている方もいらっしゃるかもしれませんが、ポンテ ディ トイ2020は、ステーファノの不注意から、全量廃棄してしまいました…。醗酵の始まったモストに酸化防止剤を添加するべく、酸化防止剤を溶かし込んだモストの入ったバケツを持ってタンク上部まで梯子を上り、タンクのフタを開け、バケツの酸化防止剤入りモストをタンク内のモストに添加しようとした瞬間に1本の電話が…。梯子を下りて電話に応答、シリアスな話だったのか長電話となり、通話を終えた時にはなぜだか全ての仕事を終えた気分になり、バケツの酸化防止剤入りモストはタンクの上に置いたまま、醗酵の全てのプロセスの間タンクのフタ開けっ放し&無添加の状態で過ごすことに…。当然のことながら揮発酸もなかなかに高いワインとなってしまい、友人のセラーを間借りして醸造しているステーファノとしては、友人のワインにバクテリア汚染のリスクを冒させるわけにもいかず、全量廃棄することに…。当時は、世界全体がストレスフルな生活を余儀なくされていた時期でしたが、人とコミュニケーションをとることが大好きなステーファノにとっては、最低限の注意を払う事でさえ忘れてしまうほど辛いものだったのかもしれません…。

ポンテ ディ トイの2021ですが、2019に比べると若さが目立ちますが、還元のニュアンスとは無縁で、もう十分に楽しんでいただけるレベルだと思います。

ポンテ ディ トイよりも澱と触れ合う時間を長く取った、ある意味ステーファノにとっては“ポンテ ディ トイの理想像”とも言えるル ガルー2019も、ポンテ ディ トイ2019同様に素晴らしいです!(そりゃそうか!)

どちらも在庫はある程度潤沢なのですが、絶賛白ワイン飢饉中のヴィナイオータですので、早々になくなってしまうかもしれません。お気を付けください!!

 

我々がイメージする、南イタリアの家族愛が溢れまくる大家族農家を体現するイル カンチェッリエーレのタウラージ ネーロ ネ2015が終売、ジョヴィアーノ2017が在庫70本程となりましたので、タウラージ2016ジョヴィアーノ2018をリリースします。ジョヴィアーノ2018は、骨格やタンニンがしっかりしているというアリアニコらしさがありつつも、柔らかな質感を備えたザックザクなワインで、タウラージ2016も2015と比べるとタンニンも細かく滑らかな気がしました。

今現在、彼らのワインの引き取り準備を進めているのですが、新しいワインが2つ加わります。こちらも楽しみにしていてくださいね!!

 

チンクエテッレの希望の星、ハイディ ボナニーニのポッサが造る赤ワイン、ウ ネイグル2015が終売したので、2016(L.1/2017)をリリースします。可愛らしい香りが特徴のこのワインですが、2016は“キュート”というより“妖艶”…そんな感じです(笑)。

 

もはやアンジョリーノの5番弟子などといった肩書が一切必要ないくらい認知された感のあるサウロ マウレのイル カヴァッリーノがタイロッソで造るロゼ フリッザンテ、ズガス ロゼ2020が終売間近なので、2021も出しちゃいます!2020以上に切れている印象です!白は何もない状態ですが、赤は全ラインナップ揃ってます!マイタイ2018、今サイコ~です!

 

アリアンナ オッキピンティが造るネーロ ダーヴォラ100%のワイン、シッカーニョ2017が終わったので、2018をリリースします。試飲してビックリしたのが、その美しい酸!間違ってフラッパートも入れちゃった?と疑いたくなるほど。オータ的に“刺さる”ワインでした!

 

*ブログ掲載時には完売しているワイン、商品がございます。予めご了承ください。

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