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2007-02-22

パオロ ベア その3

当主のジャンピエロは、サノヨーコも書いている通り、女性が大好き。僕も全然嫌いな方ではありませんが、彼のようにマメにはなれません。我々日本人がイメージするイタリア人を地で行くような男で、それを象徴するようなエピソードを。
僕と2人でとあるレストランで食事をしていたところ、女性2人がお店に入ってきた。僕たちの席は入り口近くだったこともあり、彼は2人のうちの1人のほうを前から後姿まで、それはもうジーっと目で追いかけて一言、”久人、なかなかいい女じゃない?”。その5分後、指をパチンとやってカメリエーレを呼び、”あちらの奥のテーブルのお嬢さん方に今僕達が飲んでいるワイン(もちろん彼のワイン、古いヴィンテージを持ち込んでいた)をご馳走してあげてくれないかい?”。女性たちの所に行き、事情を説明するカメリエーレ、こっちの方を向き手を振って御礼をする女性たち、それに手を振って応えるジャンピエロ。その時はそれで終わってしまったので、帰りの車の中であの行為の意味を聞くと、”もしかしたら電話番号くらいは聞き出せたかもしれないし、こんな田舎でああいう出会いを大切にしないといい女とは知り合えないんだ”と力説してました。
そんな彼ですが、1週間ほど前彼からメールが来た。タイトルは”信じられない!俺、結婚するよ!”。やっと年貢を納めようと考えたらしいです。良かった良かった。

彼が一番恐れるもの、これまたイタリア男の御多分にもれずマンマ。このマンマが強烈で僕がその場にいようが、ジャンピエロが自分の気に入らないことをすると怒る怒る。
物凄く口やかましいのですが、合ってたりします。ジャンピエロが出かけようとすると、”ジャンピエロ、あんた財布持ったの?”と聞くと本当にジャンピエロは財布持ってなかったりしてましたし。
お父さんと弟は寡黙。無骨だが凄く優しい。お父さんが話す言葉の大半は理解不能(ズーズー弁みたいな言葉を話すので)。

高いアルコール度数、若干の残糖、彼のサグランティーノはとある部分アマローネと接点があるなぁということから、僕か僕のローマの友達がジャンピエロにクインタレッリのことを話した。 僕はこの当時、個人的にクインタレッリのところに何回か行っていて、おじいちゃんにも面白いやつだと思っていただけていたんだと思う。もしかしたら、いつか・・・みたいな話をしていました。そして6年が経ち、ローマの友達か連絡があり、おじいちゃんが連絡取りたがっているとのこと。急いで電話をしてみると、僕が通ってた時にはいなかった女性で、いかにも仕事ができそうなセールスマネージャーが電話に出た。新しい日本へのインポーターを探していて、クインタレッリから僕の事を聞いたと言う。もちろん興味はあるので、とりあえずプライスリストを送っていただけますかとお願いし、届いたリストの値段見てびっくり、6年前の倍ですぜ!2005年の春、直接訪ねていくとまず出てきたのはそのマネージャー、しばらく彼女と仕事の話をしているとジュゼッペ爺さん登場、相変わらずの可愛らしい笑顔で、”やっとこの時が来たよ”と。その言葉は本当に嬉しかったが、かつての値段なら飛びつく話なんだけど今の価格が僕にはあまりにも現実的でないこと、やったとしても少量ずつしか買えないであろう事などを説明。そんな時に資本力のあるF社からの話もあり、結局F社が扱うことになった。クインタレッリ的にもF社的にもいい話だったと思う。
その後ジャンピエロはクインタレッリを訪ねて、ジュゼッペ爺ちゃんと意気投合したらしい。サグランティーノは99年ヴィンテージから、パッシートのヴィナッチャでリパッソを行うようになったのですが、これはまさにクインタレッリからインスパイアされたようです。
これがクインタレッリを紹介して良かった点なら悪かった点は、彼がワインの値上げをして、それに僕が文句を言うと、必ず”クインタレッリ(のワイン)じゃあるまいし(ほど高くないじゃないか)”と言うようになったこと。”じゃあお前はクインタレッリなのか!”と心の中で思うけど、言わないで我慢しといてあげる心優しい僕でした。

さすがに”その3”で終わるかと思ってたんですが、長くなっちゃったので続きは”その4”で!

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