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2011-06-30

【新入荷】2011年6月(Case Corini、La Biancara、Sanguineto)


ようやく、ほんっとうにようやく皆さんに彼のワインをご紹介することができます。
去年入れるはずが流れに流れて今年も早6月…教授こと、ロレンツォ コリーノ博士のワインが入荷しました!!
以前取り扱われていたI.N.U.さんからも入荷していましたブリッコ2003が再入荷、あとは全て日本初入荷のヴィンテージのワインになります。
2007年のワインは、圧倒的な濃さがありつつも2003年ほどのアグレッシブな感じにはなっておらず、今飲んでも楽しいワインですし、長期熟成のポテンシャルも備えたワインと言えるかと。特にバルラと、次回入荷するネッビオーロの2007年は、僕のワイン史上にも必ず登場するであろう偉大な、本当に偉大なワインです。
実は、過去に日本に入荷してきた彼のネッビオーロ(2001,03そして07にも)にはバルベーラが若干入っていました。バルベーラを混醸することで、酸(ネッビオーロも酸のあるブドウですが、バルベーラほどではありませんし)とネッビオーロには圧倒的に欠ける色素(アントシアン)を補完することができ、より緩やかな熟成が約束されるそうで、バローロのゾーンでも昔は行われていたこの手法をロレンツォも採用していたのですが、2005年はネッビオーロ単一で醸造しました。
2009年春に彼の所を訪ねると樽が1つセラーのドアの外に置いてあり(とはいえ、相変わらず地下ですが)、中身はネッビオーロ05で、捨てようかと思って外に出してみたと言うではありませんか!
皆さんもご存知のように、醸造のいかなる過程においても酸化防止剤が使用されていないワインですので、別世界に旅立たれたのかと思い、それでも確認&後学の為に飲ませてもらうと…美味しいではないですか!!01や03のような強さはなく、より熟成した雰囲気はありますが、01,03ではバルベーラの果実味で覆い隠されていたネッビオーロの繊細な香り(さらに熟成すれば、タール香へと向かいそうな)が前面に出ていて…。
“ロレンツォ、普通に滅茶苦茶美味しいよ、飲んでみて”と言って飲ませると、“あれ、ほんとだ”とロレンツォ。僕も彼もこれ以上樽で寝かせることには意味がないという意見で一致したので、すぐにボトリングしてもらったのが今回のチェンティン2005になります。
ロレンツォと知り合ったのは2006年だったと思うのですが、すぐに意気投合、本当にいろいろな話をする中で、彼がボトリングしているワインはフリーランのワイン(醗酵槽の下のバルブを開けた時に自然に出てくるワイン)のみで、果皮がスポンジの役割を果たして残ってしまうワインはプレスもせずにそこらに捨ててしまっていることを知りました。
後に理解することになるのですが、長期のマセレーション&醗酵を行わせ、その醗酵しきったワインをプレスしないことで、ワインは澱が非常に少ない澄んだものとなります。澱が少ないわけですから、樽で熟成中にも還元することはめったになく、その為樽の移し替えの回数も減らすことができます(樽から樽へ移し替えることで、澱引きができるのと、ワインを空気に触れさせることができますから、還元からもとの状態に戻してあげることができるのですが、当然酸化のリスクも伴い、醸造・熟成期間中に酸化防止剤を使用しない造り手はできるだけ移し替えの回数を減らしたいと考えています)。といった感じで、彼の手法は非常に理にかなってはいるのですが、“捨てる”という行為に納得できない僕。
天候に恵まれた年の、健全なブドウで造るワインからはあまり澱が出ないということもロレンツォから聞かされていて、プレスしたワインはアルコール度数が若干下がる(ゼリー状の果肉部分には純粋な水分が残っているので)のを知っていたので、
僕:「ロレンツォ、自分で自分のワイン毎日、食事の度に飲みたい?」
ロレンツォ:「いや」
僕:「なんで??」
ロ:「シリアスだし、カジュアルに飲むにはしっかりし過ぎているし、アルコール分も高いし…」
