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2020-06-23

ヴィナイオータ かわら版 ~荒間編 その四~

荒間の”飲んでもらいたい”ワイン紹介!!

チンクエテッレ2015(Possa)

かわら版も4回目となりました、今回も日々の出荷作業の中でこれはと思う一本を紹介させて頂けたら嬉しいです。
毎回のメルマガにて、社員みんなが頭を悩ませて書いているかわら版。なかなか自分の一本を探し出すのが難しく、期限が近づいてくるとうろうろと倉庫内を歩きまわり、探し回り、あれやこれやと考え手に取り、買っては試し、そのどれもが美味しく、さらに迷うという毎度毎度の循環に陥っていくという嬉しい苦行から、やはり毎回期限ぎりぎりに提出されています。改めて自分がこれだと決めたワインと向き合うとてもいい時間です(と書いているさなかではなく、後で思います)。そうしたおなじみの苦しみの中で選んだ今回の一本は、ポッサの「チンクエテッレ2015」です。

過去幾度か、かわら版でも取り上げられているポッサ。そして毎回触れられるのはその畑の環境の過酷さです。平地がほとんどなく、やせた土地、しかしそこで生きていくために急斜面を開拓して畑とした。まさに断崖絶壁といってもいいような斜面を人間の手で開拓したといいます。その開拓作業の苛烈さ、そして畑での作業の大変さを思ってみても、チンクエテッレという土地にしみついている人間の記憶は、放り出したくなる労働やどうしようもない苦しみだと思います。でもその時々には人間のうれしさや、そこであった数えきれない良い出来事だってたくさんそこにあるはずです。もうずっとずっと長い間、自然や土地の環境は様々に変化しながらそこにあって、なんの意味ももっていない、そこに意味をつけていったのはそれぞれに人間であって、チンクエテッレという土地も、そこに様々な要因から住まざるをえなかった人たちが生きていくために開拓することを決め、そこから糧を得て、自分たちを繋いでいったそこに意味が生まれるように思います。

チンクエテッレに何を見るのか、過酷な環境に向かっていった人たちの苦労、そのような土地でも開拓しなければならなかった人間の性や時代のこと、美しい自然、現在においてすたれていく伝統、その他にもいろいろな見方があると思います。そうした様々な意味づけはあれど、確かにそこで生きる人達の手によって造り出されているワインがあります。飲み手は目の前の一本とどう付き合うかという問題なのかもしれません。どのお話のなかで飲むのかは人それぞれ、お好みで。

既に香り味わいともに開いており、深さを感じさせる味、それでいて飲み心地はとても軽やかです。何気ない日のお食事と合わせても、おひとりでゆっくりリラックスして飲むのにも。開栓後も安定しており、時間をかけて日々変化を感じながらお楽しみ頂ければと思います。

チンクエテッレの過酷さについては、こちらの文章も是非あわせてご覧ください。
https://vinaiota.com/producer/3516

≪荒間の飲んでもらいたいワイン紹介≫
銘柄: チンクエテッレ2015
造り手:ポッサ
地域: リグーリア
ブドウ:ボスコ80%、アルバローラ20%
希望小売価格(税抜) : 4,500円

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