ヴィナイオータ かわら版 ~佐藤編 その四~
佐藤の“飲んでもらいたい”ワイン紹介!!
カゼ2014(Alberto Anguissola)
いつもお世話になっております。つくば本社の佐藤です。
新型コロナウイルスの脅威が日に日に拡大し、多くの方々が不安な日々を送られていることと思います。私自身も、先行きの見えない中で、何が正解なのか、自分はどうすべきなのか、疑問と葛藤を繰り返す日々です。悩み、苦しんでいるお客様が大勢いらっしゃるこんな状況の中で、ワインの紹介をして良いのだろうか、、?とも正直悩みました。
でもこういう時こそ、健全な農産物を飲み・食べ、心身の健康を維持していくことが大切なのではとの思いから、いつも通りかわら版にてワインをご紹介させていただきたいと思います。
想いのある生産者が造ったワインは、工業製品とは全く違う喜びや安心感を私たちの心・身体に与えてくれます。
難しい局面で苦しい思いをしている方々にも、ひとときの安らぎを感じてもらえますように。。
今回私がかわら版でご紹介するワインは、アルベルト・アングイッソラの 「カゼ2014」です。
意図せず前回の石橋からアングイッソラ続きになってしまい、別のワインへの変更も考えたのですが、今回私がいくつか候補を考えた中で、一番在庫している期間が長いこと、「2014年=弱いワイン」というイメージから、まだ手に取ったことの無いお客様が多いのではと思ったこと、そして何より、今飲んでしみじみ美味しく、この状況下で私自身がそうだったように、多くの皆様にホッとする安らぎを与えてくれるワインだと確信したからです。
当主アルベルトは、もともと国際的なスプレー缶製造メーカーに勤めるワイン好きのビジネスマンでしたが、地元で圧倒的なクオリティのワインを生産するラ ストッパのジューリオ アルマーニ氏と親交があり、彼と一緒にワインを飲むことでワインに関する見識を広めて行きます。
2人で畑を借り、自家用ワイン造りなどをしていく中で、本格的にワインを造ってみたいという情熱が湧き上がったアルベルトは、ピアチェンツァ南西部のトラーヴォという町の郊外にある標高530-560mのカゼと呼ばれる場所で、1998年に土地を購入、ピノネーロを植えます。
ジューリオが同じトラーヴォでも石灰質土壌の土地に様々な白の土着品種を植えたのを見て、「ジューリオ、お前が白なら俺は赤にするわ。カゼは粘土質だから黒ブドウの方が向くだろうし」と、標高の高さからピノネーロを選んだのです。
当初からテロワールとヴィンテージの個性がより反映されたワインを理想として掲げ、畑でも自然環境へのリスペクトを払った農業を行い、セラーでも同様の哲学が貫かれます。
2000年~2009年まではラ ストッパのセラーを借りて醸造、2010年からは自身のセラーで醸造を開始。会社勤めとワイン造りの両立をしていたアルベルトに、2012年初に転機が訪れます。それまで勤めていた工場が2012年1月に閉鎖となり、アルベルトには200km離れた別工場でのより高い役職へのオファーがあったのです。
もうしばらく仕事を続け、ワイナリーに投資するためのまとまったお金を稼ぐか、それとも会社を辞め、ワイン生産だけで生活していくか…大きな選択肢を突き付けられたアルベルトが、まだ迷いのある中で太田に送ったメールにはこう書かれていました。
「ブドウ栽培とワイン生産だけで生きていくという事、つまり生きていくための糧の獲得手段をすべて自然に委ねることで、より多くの教訓、そして大きな喜びが得られるって気がしているんだ。そして恐らく、家族が普通に生活していく位は、どうにかなるんじゃないか…ともね。」
そしてアルベルトは、ワイン造りだけで生きていくことを選びました。
自身の畑のピノネーロからスタンダードラインの「カゼ」と、選りすぐりのブドウを長期間マセレーションした、「カゼ リーヴァ デル チリエージョ」の2つのワインを生産。2011年からはワイナリー近くの、後継者に恵まれずに栽培放棄されそうになっていた高樹齢の樹が植わる区画を借り、樹齢50年以上のバルベーラとボナルダから伝統的セパージュの「カルカロット」と微発泡の「ベルベック」、樹齢40年以上のマルヴァジーア、モスカート、オルトゥルーゴ、マルサンヌから「カゼビアンコ」を造っています。
「カゼ」は、樹齢の若いブドウを、マセレーション期間を短く(25日)し、一部バリック、一部ステンレスタンクで熟成させたセカンドラインなのですが、太陽に恵まれなかった2014年に限っては、収穫した大半のピノ ネーロは皮ごと醸すことなく微発泡性ワイン(ハルサメ)となり、通常でしたらリーヴァ デル チリエージョに使われる、樹齢の最も古い区画の斜面上部のピノを使って醸したのがカゼ2014になります。
2017年4月に600本入荷したカゼ2014ですが、やはり、くっきりはっきりとしていた2013年とのギャップもあり、動きはゆるやかに。2013年は2年かからずに1500本が動いたのに対し、2018年の再入荷も合わせ1380本が入荷した2014年は、3年が経とうとする今も在庫が200本以上、、、
入荷当初は確かに、飲んで「薄い、、」と感じるワインでしたが、3年経った今は、全然違う表情を見せてくれています。
くっきりしっかりとしたワインではありませんが、しなやかな柔らかさと落ち着いた雰囲気、どんどん飲み進むのに全然飲み疲れしない優しさ。
抜栓したては、ごく僅かに還元香を感じるボトルもありますが、空気に触れさせてあげることですぐに消えますし、2日目も3日目も落ちることなく素敵な表情をみせてくれます。
まだカゼ2014をお試しいただいたことの無い方、以前のイメージからちょっと遠ざかってしまったという方にも、不安な気持ちからいっとき離れて、健全な食事とともにホッとするワインで安らぎのひとときを感じて頂けたら、嬉しいです。
(ウェブサイトも是非覗いてみてください)
http://www.naturallywine.com/
≪佐藤の飲んでもらいたいワイン≫
銘柄:Case’ / カゼ 2014
造り手:Alberto Anguissola / アルベルト アングイッソラ
希望小売価格(税抜) : 2,900円
*この文章は2020年4月上旬に書かれたものです。
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