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2021-04-21

ヴィナイオータ かわら版 ~リザ編 その四~

前回のかわら版を読んでくれた皆様ありがとうございます! ヴィナイオータの「ザ・イタリア人」リザです。

今回は4回目のかわら版になります! 入荷してからずっと実験し続けてようやく美味しい食べ方が分かったロヴェイア豆とロヴェイア粉の紹介です!

ロヴェイア豆&ロヴェイア粉の存在を知らなかった私、ヴィナイオータで初めて見ました。「一体これで何をすべきなのか?」と思っていました。私、、、とても失礼でした。実は、ロヴェイア料理はとても不思議で楽しいんです。

ロヴェイアはウンブリア州が原産地で、グリーンピースの野生種(原種)とも言われており、グリーンピースより小さい茶色の豆です。中東からイタリアに入ってきた植物といわれています。低い温度に強く、水が少ない環境で生きる植物ですので、標高600m以上の厳しい環境でも育つことができます。

ロヴェイア豆は栄養が豊富な豆類です。豆の中でも、ロヴェイアのたんぱく質の割合は最も多く、100g中21gがたんぱく質となります。

昔の生活スタイルにぴったりな植物だったようで、山を登っていた羊は植物または豆をそのまま食べ、羊飼いはスープとしてご飯にしていました。

人口が増加し、山から町へ降りた人々は収穫のために山を登る必要があることと、ロヴェイアはとても背が低い植物のため、ハンドピッキングでの収穫となることもあり、ロヴェイアは他の豆に取って代わられることとなりました。その結果、現在ではロヴェイアを育てている農家がとても少なく、全てウンブリア州内の農家となっております。

イタリアではロヴェイアが植物絶滅危惧種に分類され、スローフードの「味の箱船」(※このままでは消えてしまうかもしれない、小さな生産者による希少な食材を世界共通のガイドラインで選定し、様々な支援策によって、その生産や消費を守り、地域における食の多様性を守ろうという取り組み)に登録されています。(※参照:https://slowfood-nippon.jp/what-we-do/ark-of-taste/)

ベアのアルボレウスというワインのエチケットを見たことがある人は独特な絵が描いてあることに気づいたかと思います。その絵の正体は彼の育てた樹齢100年を超えるブドウの樹。日本にあるブドウ樹と比べると形が全く違うことがわかります。これは、畑でブドウ樹のみを育てることはあまりせず、ブドウ樹の周りで、豆や麦も育てるようにしているためです。この方法は伝統的に行われてきたもので、植樹の間隔が広く、枝が高いことが大きな特徴となっております。豆、麦は人間のための食品になり、緑肥として土地の栄養にもなります。ブドウ畑が元気にしている理由はこれら豆、麦のおかげでもあるのです。

乾燥ロヴェイア豆をつぶすと粉になり、それをファリーナと呼びます。ロヴェイア粉は、ウンブリア州ではポレンタ ディ ロヴェイア(ロヴェイアのポレンタ)ないしファレッキアータと呼ばれる料理に使うことが一般的です。ファレッキアータはポレンタのような食感があると聞いて、フリウリ州の私は、ポレンタが食べられると思い… ヴィナイオータに届いた日、すぐに買って帰って調理をしてみました。

ただ、うまくファレッキアータをつくるためには…トライ&エラーが必要だと分かりました。ということで、一週間の間に3回ファレッキアータを食べました… 笑 諦めなかったおかげで、皆さんに最も良いレシピを紹介することができそうでよかったです!

ロヴェイア豆の美味しい煮方を紹介します。ファレッキアータはそのまま食べるのも美味しいですが、アレンジアイデアも紹介します!

◎ Farecchiata (ファレッキアータ) 2人分

●材料

水 250cc
ロヴェイア粉 50g
塩 少量
オリーヴオイル 少量
アンチョビ 少量
にんにく 少量

●作り方

鍋の中に50gのロヴェイア粉を入れ水250ccに浸けます。2時間経ったら、弱火で混ぜながら調理をします。5分から15分ぐらいでできます。すぐに固まりますので、火から離れずゆっくり混ぜて、トロトロの状態でお皿に入れ、フライパンで焼いたオリーヴオイル、にんにくとアンチョビのソースを上にかけます。

◎ Gnocchi di Roveja e Patate(ロヴェイア粉のグルテンフリーニョッキ)

●材料

ジャガイモ(中サイズ2個) 250g
ロヴェイア粉 70g
塩 お湯の量の1%

※すぐにソースと絡められるように、ソースを作ってからニョッキを茹で始めることがおすすめです。ロヴェイア粉でできたニョッキのおすすめソースは肉入りソースですが、野菜ソースもぜひ試してみてください!

●作り方

まず、皮つきのジャガイモを20~30分茹でます。ジャガイモを茹でる時間がない場合、電子レンジを使っても構いません!

20分経ったらフォークでジャガイモを差し、茹で上がっているかどうかを確認します。熱いうちにじゃがいもの皮をむきます。皮をむいたじゃがいもをボウルに入れて、フォークでつぶします。かたまりが残らないように、しっかりとつぶしてください。

そして、ロヴェイア粉と塩を加えます。要注意! ニョッキを上手くつくるためジャガイモが冷めないように気を付けてください。

手で直径1.5cmくらいの棒状にのばします。包丁で1cm幅に切り分けます。切り分けた生地を楕円状に整えます。

フォークで押しつぶして、ソースが付きやすい形に整えましょう。鍋に塩とオリーヴオイルを加えて、お湯をたっぷりと沸かします。お湯が沸いたら、ふつふつというくらいに火を調整し、ニョッキを入れて茹でていきます。くっつかないように、優しく混ぜながら茹でましょう。火加減が強すぎると、ニョッキが溶けてしまうことがあります。中火くらいに調整してください。ニョッキがお湯の表面まで浮かんできたら、火が通った合図です。

茹で上がったニョッキから、網じゃくしを使ってすくい上げます。ざるにとって水気をきったら完成です。お皿に入れ、温かいソースをかけてお早めに召し上がってください!

最後まで読んでくださってありがとうございました!

そして、この場を借りて退職のご挨拶をさせていただきます。5月をもちまして、ヴィナイオータを退職することになりました。短い間、大変お世話になりました。

私にとって初めての日本での仕事で、2年間でさまざまな経験をすることができました。学んだり、間違えたり、色々な人と出会うことができて、心から皆様に感謝の言葉をお伝えしたいです。本だけでは学ぶことのできないことを多く学ぶことができました。たくさんの思い出とこの経験を大事にして、これからの人生に活かしていきたいと思っています。

短い間でしたが、ヴィナイオータに勤めて成長することができて、とても感謝しています。

ありがとうございました。

<<リザの食べてもらいたい食品紹介>>
造り手:パオロ ベア
地域:伊 ウンブリア州
商品:ロヴェイア、ファリーナ ディ ロヴェイア

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