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2017-01-13

【新入荷】2017年1月 その1

僕自身、他社が輸入しているワインであったとしても、そう思うのならば手放しに絶賛をしますし(その逆も然り…かもしれません(笑))、その造り手への敬愛を隠すこともしません。日本のワインマーケット内で、良心ある造り手によって醸されたワインの割合が増えることこそが肝要なのであり、そのワインをヴィナイオータが輸入しているか否かはさして重要ではないと考えています。そんな風に考えているからなのか、それとも僕自身が歳をとって保守的になったせいなのか、はたまた現在の弊社ラインナップに満足しきっているからなのか、「ヴィナイオータで扱ってみたいなぁ…」という恋心に近い感覚を抱く“憧れの”造り手はというと、片手で足りるくらいの数しか思いつかなかったりします。色々と角が立つので、造り手の名前は明かせませんが…(笑)。

実は…今年そんな憧れの造り手2人との取引が始まります!!!そのうちの1人、カッペッラーノのワインが入荷してきましたぁ!!数あるバローロの中でも、まさに唯我独尊的佇まいを持つ彼らのバローロですが、あまりにも他のネッビオーロと違ったテンションを備えているからなのか、オータはブラインドでちゃんと当てられた試しがありません(笑)。一般的には女性的な優美さのようなものをネッビオーロというブドウは内包しているような気がするのですが、カッペッラーノのそれは男性的でとても厳格な雰囲気。でもだからといってゴツゴツしているわけでも野暮ったいわけでもなく、あくまでもエレガント…似たオーラを纏ったワインはと言われれば、90年代前半のジャンフランコ ソルデーラ(カーゼ バッセ)くらいしか思いつきません。

「君はまだ若いし、きっといつかご縁みたいなものが巡ってくるんじゃないかな。」と、2009年に他界した前当主テオバルドも生前に言ってくれていたのですが、現当主である息子アウグストから、「ヒサトがまだ僕たちのプロダクトに興味を持っていてくれているのなら、機は熟したと言っていいと思う。」というメールが!ヒャッホ~~!!!

1870年創業のカッペッラーノはもともとセッラルンガに60ha以上の畑を有する大規模なワイナリーでした。自社畑のブドウにとどまらず、買いブドウでもワインを造っていたそうなのですが、ブドウの“目利き”にも長けていて、「カッペッラーノが買ったブドウ」という言葉が、そのブドウの品質の高さを保証するものと認識されていたくらいだそうです。今現在は、バローロを代表するクリュであるガブッティを中心に数ヘクタールの畑を持つのみで、4種類のワインを生産しています。現当主のアウグストは、畑でのアプローチや醸造哲学は父のイズムを完全に踏襲してはいますが、天才肌だった父テオバルドがワイナリーに遺していった数々の“混沌”を何年もかけ整理しつつ、自身のアイデアを持ち込みワイナリー内のマイナーチェンジを図っています。余談ですが、アウグストは先日来日したレ ボンチエのジョヴァンナを姉のように慕っていて、醸造のことで悩むと決まって彼女に電話をしてくるそう。テオバルドが急逝し、いきなり全てを自分で判断しなければいけなくなった2009年の収穫時は、毎日のように電話がかかってきたとジョヴァンナが言っていました。「アウグスト、いくら電話で質問されても答えられないことってあるのよ。その場にいるのならまだしも…。そして、私自身ネッビオーロを醸したことがないから、(ネッビオーロが)どういうリアクションをするのか、全く想像もできないし。」と答えたところ、2010年秋にはアウグストから小包がクールで送られてきて、中にはネッビオーロが入っていたそうです(笑)。


※レ ボンチエのワイナリーにて

今回届いたワインは以下の通りです。


(左からネビオーロ ダルバ、バルベーラ ダルバ ガブッティ、バローロ ピエ ルペストリス、バローロ ピエ フランコ)

Nebiolo d’Alba(ネビオーロ ダルバ)2012:本来だとNebbioloとBが2つ重なるのですが、地域の伝統に敬意を払い、カッペッラーノは昔の呼び名を採用しています。バローロよりも1年短い樽熟成。

Barbera d’Alba Gabutti(バルベーラ ダルバ ガブッティ)2011:なんと言いますか、トリンケーロのヴィーニャ デル ノーチェのランゲ版といった感じでしょうか。

