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2016-04-21

【新入荷】2016年4月 その3

Barbacarlo

わたくしオータも含め…もといオータを筆頭にして、ヒトは失敗からしか学ぶことができず、モノであれヒトであれ、それらがなくなってからでないとその尊さに気が付けないほどに愚かだったりします。特にその存在が普遍的、日常的であったり、あるのが当然だと思われていたり、もしくは他に比べ若干地味な(存在=立ち居振る舞いが派手でなかったり、ことさらに自身を大きく見せようとしない)時に、我々はその愚に陥りがちな気がします。

先人の気付き、思考、試行錯誤、苦悩の結晶とも言える文化伝統は、僕達1人1人のライフサイクルよりも遥かに長い時間をかけて形を成していますし、それ自体固有の型、形があるというよりは、時の経過、時代の潮流、ニーズなどに合わせてダイナミックに、ですが人に気取られない程度のスピードで変化を遂げていますから、たかだか7-80年程度しか生きられない1人の人間がその全体を捉えようとするのは、ほぼ不可能と言って良いと思います。我々よりも遥かに大きい上に時代時代で微妙に形そのものが違う存在…。

そして、本質的に偉大な人物というのも、多くが決して偉ぶったような態度(他者に対して優位性を誇示すること)をとったりしませんので、権力、権威、名声、肩書き、キャリアなどをひけらかす人よりも目立たないこともしばしば。時の人で言うなら、ムヒカ前ウルグアイ大統領などがその好例と言えるのでは。ですが、利己の利益のような矮小なものでない、もっと大きな何かの存在を信じている人(その何かを本当に大切に思っている人、その何かを体現している人など…)の持つ強さというのは常人の想像の範疇を超えている気がします。その“大きな何か”というやつですが、とある人にとっては文明文化かもしれませんし、伝統文化だという人もいるでしょう。

残念なことに我々の多くが、長さ、面積、容積、経済的成功、知名度、知識などに象徴される、可視化された、ないし計測するための物差しが概ね用意されているものだけにしか大きさ-重要性-を見いだせず、なにげない(と思われる)事の中にも同様の大きな-無限の-豊かさあることに気が付けないほどに、貧困な感性、想像力、感受性しか持ち合わせていません。

モノの本質にいち早く気が付いた偉大なる先人から僕たちが学ぶべき事は、“無知の知”的謙虚さ(視点の転換、既存の固定概念を捨て去る事、過去の自分を否定する事)を取り戻すことや、気付きの質、量やスピードを上げることを志向することで、それこそが凄いスピードで絶えようとしている文明文化伝統を1日でも長生きさせる唯一の方法なのかと。

まるで禅問答のような、壮大過ぎる話からスタートしましたが、4月の新入荷案内第3弾です!

Barbacarlo

アブルッツォを代表する造り手の1人であるエミディオ ペーペは、ワイン自体の素晴らしさもさることながら、彼らが誇る圧巻のバックヴィンテージ在庫で世にその名を知らしめているのではないでしょうか。これは当然のことながら父エミディオの先見の明と言いますか、伝統文化に対する揺るぎない自信があっての話ではあるのですが、ここまで注目されるようになったのは、多分に彼の子供たちのマーケティング的才覚によるものだと僕は考えています。つまり、先ほどの話でいうのなら、自身の偉大さを嫌味なく表現できる、セルフプロデュース能力のある造り手ということになるのかと。そして僕にとって、エミディオ ペーペという造り手と究極の対をなしているのが、リーノ マーガ翁のバルバカルロです。

先日テレビで見たムヒカさんの話は、本質根源的で、裏表のない、シンプルな言葉だけで紡がれていて、人類の行く末に対してシニカルな意見を展開させつつも人間愛に溢れていて…激しく共感したわけですが、同時に「あれ?オレ、なんか似た人知ってるぞ…。あっ、リーノだ!!」となりまして…。生涯をかけて自分より大きなものと戦ってきた点、その清貧ぶり、高潔さ…似過ぎですし、あの2人は僕の理想の爺さん像を体現していると言っても過言ではありません。

全くお金を持っていないわけではないのに、住むところも服装もごく普通、いい車にも乗らず、食べるものも実に質素(でも家禽類の肉や卵は自ら育てたものなので、ある意味贅沢!)、自然を、そして文化伝統を敬い、守るべきもののために戦い…そんなリーノの人となりや、哲学が垣間見えるリーノ語録(家のそこかしこに適当な紙にマジックで書いたものが飾ってあります)をいくつかご紹介しますね。

Barbacarlo

“混じりけのない、純粋なワインを造る者は、人類に恩恵を施す人である。”

“ワインの名前に、ブドウ品種名を使うことのはさして重要ではなく、むしろ(そのワインを)生み出した土地の名前こそ使用されるべきだ”

“生命(La vita)、ブドウ樹(La vite)、そしてブドウ…それは大地からもたらされるミネラル、太陽、そして農民の労苦が結実したもの”

“大地、ブドウ樹、そしてワイン…それはグラスの中にある農民文化…バルバカルロは1886年から続くナチュラルスパークリング赤ワインである”

“(私が、)私のワインが獲得したメダルや賞などをひけらかすことなど絶対にない。唯一にして真正な賞(やメダルにあたるもの)とは、消費者の賛辞だけなのだから。”

