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2019-10-08

ヴィナイオータ かわら版 ~佐藤編 その参~

佐藤の“飲んでもらいたい”ワイン紹介!!

Merlot 2009 (Mlecnik)

いつもお世話になっております。つくば本社の佐藤です。
ワインの紹介をさせていただきます!
3回目となるかわら版で私がみなさまにご紹介したいワインは、“スロヴェニアの心優しき巨人”ことムレチニックの「メルロー2009」です!

朝晩の涼しさが日に日に増し、夕暮れ時には虫の声が響くように。樹々も色付き始め、秋も深まるこれからの季節。味覚の秋、読書の秋。バラエティ豊かな食卓にも、しっぽりと秋の夜長に読書を楽しむひとときにも、優しく寄り添ってくれる1本です。

<<佐藤の飲んでもらいたいワイン紹介>>
銘柄:Merlot 2009
ブドウ:メルロー
造り手:Mlecnik ムレチニック(ヴァルテル ムレチニック、クレメン ムレチニック親子)
地域:スロヴェニア ヴィパーヴァ渓谷
希望小売価格:5,900円(税抜)

世界的に人気の品種であるメルロー。ボルドー原産の品種ですが、様々な気候や生育条件に適応することから広く世界的に栽培され、イタリアでもほぼ全域で栽培されています。
うちの造り手たちの中でも、ヴェネト&フリウリの多くの造り手や、ピエモンテのトリンケーロやカラーブリアのチンクエ カミーニなどが栽培しており、現在弊社でオンリストしているメルロー単体のワインとしては、ムレチニックの他に、ビアンカーラ、ラディコン、グラヴネル(ルイーノ ロッソ)、トリンケーロ(トラビック)などがあります。
当たり前ですが、どの造り手のワインも其々に個性があり、同じメルロー100%でもこんなに違うのか、、、と。工業製品からは絶対に感じることのできない、ワインの奥にある彼らの信念、覚悟、情熱がひしひしと感じられ、嬉しくなってしまうのです。そして、自分も彼らのように仕事に向き合いたいと思わずにはいられません。

ムレチニックのメルローは、しなやかで繊細な印象。力強さよりも優しさや柔らかさを感じ、纏まりのある味わいとキレイな余韻が心地良く、スルスルと飲み進むワインです。
2009年は、ムレチニックのメルロー史上「最高傑作」と言われた2007年に匹敵する佇まい。2007年もその本領を発揮するまでには少し時間を要しましたが、この2009年も入荷後2年を迎え、入荷当初よりもぐっと表情を出してきました。
抜栓直後は香りも味わいもおとなしめですが、30分もするとパッと開いてきますし、2日目、3日目も絶好調!
入荷当初に飲んだきりだな..という方は是非、今のメルロー2009を試してみてください!そして、今後の更なる変貌を見届けるためのストックもお忘れなく!!

~ ムレチニック ~
フリウリ ヴェネツィア ジューリア州からイタリアとの国境を越えて、車で10分程のヴィパーヴァ渓谷。この地域は、まわりを山に囲まれたすり鉢状の泥灰質土壌で標高は50~120m程度、細かな気候条件の違いが見られる。社会主義国家時代に政府に没収されたヴァルテルの祖父の私有地であったブドウ畑を含む土地を徐々に買い戻し、1989年にそれまで桶売りしていたワインの自家ボトリングを始めた。当初より除草剤や殺虫剤といった薬剤や化学肥料を使用せずにブドウを栽培していたが、ヨスコ グラヴナーに出会った1993年以降は彼のブドウ栽培・醸造哲学に共鳴し、それを実践している。
ひと株ごとの収量の制限、野生酵母による醗酵、温度管理・空気調節や清澄作業を行わずに醸造し、二酸化硫黄の使用も瓶詰め時にごく少量のみと、彼らの祖先が残した伝統と自然への最大限の敬意を持って、よりブドウそのものの個性やテロワールを反映した自然なワイン造りを目指している。
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私自身のムレチニックとの出会いは、まだ入社前の2013年に飲んだレブーラ2005でした。雨がちだったヴィンテージの影響が如実に表れ、ボトリング直後は「うっすーい」ワインだったというレブーラ2005。友人であるダーリオ プリンチッチからは、「デクラスして別の名前で売った方が良い」とさえ言われていたそう。
そんなレブーラ2005も、ボトリング後3年以上が経った頃からようやく表情が出始め、2011年末にやっとリリース。太田のアドバイスもあり、価格を下げ、そのままの名前でリリースしたレブーラ2005は、その生産量の8割近くがヴィナイオータへとやって来たといいます。当時、「この味わいでこのお値段!!?」とかなりびっくりしたのを覚えています。

“2005”繋がりで、私がムレチニックを更に好きになったエピソードを。

シャルドネ2007の引き取りを控えた2012年の夏のある日、ヴァルテルから太田に1本の電話が。
彼のワインの売れ行きを聞かれた太田は、売れてない訳ではないが、シャルドネはまだ2002年が少し、2004年もあり、2005年が沢山、2006年はまだリリースさせていないことを話し、2002年&2004年は為替の影響(円安)をもろに受けて価格的に高くなってしまったこと、加えて経済情勢の影響もあり、そして何よりもヴィナイオータ自身が力不足だったのではと説明。

当時の経済情勢を自身も肌で感じていたであろうヴァルテルは、太田にこう言ったといいます。

「今回のシャルドネ2007は、今までの全てのシャルドネをクオリティ面で凌駕していると思うんだ。収穫量が凄く少なかった2008年のことも考えると、値段を若干上げたいというのが正直なところだけど、こんなご時世に値上げだなんて正気じゃない気もするし…。この時代、今より豊かになることを求めるより、今を生き抜くことの方が先決な気がするんだ。僕とヒサトは運命共同体なわけで、そのヒサトが僕のワインを多く在庫している。そしてどうやら、為替が味方して、シャルドネ2007の価格はこのままいくと2005年よりも安くなる。2005年は決して悪いワインではないけど、2006年や2007年とは比べようもなく…。本当は2005年をリリースさせる時に例年よりも少し安く出すべきだったんだと思う。レブーラ程じゃないにしてもね。ただ2004年に8割以上のシャルドネをベト病で失った後の年だったからそこまで考えが及ばなくて…。で、提案なんだけど、ヒサトへのシャルドネ2007を値下げするから、その値下げ分で2005年の価格を下げることってできないかな?まずは僕のワインが広く飲まれるようになるところから始めてみようよ!」

どうですか!このヴァルテルの心遣い!!
売った後のワインの事までこうして気遣えるヴァルテルに感動してしまいました。

そんなヴァルテルの気遣いもあってか、2019年現在、ムレチニックの白ワインは入荷後すぐに無くなるように。まさに彼のワインが広く飲まれるようになり、沢山の人が彼の良さを知ることができたのです。
彼の白は飲んだことがあっても、赤はまだ…というあなた!是非メルロー2009を飲んで、彼の優しさ、情熱、覚悟を感じてください!!

★下記リンク先に畑やワイナリーの写真を載せてありますので、こちらも是非ご覧ください!
https://vinaiota.com/producer/3833

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