僕:「だったらちょっと絞ってみたら?度数も下がるし、より普段飲みっぽいワインになるんじゃない?そして何よりも、ワインを捨てなくて済むんだし。農業の世界では持続可能って言葉に拘っているわりに、商品になり得るものを捨てるってちょっと矛盾してない?」
ロ:「うーん、しかし私にとっては絞ったのはワインでさえなく…。澱も入ってしまうから私のようにSO2を使わない生産者としては…」
僕:「ワ・イ・ンです!それに、ブドウが健全な時にはあまり澱出ないって自分で言ってたじゃん!」
ロ:「・・・・・・・・・・」
そして時は流れ2007年の秋に彼のところを訪ねてみると、セラーの奥にあった、埃を被っていたトルキオ(垂直式木製手動プレス?)がピカピカになっているではありませんか!
僕:「あれ??」
ロ:「君に納得させられちゃったから…。父が使っていたもので、私の代になってからは使っていなかったんだけど…。」
僕:「じゃあ、絞るってこと(喜)??」
ロ:「でもバルラしかやるつもりはないし、絞るって言ってもかるーくだけどね。私にとって、絞ったワインはもはやワインではな…」
僕:「イエーイ(茶化す感じで)!」
そしてさらに時は流れ2010年、他のワインとは違うということを示すべく(ロレンツォ、最後の抵抗)、全てマグナムにボトリング、造らせた張本人が責任を持って引き取るべしとのことですので、全生産量が日本に来る事になりました(今回は半分だけ)!
名前は彼の父親、祖父がプレスしたワインのことをそう呼んでいたとのことで、Vinot(ヴィノット、小さなワインの意)となり、ほとんどVIINaiOTaだ!ということで、裏ラベルにはVinaiotaと書いてあります…。 どのワインも少量の入荷です、お早めにどうぞ。
とはいえ、ブリッコ03とチェンティン05以外はまた次回も確実に入荷します!!
欠品しておりました我らがアンジョリーノのワイン4種類も再入荷です。
イ マシエリの750mlは少量の入荷ですのですぐ切れてしまうかもしれません・・・。
肉が彼女達のワインを呼び、彼女達のワインが肉を呼ぶ…とまで一部では言われています、サングイネートのロッソ、ヴィーノ ノービレの新ヴィンテージも入荷しました。
ちゃんと真面目に飲んでももちろん美味しいのですが、DonneSelvatiche(ドンネ セルヴァーティケ、野性味溢れるお姉さま達、とでも訳しておきましょう)の造るワインはやはり難しいこと考えず、豪快に飲んでいただくのが似合っているような気がしてしまうのです。今回は、ぎりぎりノービレのゾーンからは外れる畑を持っていた友人が困っているのを見かねて、“だったらアタイが借りたげる!”と、2007年から手がける畑のサンジョヴェーゼから造るIGTも入荷しました。ノービレよりも果実味が豊かなワインです。こちらも是非!

造り手から提供いただいたワインが完売し、いったん中止としていましたが、その後新たに提供されたワインもたまってきましたので、再び義捐ワインの販売も開始いたします!!
今回入荷のロレンツォに加え、アンジョリーノもピーコに続きロッソマシエリを120本提供してくれましたし、ニコリーニからさらに提供してくれるとのお話もいただきました。あとピエモンテはボルディーノ チンツィアからチャボッティーノ36本、トレンティーノのボローニからは彼らのフラッグシップ的な蒸留酒3種が1セットなっているトリッティコを12セット頂きました!
初めて彼らの蒸留酒を飲んだ時は本当に衝撃を受けましたし、イタリアにはまだ世の中に出てきていない、オーセンティックなものがあるということにも驚きました。500mlのノーマル瓶よりこちらの方がお買い得ともなっています、試されたことのない方は一度是非!!!詳しくはリストをご参照ください。 少々遅くなってしまいましたが6/20、福島県災害対策本部宛に150万円送金させていただきました。造り手ならびに皆さんの良心をまた1つ形にすることができたのかなと思っております。

文:太田久人
63 nuovo11.06.30

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