自分は農民で、畑に行くことこそが仕事なのであって、ワインを売りに歩くことは自分の仕事ではないと豪語するリーノ。ありとあらゆるサロンに参加しないため、お客さんの方がバルバカルロという存在をあまたのワインの中から探し当てなければいけないというのが現状で、僕も10年前に人づてでバルバカルロ1989を飲ませてもらったことで彼らの存在を知り、即訪問、そして取引をスタートさせました。ワインが今ほど旅するものではなく、比較的近隣で消費されていた時代には、その高いクオリティだけでもワインを売り切る事ができたのかもしれません。ですが戦後以降、リーノの住むオルトレポーというゾーンは、もともとブドウ畑のなかったポー川流域の平地に畑をつくり、生産量は爆発的に増え、どちらかというと低価格帯のワインの生産地域だと認識されるようになり…。バルバカルロの畑は、1ヘクタールあたりで年間1500時間の労働時間(アールペーペのイザベッラ曰く、彼女たちの畑で1300時間、トラクターは入れるけれども比較的手間のかかる斜面の畑で4-500時間とのこと…つまり、ヴァルテッリーナよりも過酷ってこと???)がかかるそうで、ブドウの収量はヘクタールあたり3.5トン(オルトレポーDOCは、11tまでの収量を許可しています)、ワインとなると20hl以下…。そう考えると安い!!と言わざるを得ない気がするのは僕だけでしょうか?

今回のワインをオーダーした際に、現在庫本数を聞いたのですが、やや眩暈を起こしてしまうほどの数字でした…。でも、ヴィナイオータは数字に怯むことなく各個撃破していきますし、日本には流行に踊らされることなく真っ当なワインを選ぶ消費者がたくさんいるんだとリーノの事を安心させてあげたい!

Barbacarlo

というわけで今回は、再入荷(再々、再々再、再々再々…)、最終在庫分の入荷を含む内容で、計15アイテムのご案内です。ロンケットの79,86,94モンテブオーノ89,90,2010バルバカルロの00,04,10が、最終在庫となります。そしてバルバカルロ&モンテブオーノ2010年が売り切れ次第、次ヴィンテージをリリースさせる予定です。

そしてそして!!!!皆さんが大好き過ぎる造り手2軒のワインも入ってきています。

MV

まずはマッサ ヴェッキア! 今後彼らからリリースされるワインの全容を把握するのが僕でさえ難しい状況になってきております…。現当主であるフランチェスカがブドウの特性を知るために今までやった事のない仕込み方をしたり、新しいワインが生まれたり、セパージュがドラスティックに変わったり…。皆さんに心の準備をしていただくためにも、ちょこっとだけ今後出るワインのお話と今回新入荷の2ワインについての概略を…

2012:クエルチョーラ以外にもう1つ赤ワインが!!!どちらもやばいです。

2013:マルヴァジーアという品種の特性、個性の活かし方を模索すべく、ヴィンサント的に仕込みました!その結果、辛口白用のブドウがヴェルメンティーノとその他ブドウ少々となったため、アリエントとしてリリースされることに。白ワインで、酸化防止剤完全無添加でボトリングしたのは、MV史上初となります。長雨かと思ったら鬼酷暑といったふうに非常に極端な天候だった2012年、クエルチョーラの畑は素晴らしいブドウを生らせたのですが、やや高樹齢なためか次の年にガクッと疲れが出たそうです(ヒトと同じですね…)。2013年のクエルチョーラのサンジョヴェーゼ(70%)がややテンションが低いと判断したフランチェスカ、同じくクエルチョーラに植わるカベルネ(30%)と混醸し、ベラーチェとすることに。に対して、標高の高い(400m)フォルナーチェのサンジョヴェーゼは素晴らしい品質だったので単一で醸造、こちらは2年後にポッジョ ア ヴェンティとしてリリースされる予定です。

2014:太陽に全くと言っていいほど恵まれなかった年。白2つ、ロゼ1、赤1がリリース予定。

2015:白2、ロゼ1、赤3、甘赤1がリリース予定です。3つ目の赤とは??お楽しみに!!

今回入荷したのは、アリエント2013ベラーチェ2013の750mlにマグナム少々パッシート2012の現地最終在庫120本です。

Accomasso

お次はアッコマッソです!!実は・・・・・・・・・・・2007年のバローロ、1本も分けてもらう事ができませんでした(涙)。僕(ヴィナイオータ)は、ロレンツォ翁からそれなりの敬意を払われているそうなので、「あいつ最近調子に乗ってるから、売るのやめよう」などという理由から分けてもらえなかったわけではなく、どうやら数々のプライベートな事情が重なって、僕のようにまとまった本数が欲しい人が後回しになってしまった…そんな事情のようです。

数年前に強盗に入られて以来、ロレンツォのお姉さんがすっかり人間不信になってしまい、引きこもりがちに。そのせいなのか、年齢由来なのかは分かりませんが、近年体調の優れない彼女の世話もロレンツォがしなければならず、ボトリングもままならないという…。ラベル貼りはパートのおばさんに任せているのですが、彼女も十分な時間が取れず、まとまった本数をいちどに用意できないため、直接セラーを訪問する人たちにちょこちょこ売ってしまっていて、日本用に全く準備ができなかった…。というわけで、今回入荷したワインですが、バローロはロッケ08リゼルヴァとロッケッテ08リゼルヴァ、そして前回入荷しました元バローロ03なヴィーノロッソの2回目のボトリング分全て頂いてきました!

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