Barolo Piē Rupestris(バローロ ピエ ルペストリス)2011:ルペストリスという名のアメリカ系台木に接ぎ木された、樹齢約60年のネッビオーロで造られるバローロ。あえて陳腐な言葉を使いますが、十分すぎるくらいに尊大なワイン。

Barolo Piē Franco(バローロ ピエ フランコ)2011:フィロキセラによってヨーロッパほぼ全域のブドウ樹が壊滅的な被害を受けて以降、アメリカ系の台木に接ぎ木したブドウ樹を植えることが一般的になっていったわけですが、1980年代半ば、テオバルドは数畝にネッビオーロのクローンの一種であるミケを自根のまま植えます。その当時、周りの人たちからしてみれば正気の沙汰ではない行為だったわけで、誰もが失敗を確信していたのですが、約30年経った今もブドウ樹は健全に育ち、恐ろしく高いテンションのブドウを生らせています…。常識を疑う姿勢を貫くこと、ネッビオーロの純潔を守るということ、バローロというワインを“バローロ自身(のオリジン)”に立ち返らせること、そしてフィロキセラに耐性のある品種を探し求めてアフリカへと渡りそこで熱病に罹り夭逝した祖父ジョヴァンニへのオマージュという意味合いから生まれたこのネッビオーロ(バローロ)の深みたるや…ルペストリスよりも集中力があり、硬く、同時にしなやかで、余韻はどこまでも長く…イタリアを代表するグランヴァンかと。

もちろんバローロ キナートも入荷しております!バローロ キナートは、もともと薬剤師だった2代目のジュゼッペ(テオバルドの祖父の弟)がベルモットにインスパイアを受け開発したもの。現代のように化学的に生成したものでなく、天然成分由来の生薬しか薬としてなかった時代には、様々なハーブやスパイスをアルコールで浸漬することで造られたリキュールは、美味を目的とした嗜好品というよりは、薬用酒という位置づけでした。カッペッラーノ家のキナートは、一子相伝の門外不出の手書きのレシピノートに則って、造り始めた当時から使われている機材を用いて生産されています。

我らが先生アンジョリーノのお弟子さんであるサウロ マウレのワイナリー、イル カヴァッリーノからはファーストヴィンテージにあたる2011年のものから最新の2015年のものまでいろいろ届いております!他の地域で若くしてこういった農業&ワイン醸造を志向する造り手は、見た目も性格行動もファンキーな人が多い気がするのですが、アンジョリーノの周りには彼に似て生真面目で実直な人ばかり…。サウロも、彼の年齢からは考えられない細やかな気遣いある言葉を会話であれメールであれ、さりげなく忍ばせることができる男だったりします。いよいよ今年からは自身のワイナリーでの醸造を開始することなり、完全にインディペンデントな状態に!別にアンジョリーノのセラーを間借りしていたからといって、アンジョリーノが重々しいプレッシャーをかけたり、醸造に関する講釈を垂れたりするわけでもないのですが…(笑)。兄弟子であるダニエーレ ピッチニンが2010ヴィンテージ以降の彼のワインで証明してくれたように、誰の庇護の下にもないという状況下で始めるということは、いち造り手としては大きな変化や多くの気づきを促すきっかけになるのではないでしょうか。今後のサウロの成長を皆さんご期待くださいませ!!

今回発売しますワインを列挙しますと、


(左からグランセルヴァ2011・2013・2014、プリ2015)

グランセルヴァ:ガルガーネガ、ソーヴィニョン、ドゥレッラ、ピノグリージョで造るスタンダードラインの白。ファーストヴィンテージの2011年の他、2013年、前回入荷しました2014年が入荷しております。2014年が終わり次第、2015年をリリースします。

プリ2015:サウロの愛娘プリシッラの名を冠した、厳選したガルガーネガで仕込まれる白。


(左からカ ロンバルダ2012・2015)

カ ロンバルダ:メルローとカベルネ ソーヴィニョンで造る赤。2012年、2015年が入荷。

ズガス2015:いよいよサウロもフリッザンテを造り始めました!!!近年暑い夏が多いからか、造り手自身がワインに軽快さを求めているのでしょうか…。ドゥレッラとガルガーネガを使用し、瓶内二次醗酵もモストで促し、当然のことながら酵母添加もデゴルジュマンも行っていません。

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