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2023-05-25

ヴィナイオッティマーナ2022【造り手セミナー】 カーゼ コリーニ

①セミナー動画 (質問コーナー|02:30~)

ヴィナイオッティマーナ2023 P6 DAY1に行われたセミナーの様子です。今回来日したのは、ピエモンテ州のカーゼ コリーニより現当主のグイードと彼の姉のルイーザ。2人の父であり故ロレンツォが地質学を研究する学者として持続可能な農業の重要性を説くためにその証明の場として家業であるブドウ栽培、ワイン醸造を行ってきました。そして、その意思を引き継ぎ現在ロレンツォの子である2人がワイナリーを牽引しています。

②造り手紹介 (01:01~)

カーゼ コリーニの造り手紹介、詳しくはこちらから。

③造り手への質問と回答

Q1. 建築家としてもお仕事をしていると思いますが、いつぐらいからワイナリーに携わりたいと思っていましたか?(02:30~)

A1. グイード:写真でわかるレベルで、自分たちがブドウ畑と関わっているのが1982年の頃です。だからだいたい僕が2歳ぐらいの頃になりますかね。
僕たちの両親は、すごく何かを強制するとか、自分で考えることや、何がしたいのかとかについて束縛をせずに自分たちがしたいようにすればいいというような教育方針を取っていたので、いつ頃からワイナリーに携わりたいとか決めたとかではなく、徐々にといった部分はあると思います。その中でも僕は2006年か2007年の頃に建築関係の仕事を卒業してその後は建築家としてというより研究をやりながら、父がどんな仕事をしているのかと思い徐々にブドウの栽培やワイン醸造に関わっていきました。なによりも何で関わることになったかというと僕が父と一緒に過ごしたいと思ったのですが、そうするにはブドウ畑に行かざるを得なかったんです。というのも父は人生の半分をブドウ畑で過ごしているので、父と過ごしたいと思うと自然にブドウ畑に行かざるを得なかったのです。父は畑で何かに関して教えるといったことは特にあったわけではなく、徐々に伝えてもらったような気がします。例えばブドウの剪定ですが、本当によくよく考えてみれば建築学的な部分というのもあったリするのですが、ある程度知恵のある人が上手に施した剪定というのは色々な部分で理由があって、こうやって切るんだよと言われてもその当時は父のその瞬間的な判断の意味が分かりませんでした。しかし、その作業を観察をし続けることで、徐々にこういうことなのかと理解することができました。建築の分野でも、似た部分があったり、今まで自分が全く関係ないことのようでやってきたことがある部分を深堀していとシンクロすることあるんだなと感じました。自分の父をそうやって過ごしている中で、いつやろうとかはありませんでしたが、徐々に徐々に父が、ブドウ栽培やワイン醸造について説明してくれるということを続けてくれたおかげで、自分にもできるんじゃないかと時間をかけて確信みたいなものになっていきました。当然父のようではないと分かりつつも、自分にもできるのではないかと思うようになりました。

Q2. ロレンツォさんから教わったことで、大切にしていることは何かありますか?(10:45~)

A2. グイード:父からは教わったことで大切にしているのは、「自分のことを大切にすること」です。要するに、自分を見つめるということなのですが、それは自分を甘やかすとかではなく、自分が何者なのかといったこと、自分をしっかり見めることができることで、他者に対してもリスペクトが生まれるということかと思います。他者というのは決して人間だけではなく、自然でありブドウの樹であり、そういうもののあり方や、自分自身がどうありたいのか、どう自分自身を大切にするのかを考えることで、他者が大切にすることに対してもリスペクトが生まれるのだと思います。

僕たちの父が持っていたものの中である種の才能で、とても大切な部分だったと思うところは、とても繊細だったことがあると思います。またその繊細さに自らが気づけていた感性が自分の父にはあったと思います。見えないものを見ようとする、聞こえないことを聞こうとする感覚というのは、それは、自然との対話のようなものと言えると思いますが、それをすごく大事にしていました。ただ、それというのはあくまでも自分自身を見つめるというところからスタートしているんですね。

ルイーザ:自然や他者に対する敬意、誠実な仕事など。自分のやりたいと思っていることに対する覚悟や真面目さ、諦めない信念等そういったものは父自体も先人から、それは彼の父だったかもしれないし、学生の時に学びを得たたくさんの先生かもしれませんが、何かを知りに行くといった姿勢というのは一切妥協することがありませんでした。とにかくエッセンシャルなものを探しに行き、それと同時に自分のことを大切にすることで他者へのリスペクトが生まれるというのだと思います。一見、他者へのジェントルさと自分を曲げないというのは関係ないようでいて、その二つが大きな相関性があるのだと思います。父が提唱していることが長らく認められなったということもありますが、父自身は自分が言っていること、考えていることは決しては間違っているわけではないということを信じて、ずっとそのこのことに関して提唱して、伝えようとしてきました。私は、それは日本の皆さんにはワインを通して伝えられているのではないかなと思いました。そこまでの間、伝えることを諦めなかったことで、それがこの場で起こっていることではないかと思いますし、それが大切であることを教わった気がします。

④まとめ

故ロレンツォから代替わりをして早2年のカーゼコリーニ。まだ、カーゼコリーニといえばロレンツォのイメージが多くの人の中では強いのかなと思っていますが、こうして現当主になったグイードや彼の姉ルイーザがオッティマーナに参加してくれたことで、ご参加いただいたお客さんにはカーゼコリーニの印象が少しでも変わったのではないか思います。また、二人のロレンツォへのリスペクトすごく感じました。ロレンツォがいない今でも彼が二人の中に宿っているようでした。カーゼコリーニとして変わらないものがありつつも、また代替わりをしてどんな姿になっていくのか楽しみになりました。(担当:嶋津)

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